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神卵 ― 神様転生のはじまり ―    作者: 万代 やお
第1律 星の空を駆け上って
1/55

エピローグ 1

 ある宇宙、ある惑星、ある年月。

 小さな黒犬を抱え、角を生やした神が、ある男の前に現れた。


「なにか、望みはないか」


 有角の神は黒犬を撫でながら、ある男に問う。

 ある男は胸を撃たれ、もはや絶対的な危機に陥っており、こう答えた。


「私が死んだら、もう一度、生き返らせてほしい」


 有角の神が願いを承諾し、掻き消えたのと同時であった。

 反乱軍の兵士が飛び込んできて、ある男は頭部を撃ち抜かれ、即死した。

 それからある男は生き返った。だが、生き返った世界は二千年後の世界であった。


 ある男が、


「悪魔め、騙したな!」


 と天を罵ると、黒犬を抱えた有角の神が再び現れた。


「騙してなどいない。生きかえらせたではないか」

「二千年後では話が違うのだ!」


 すると、いきなり有角の神は笑いだした。


 そうなのだ。人間と神では時間のとらえ方の感覚が違っていたのだ。神にとっての一日時間は、人間の場合だと二千年の時間の流れであったのだ。

 それを説明してやると、ある男は愕然となって膝を崩した。


「普通にやって、無から肉体を創るのに千年。俺はそれが下手糞でな。千年ほど多くなっちまったんだ。余計な千年はおまけと思ってくれ。角余分ってヤツさ。まあ、お前が誰からも愛され、誰も卑下することもなく、志高き者ならば、うまくやっていけるだろうよ」


 そう云うとウインクして、有角の神は黒犬をひと撫でして消えた。


 こうして、ある男である惑星シリウスミットの独裁者は、二千年後の言葉や文化に対応できる訳もなく、その高慢な性格ゆえ、絶望し、最後は乞食と野垂れ死んだと云う。


 これはくだらないくだらないと語られるある逸話のひとつ。


    ――シリウス星域に伝わる神話、越えた力を求めた独裁者より。

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