049.みんなで試着2
「うわ……これがボク……」
秋田くんは、うわうわ、と何回もつぶやいて、口に手を当てていた。
自分の姿に驚いて、そのままふるふる震えてしまっている。まぁそんなに変わっちゃったら普通は驚くよね。僕だって初めてウィッグをつけて音泉になったときは固まっちゃったもん。
そんな彼を横目に僕は……化粧の具合と、メイド服の感じを冷静に観察。
伊藤くんに依頼していた通りに、確かに飾り気がなくてちょっとぴりっとした感じのメイドに仕上がっている。
ロング丈の裾からはわずかに白いパニエが覗いていて、ほんとにわずかだけかわいらしさが添えられていた。お化粧もちょっと大人っぽい感じで、きりりとした印象が際だつ完全な眼鏡メイドに仕上がっている。本番はこれに加えて膝上までの黒のニーソックスをはく予定だ。
『音泉』を見ている身としては、この姿はちょっと違和感があるけど、でも、これくらいイメージが違くないと、たぶんやばい。どっちが可愛いかって言うと、やっぱり音泉のほうがいいんだけど、この際可愛いかどうかはどうだっていい話だ。ちょっとくらい質が落ちようが、ようはばれなければいいのだ。
そんなことを考えていると。
「おぉーやっぱり、二人とも綺麗になったなぁ」
いいことだいいことだ、とメイド服姿で伊藤くんはうんうん肯いていた。
彼はもう家で十分試着しているはずなのに、ここでもメイド服をばっちりと着込んでいる。さすがにもう手慣れている様子で、他のみんながまだ着替えているのに、たった一人でメイクまでがっつりこなしていた。
「榊はあんまり驚いてない?」
「ああ、うん。すごいなーきれいだなーかわいいなー」
とりあえず棒読みで、僕はそう言った。
このキャラクターなら、あんまり自分をみてきゃいきゃい言わなさそうだな、と思ったからだ。
「実際、メイド服は良くできてると思うよ。ほつれもないし、完成度高い」
これで三千円とは思えない、と僕はとりあえず服を褒めた。
「だろー。もうテスト終わってから打ち合わせに打ち合わせを重ねてだな、布屋のおばちゃんを説き伏せてねぎってねぎってがんばったんだ。むしろ末代まで着てやってくれ」
末代まではきっと無理だと思います。
僕は苦笑を浮かべながらもう一度鏡の中の自分をちらりと確認する。
やっぱりいい出来のメイド服だ。
「おっけーい。それじゃー、メイド服はこれくらいにして、制服いこーぜ、制服」
「伊藤くん! 言葉遣い!」
僕らの間にはいって、がしりと両肩をぼくらの首筋にかける伊藤君に、前島さんから注意が飛んだ。
コスプレ会場にいったと思ってやらなきゃだめよ、って言われて、伊藤くんはちょっと大人しくなった。
彼の姿は活発な感じのするショート丈のメイド服だ。それでいてレースが多少はいっていて、音泉のメイド服になんとなく似ている感じ。体格こそちょっとごっつい感じでぱっとみ可愛いという感じではないんだけれど、汚い感じにはあまり見えないので慣れているんだろうなというのは感じられる。
「さっ、秋田くんも鏡にへばりついてないで……」
さっきから会話に入らないでずっと鏡を見つめていた彼をひっぺがすと、一緒にもう一度更衣室の中に入った。
この後にはメイド連中を集めてのお茶だし練習なんていうのもやらなきゃいけないんだから、ここでゆっくりなんてしていられない。
みんなは少しくらい帰りが遅くなってしまってもいいんだろうけど、僕には夕食の準備という大目的があるのだ。週に二日しかない僕の当番の日を、出来合のお総菜で済ますなんていうのは僕のプライドが許さない。
そんな風に思いながら、さっきと逆の行程でぱぱっとメイド服を脱いでいると、ちらりと秋田くんの姿が目に入った。
