第92話 第一回、地味ハーレム会議。
「えー、只今より、第一回グランを囲む会議を行います」
一旦自宅に帰り仮眠後、
明け方になりちょっと無理に起こしたイレタちゃんカロリちゃんと、
下手するとそろそろ眠くなるルシアちゃんアトリちゃんをタウンテレポートで連れてきた。
(場所はそう……『ボルザ廃道・山小屋の廃墟』なのです!)
例の旧道、廃ドライブインみたいな所ね、
あれからちょっとは綺麗にした、俺たち以外は来てないみたいだけど!
いやね実は俺が山賊に襲われただの山崩れ崖崩れでその山賊18名が死んだなどで……
(道の封鎖がより強くなりました!)
もちろんイシタさんの故郷はこの道からしか行けないという事になっているので、
領主様の許可があれば通れはするのですが、まあ多分、抜け道はある、探せばおそらく。
あっ物理的にね、魔法的まで行くとフライとかテレポートとか、きりがないから!
(それはともかく、ちゃんと紹介しなきゃ)
椅子が高いので、
地べたに持って来た敷物で座って貰っています、
一応、出入口には私兵の二人をたたき起こして警備させている、ある意味で里帰りだ。
「ええと、まず僕がグランです、髪は黒毛です、
子爵家の三男です、将来は十五歳までに独立しないといけません!」
「知ってる」「ついていきます」「グラン様、ご立派ですわ」「人間って大変……」
あ、アトリちゃんはまだ人間体です、いきなり驚かせないために。
「なので、一緒に冒険者になってくれる幼馴染を集めました、それが皆さんです!」
「あ、持って来たお茶を淹れるね」「パートナー、です」「回復はお任せ下さい!」「私の役割は……?」
「ということで、ひとりひとりご説明しましょう、今、お茶を淹れてくれているのは、栗毛の魔法使いイレタちゃんです!」
ひとりひとりに丁寧に出す。
「基礎魔法、初期魔法しか使えませんが、どんどん使えるようになっています!」
「かみのけの、せつめい、いる?」「温かいお茶をありがとうございますイレタ様」
「美味しい……人間のお茶の味がする」「えっアトリちゃん知ってるの?」「イシタさんから」
たまに人間界のものを振る舞っているのか、
だから界とか言うなっていうの俺、それならここは、
あっちとこっちの挟間の世界か? まあそんな感じではある、廃墟だし。
「続いて赤毛のカロリちゃん七歳、ってみんな七歳ね、槍使い」
「グランお兄ちゃんの、パートナーです、いっしょに、まえでたたかいます」
「ちなみにグランくんは剣でいいのよね?」「前衛ですか、よろしくお願いします」「ちょっとかっこいい」
かっこいいって、
どっちかというと七歳にしても低身長で貧弱っぽいが、
ひょっとしてアトリちゃんは『前衛』って言葉がかっこよかったのか?! もしくは槍使いって言葉。
「そして銀髪のルシアちゃん、せぃ、いや僧侶でいいんだよね」
「はい、今は回復魔法全般を、今後についてはグラン様と要相談ですね」
「聖女様みたい」「めがねが、くらい、ですね」「目が弱いんですルシアさんは」
謎フォロー入れるなあアトリちゃん。
「最後にピンク髪の背の高い彼女はアトリちゃん」
「アトリと申します、まだ職業は相談中です」
「本当に七歳?!」「ピンクのめがね、おねえさんっぽい」「実はアトリ様は、ね? グラン様」
ルシアちゃんに振られちゃった、
仕方ないなあ、ここは正体を……
「ではアトリちゃん、正体を」
「はいグランご主人様、では……」
くるくると浮いて舞って回転、
そんな演出しなくてもって? 俺の指示です!
ほら、魔法少女アニメっぽいっていうか、いやこれ敵だな。
「とまあ実はサキュバスです!」
「えっ、魔物?!」「びっくりしました」「眼鏡はどこへ、とか言わないで下さいね」
「いやルシアちゃん、あえて触れなくても!」「皆さんに害は加えませんので、仲間ですよ」
ということで無事に自己紹介は完了だ。
「さて皆さん、それぞれの自己紹介が終わった所で、
みんなこれで幼馴染ということで、よろしいですね?」
「お友達になるってこと?」「よろしく、です」「素敵ですわ」「人間の友達が、増えた!」
とりあえずは喜んで貰えたみたいだ。
「それで、みんな冒険者として、一緒についてきてくれるよね?」
「ついて行くしか、ないみたい」「パートナー、ですから」「もちろんですわ!」「お嫁さんですから」
「えっグランくん、サキュバスをお嫁さんに」「側室です、っていうかみんな奥さん、にしたいのですが」
ハーレムですから。
「もうなっているかな」「パートナー、です」
「正妻はどなたでしょうか」「お友達で、奥さんですね」
「異論は無さそうだね、って途中で嫌になったら言ってね、泣くけど」
さてさて、
これからが最初のご相談なのです。
「冒険者になるために、まずはイレタちゃん」「なあに」
「攻撃魔法以外も覚えよう?」「つまり、賢者になれ、と」
「基本は魔法使いかな、地味な」「うん、グランくんがそう言うなら」
本気出すと魔力がすんごいからね、
それを隠してとりあえずは地味に行って貰おう。
「カロリちゃんは槍を極めて、スキルがそれだし」
「きしだん、なれる、そうです」「ならないでー!」
「グランお兄さんに、したがいます」「お兄さんとお兄ちゃんとお兄さまの違いは?」「……わかんない」
まあ、そこはどうでもいいか。
「ルシアちゃんは」「攻撃魔法も使いたいです!」
「それなんだけどさ、『光魔法を全部使える』ってスキルはどうだろう」
「良いと思います、ただ聖女として目立つのは」「隠せば良いよ、確か光魔法には隠匿魔法もあったはず」
一時的だけどね。
「最後にアトリちゃん」「私は結局、何をすれば」「メイドで」
「メイドって冒険者で、あるのでしょうか」「すなわちそれは」「はい」
「ポーターです!」「アイテムボックスが」「魔物魔法全部使えるなら、モンスターボックスとか」
あったな、そんな跳び箱。
「うそ、魔物魔法、全部」「イレタちゃん、のちに、ね」
「魔物魔法はあまりに多すぎて、まだ勉強しきれていません」
「あっ逆に勉強してくれているんだ、アトリちゃんえらーい」「ご主人様のために」
よし、ここは……
「じゃあ、今からアトリちゃんに、スキルをつけます!」
ポーターになるための、余白記入だ。




