挿話 騙されユミルさん
はじめに、神はユミルをしこたま殴った。
蛸殴りにされ、ボロ負けしたユミルは渋々、天地創造を強制的に行うことになった。
しかし、与えられた天地創造の設計図は問題点続出に矛盾だらけ。ユミルはそれはもう、死に物狂いで、欠落箇所を補い、天地創造をすすめる。
世界、空間、光、原子、あらゆるもの存在定義、太陽や星々……
必死に創造を行ったが、五日目の時点で計画より半日遅れ。ユミル自身も躰を酷使し続け、瀕死寸前。どう方策しても七日目までに創造は終わりそうにない。
だが、そのとき女神アウズが現れ、ユミルに二人で生命の種を創造することを勧めた。確かに、それに従えば七日目までに間に合う。
もちろん、ユミルは――
「この若い身空で所帯持ちになるなんて嫌だあ!」
と、天地創造などほっぽりだし、アウズから逃げだした。
「おっと! 逃がさないぜ!」と簡単に捕獲されるユミル。
かくて、ユミルはアウズに、
「初めてだから……優しくしてね……」と……
(中略)
「ダーリン……愛してる……」
(検閲)
……体力限界の所へアウズとの愛の重労働。
ユミルは何度か消滅しかかったが、なんとか神の似姿を模し、神の精神末端を受け継ぐ生命の種を創造した。すると神が現れ、ユミルとアウズを祝福した。
「ユミルよ、六八五三一番目の娘を頼むぞ」
第六の日目である。
「まさか……最初から……はめやがったなっ!」
こうして、ユミルははめられた。第七の日に、傷心しながらもユミルは天地創造の最後の仕上げをし、仕事を離れ安息しようとしたが……
シュランが知った本当の天地創造より