なんだか力尽くでここまでつれてきたけど、まだぽーっとなっちゃたように宙を見つめていた。心ここにあらず。それくらい自分のメイド姿に惚れ込んじゃったみたい。
やれやれ。
僕は内心で軽くため息をつくと、畳んである制服の方へと手を伸ばした。
まだ、女子の制服を試着するという使命が僕らにはあるのだ。
「制服は……普通に着ればいいだけでしょ?」
秋田くんの方ばかりも見ていられないので、僕はそう聞きながらもブラウスを手早く着てスカートをはいた。スカートで問題になるのは、やっぱり筒状のどこが前かという問題。それを聞いたらてきとーって言われた。
プリーツスカートってどこをとっても同じガラで果たしてどこにホック部分を置いておくかはすごい問題だった。こういうのは大体、洗濯表示のタグを左にするものだがら、きっとホックは左側だ。
ブラウスをスカートの中にいれてとめると、短いスカートが太股あたりを軽く撫でた。確かに僕用にあつらえたみたいにしっかりとスカートはウエストで止まった。
この上にベストを着用してもいいんだけど、季節柄なのかこの着替えセットの中には入っていなかった。その代わりブレザーの上着がちょこんと乗っかっている。
もう衣替えが終わって冬服になってるから、さすがにそこまではいらないと判断したんだろう。
とりあえず僕はそれを羽織って、リボンをつけてさっさと着替えを進めてしまう。
本番は黒ニーソをはくけど今日はみんな自前の靴下。最後にハーフパンツを下から脱げば、完成。
うわ、こうやって履いて動いてみると、めちゃくちゃスカートたけ短い……
これが女子高生クオリティというやつなのかな。卒業生のお下がりってことは、実際使われてた制服なんだもんね。太股が外に出ててかなり心細い。
「これ……こんな短くて、中、見えちゃったりしないの?」
「座り方気をつければ平気……かな」
心細そうに言うと、自分はそれほど短くしていない前島さんが、あははと苦笑を浮かべながら答えた。
僕のは膝上十五センチくらいなんだけど、前島さんのは膝上十センチくらいなんだよね。
ここまで短いとなんだか何もはいてないみたいな気分になってしまう。すごく頼りない感じなのだ。人によってはもっと短い人もいるっていうけど、さすがにちょっと僕にはそんな世界は想像すらできない。
「それと、榊くんは足が綺麗だから、見せた方が良いよ」
もう、すね毛とか生えて無くって最高! なんて彼女は身もだえした。
そりゃ……足に自信がないといったら嘘だよ。毎日のスキンケアのおかげで、半端無いくらい足は綺麗だし。むくみ予防とか、ほっそりした足を維持するためのトレーニングなんていうのもやってる。
まぁそれでもうちのお店の場合スカート丈はそれほど短くないから、見えるのは膝下くらいなわけだけれど。見えないところも磨かないとダメだって、千絵里オーナーがうるさいのだ。
「でも、こんな短いのはちょっと……」
「だいじょぶよ。心配なら見えてもいい下着つければいいじゃない」
「そんなもん……ないです」
「下にジャージはくのは邪道だしなぁ……中にブルマ着用とか……?」
「そんなもんも……あるわけないでしょ!」
「あはは、ごめんごめん」
調子に乗りすぎた、と彼女はこつんと頭を叩いた。
そもそも今の時代、女子だってブルマなんてはいちゃいない。
「でもま、実際、それくらいでもだいじょぶよ。もっと短い子だっているんだから」
「……やっぱし、他の人のも、これくらいの長さなの?」
僕は短いスカートの裾を指でかるくはじきながら、他の部屋の様子を想像した。
みんながこの長さなのだとしたらさすがに……怖い物がある。
「人によってだけど……集められた制服次第なのよね。先輩に頼み込んでなんとかしてもらったってのが正解だし。榊くんのはわりとちっちゃくて可愛い感じの先輩のだから、必然的に長さも短いってわけ」
