夏のむし
掲載日:2016/07/05
湿度が濃密すぎて、かき分けるように坂を下る。
緑深い夕暮れと夜の間の山道。
ひぐらしと、蝉と、鳥が交響。
吸血する奴らは草の影でわたしを監視。
どこまで下ろうか。
夕暮れと夜の間の山道。
薄闇色の世界が去って、道端に一台の自動販売機。
明かりはそこだけ。
神々しい、と間違えても仕方ないくらいの。
夜の帳に耐えられない夏のむしが群がってる。
じっとくっついてるむし、周りを飛び回るむし、攻撃するように何度もぶつかるむし。
わたしは小銭を投入。
シュワッとするやつくださいな。
夏のむし、飲めないのにどうして?
シュワッとするのを飲みながらわたしは下り続ける。
山の下には、マンションだらけの夜景。
どこへ行っても夏のむしがわいてる。
疲れるだけで何もいいことないのに下り続ける。
安心できた寝床はやっぱり孤独です。
闇は平気、明かりは眩しすぎる。
それでも日に日に澱が沈んでく。
潜望鏡から覗くのではもう、耐えられない。
仲間を探す、わたしも夏のむし。