スカートの丈なんてその人個人の趣味みたいなもんだから、中には長いのにあたってるヤツもいるよ、と彼女は笑い顔で言った。
でもすぐに真顔に戻って、つぶやいた。
「ホントはさ。もうちょっと時間的に余裕があれば、みんなのイメージに合ったのが作れたんだろうけど……時間はないしあまり修正をかけると生地だって傷むし……だからできればそれで我慢してほしいな」
ねっ。なんて言われてしまうと、僕はもうそれ以上の言葉を言えなかった。
「まぁでも、八割方はだいぶミニだから、仲間はいっぱいよ」
あはは、と彼女は他人事みたいに苦笑を浮かべて、隣とのしきりのカーテンを見つめた。
今のご時世……どんな女の子を見たって、膝丈くらいの子なんて滅多にいるもんじゃないのはよくわかっている。平均値を取ってみてもそうとう短いのだ。
それを、男子が履く。
想像して、ちょっと眩暈がした。
男の人の足が、モロにこうばばーんと人目にふれるってわけで……
それはつまりその……かなり阿鼻叫喚というしかないと思う。
「って、まじで剃るのかよーー」
「別にしばらくすれば生えてくるんだからいいでしょー」
そんな時、離れたブースから声が聞こえた。
たしかにそうだ。ハーフパンツだったら別にすね毛が見えていても問題ないけど、それがスカートになってくると俄然、むだ毛の処理は必要になってくる。
「ひ、ひぃ……か、勘弁……」
情けない声と、じょり、という毛がそれる音がわずかに聞こえてきた。
他のところはまさにてんやわんやだ。
「他は大変そうね……その点、私はラッキーだなぁ。二人ともほとんど手を掛けないでも普通に女の子なんだもん……特に……」
「ひわっ」
さすさす。いきなり太股のあたりに変な感触が走って、僕は思わず声を漏らしてしまった。
「榊くんの太股って反則でしょ! むだ毛一本もないなんて女の子でも滅多にいないわ……それにこのキメの細かさ……まさにアリエナイ……」
確かに。
確かに僕の太股にはうぶ毛の一本も生えていないよ。
でも肌のほうは毎日のケアのおかげなのだ。努力の結果これだけのものをつくりあげているのだ。
でも、当然彼女にはそういうことは言えなくて。
「それを言うなら、秋田くんだって同じようなもんじゃない? うりゃ。さすさす」
「……えっ。やっ。なっ、なにっ!?」
代わりに秋田くんの膝のあたりをさわって見たら、ぞくりと身体を震わせて、彼はなんだか素晴らしく可愛らしい反応を見せてくれた。放心状態だったせいか、一瞬なにが起こっているのかわからない様子で、僕らの方をじっと見て、きょろきょろとあたりを見回していた。
「ちょっと、すべすべなお肌を堪能してみようかなーなんて」
やーん、もーさいこーなんていいながら、前島さんは僕の隣にきてさすさすと秋田くんの太股のあたりを触り始めた。
たしかに秋田くんのお肌だってむだ毛一つなくって、高校生の男の子の足って感じじゃない。
「と、冗談はともかく。秋田くんもさっさと早く着替えて着替えて」
「あ、うん」
はい、どうぞどうぞと前島さんに制服をすすめられて、秋田君はもそもそと着替え始めた。
僕は外にでないで、そんな秋田くんの着替えシーンを眺めていた。
やっぱり僕と同じように、スカートのところでとまどって、左右逆のボタンにも苦戦している感じだ。
「へぇ……」
でも、そんな微笑ましい光景の先で、僕は軽く驚きの声を漏らした。
そう。彼はなんと脱いだものをきちんと畳んでテーブルの上に置いたのだ。
僕だって家事をこなしている人間だから、脱いだら畳むのは基本なんだけど、それでも最近の、それも若い男の子がそれをやるっていうのは珍しい。
「二人とも完成。もう、飲み込み早いし手がかからないし大助かりだわ。他と違ってね」
そうこうしていると、秋田くんが上着を羽織ったのを見計らって、前島さんは苦笑を漏らしながらぽんと僕たちの肩に手を置いた。
確かに彼女の言うとおり。
外からはうえーとか、うひーとかいう声が聞こえていた。
少し前にカーテンが開けられる音が聞こえたから、ようやく他の所はメイド姿を作り上げることができたのだろう。たぶん彼らは着替えとお化粧と脱毛に僕達以上に時間がかかったんだと思う。
「さてと。それじゃあお二人さん、みんなを驚かしてやろうじゃありませんか」
にや、と笑って彼女はカーテンを開ける。
その先には……
「うげ、魑魅魍魎……」
僕の声に気がついたのか、そこにいた七人がくるりとこちらを向いた。
まさにみぃたぁなぁという言葉が似合うくらいな感じだ。
でもそこで。そのうちの六人が完全に動きを止める。息を呑んでいるのが雰囲気でわかった。驚いている感じなのだ。
「魑魅魍魎っていうなよー。これでもうちの優秀なスタッフが頑張ったんだから。せめてたんをつけてくれ」
「そりゃ……よく頑張ったとは思うけどさ……」
伊藤くんが不満を漏らすけど、やっぱりちょっとと思う。
ときどき水泳をやってる女の子とかはガタイがよかったりするけど、その次元ではないほどやっぱりがっしりして見えてしまうのだ。おまけに……なぜだろう。なぜか服がなじんでいる感じがしない。
これを見ちゃうとやっぱり男が女装をするのって無理なんじゃないかなぁなんて思っちゃう。
でも、そんなことが吹っ飛んじゃうくらい驚くことがあったんだ。
「おまえ……だれ?」
「へ?」
魑魅魍魎たんのうちの一人が、ぽかーんとした顔でこちらを見ていた。
本当になんだかよくわからないと言った様子で、僕のことをみつめているのだ。
「もしかして……みんな、トナちゃんのこと……」
「あの……服変えてメイクしただけなんですけど……」
「って、お前……え……えええー」
ひとしきりどよめきが上がってから、彼らは、ずざざっと後ずさりをして、こちらをちらちらとちら見していた。もう自分達がどういう恰好をしているかなんて、どこかに吹っ飛んでしまったらしい。
「いや……でも……」
「うわ……まじかよ……」
そしてなぜか、こっちに聞こえないようにひそひそばなし。
「あのね、僕に驚くよりむしろ、秋田くんに驚けっての」
不機嫌そうに胸で組んでいた手をほどいて、僕は秋田くんの肩を後ろから軽く押して、前につき出した。
僕としては彼の変身の方が驚きだと思う。今までおどおどしてた感じだったのに、女子の制服を着ただけでなんか、ぱっと花が咲いたみたいな感じなんだもん。全然イメージが違う。
「ええぇーそっちは……秋田だったの……」
「そーだよー陸っちゃんももー凄まじく可愛いだろー」
ほれほれ、と前島さんが見せびらかす様を僕はもう一度腕を組んで、はぁとため息をついて眺めていた。
「僕は、トナちゃんの方がすごい変わりようだと思うけどな……」
「そういうキャラクターだからね」
ん。と首だけ斜めに動かして、僕は真顔で答えた。
ちょっとツンケンした感じの眼鏡っこというのが僕が演じるキャラクターだ。そのキャラクターは制服を着てても変えるつもりはない。いつものほえーとした感じじゃなくて、キツクキツク。ちょっと怖いくらいキリリとしたイメージでつくっていかなきゃいけない。
「えー、トナちゃんはもっと可愛い感じで作った方が絶対いいのにー」
もったいないよぉーと、彼はちょっと甘ったるい言葉で言った。うぅ、なんかすごいアニメに出てきそうなしゃべり方だ。
「いや、時代はツンデレ。ツンデレラブ。びばツンデレ! 秋田がかわいい路線ぶっちぎりだから、メイド長さまにはしっかりとしていてもらわねば。もちろん、デレの部分もしっかりとどこかで表現してくれ。そうだ! あれだ、おまえカスターニャのケーキ食べたときだけデレっとしろ。あぁ、これぞ神の美だ……あぁ、ツンデレの神よ……」
「なんか、お前……人格変わってない……?」
ああぁ。頭痛がいたいです。まだメイド服を脱いでいない伊藤くんは、いろいろとこう、くねくねしたりもぞもぞしたり、叫んだりと大忙しだ。
「なにをいう! 普段の俺の姿など社会に暮らすための仮の姿!! これこそが真のあたしなのっ♪ んふっ」
んふって……あぁ、なんか世界が……世界が遠いよ……
「ところでさ、いま制服着て思ったんだけど、トイレってどーすればいいんだろう?」
頭を抱えて蹲っている僕の横で、秋田くんが可愛らしい声で言った。
それを聞きながら僕は驚いて彼の顔をまじまじと見つめてしまった。
二日間フルタイムで女装してるんだったら、やっぱりちょっとって思うのはわかるんだけど……
「そんなん、男子トイレに決まってるだろー」
そう。普通、完全に女装喫茶って形にするのなら、男子トイレに決まっている。「女装」ができるのは男だけだからだ。でも。
「えー、こんな状態で男子トイレ入ったら……」
鏡を見ながら彼は細くなってしまった眉をしかめた。
さすがにたった二日間のために眉までいじんない方が良いよって、前島さんとかも言ってたんだけど、陸くんはその場の勢いみたいなやつで、やっちゃってって言っちゃったんだよね。眉毛一つでほんと、人の印象って全然変わるから、ほんと、彼の方が断然別人ぽく見えていると思う。
ちなみに、僕の眉毛はもう茜さんの手で裁断済みなので、三ヶ月前くらいからこの細さ。茜さんの言いつけ通り、まぶたの上に生えてくるヤツは、毎日家で抜いている。めちゃくちゃ痛いけど。
っと、それはともかく。
「確かにね……実際これだけ可愛いとなると、男子トイレに入れるなんてむしろキケンだわっ。っていうか、そんな状態で立ちションとかされたらもう、七十九日くらいうなされそうだわっ。というわけで、トナっちも一緒に女子トイレ使う方向で……」
僕達担当の前島さんが、わざと女口調でわめき立てると、ぽんと僕の肩に手を置いて、よろしくねーと言った。ここにいる他の女子3人からも反論はない。
「って、ホントニイイノデスカ……ソレデ……」
僕はぎじじじじと、半ば壊れ気味のブリキのおもちゃのような感じでぼそぼそとつぶやいた。
まぁ女子トイレなんてね、女子トイレなんて、僕はすでにちょー使いまくってます。もう玄人っていうくらい使ってますよ。フォルトゥーナのトイレは男女きっちり別れてるし、この前の夏だって音泉としての外出が多かったし、着替えだっていっつも滅茶苦茶女子トイレですよ、そうですよ。
でもね。
周りから認知されて入るっていう状況が来るとは思ってなかった。
音泉は女の子だから、女子トイレに入れていただけの話なんだから。
「あぁそうだ。うん。こんだけ二人が可愛くなるんだったら、二人が女装してるのナイショの方が面白いかもしれないなー。どうだろう?」
「あーそれ、いいかも」
てか、絶対ばれないだろう……なんて声が魑……かわいらしいメイドさん達から漏れた。
たしかにおおっぴらに女装って言われるより、その方が僕としてはありがたいけど、秋田くんはどうなんだろう。
「僕もそれでいいよ。もう、完璧な女の子を演じようねっ」
ねっ、て言われてこうやって二の腕あたりにくっつかれても、こちらとしては困るわけで。それでも彼はそんな僕の内心なんてまーったく考えないで、終始にこにこしていた。
「はぁ……もう……帰りたい……」
僕は自由になる左手で頭を押さえると、つぶやいた。
わーい! 秋田くんの反応がとてもようございました。
灯南ちゃんは、こんなもんですね、とうっすいはんのうです。まあ、見慣れてますしね。
さて。わいわいお着替えというのはとても楽しいのですが。
次話は、打ち合わせとかもろもろです。




