第89話 まだ何か裏で、探られている。
「今週だね、カロリちゃんのお誕生日」
「はい、もうすぐです、ななさいでせいしきな、せいとです」
「グランくんも、ちゃんと同い年だって思ってお話してね」「はいはい」
という朝の登校、
テレポートで行ってみてって言われたけど、
さすがに途中の道で姿を見せないのは不味い、不味すぎる。
(前後を護る衛兵も、仕事させないとね)
今日は先頭がルイスマスさんだ、
そして後衛がガルダさん、良い装備をお持ちで、
最近は高級魔石を売ってウハウハのゲハゲハだもんな。
(ただ、そのおかげで高級水魔石の相場が下がっているとか)
なので、そんなに頻繁には行けないかな、
そろそろオオサンショウウオのボスも復活してきそうだし、
いや、違うタイプのボスが出現する可能性もあるのかな、ひょっとして。
(フレンドリーな半魚人タイプだったりして)
あと河童とか、だったらティムして売るのも手だな、
とか考えながら俺へ頭を下げる領民に挨拶を返しつつ、
イレタちゃん、カロリちゃんと学校へ向かって歩いていると……
「失礼」
うお、前を綺麗な騎士団服の男性が!
いやこれ豪華だな、あれだ、王都の方のか?!
後ろには更に四人、いやこれみんなマジで強そうだ。
(先頭のルイスマスさんに迫った)
なんだか凄い威圧感だな、
若いおじさん、これは三十歳くらいか。
「なんでしょうか」「サバサという名に心当たりは」
「知りません」「本当にか?!」「はい、私はルイスマスです」
今度は俺たちを横目に、
後ろの警備をしていたガルダさんの方へ、つかつかと。
「貴方は知っているでしょう」「知らねえ」
「おかしいですね、商業ギルドでの取り調べで、
サバサと一緒に山賊をやっていたと、ガルダという方が」「いや知らねえ」
しまった、その時はまだサバサさんだった!
でも余白記入で古い知り合いにとっては、サバサさんには見えないはず、では?!
「こちらは王都からの正式な通達で来ている」
「……商業ギルドで話したのが全てだ!」「では、認めると?」
「解放された時にヤツはもう逃げた、関わるなと言ってな、だから知らねえ」
おお、上手く言い訳するみたいだ、
とっさに機転を利かせてくれたっぽいな、
でもボロが出る前に、ここは俺が……!!
「失礼します、フィッツジェラルド子爵家三男、グラン=フィッツジェラルドです!」
「ほう、しっかりした子供だ」「ここは一応、まがりなりにも子爵家領、彼はその護衛、私兵です」
「それが何か」「いわば父の私物、財産です、お話は父を通して下さい」「王命でもか?」「ええっ、王様が関わっているのですか、大変だあ!!!」
と、大袈裟に驚いて見せると、
舌打ちをしたのちに下がってくれた。
「まあ良いでしょう、ガルダさん、その子爵家ご子息を送った帰りにでも」
「だーかーらー、父上を通して下さい、父上ならいっくらでも王様に怒られますから!」
「……仕方がない、行くぞ」「「「「はっっっ」」」」「追加で聞きたい事は、我が子爵家へ!!」
さっさと去って行った、
ふう、なんとか追い払えたようだ。
「グラン様、すまねえ」
「良いんですよガルダさん、学校に着いたら例の方法で送ります」
テレポートで我が家へ。
「それにしてもグラン様」「はいルイスマスさん」
「なぜ相手は引き下がったのでしょう」「あー、よくある手ですよ」
「いったいそれは」「あの人、『王都からの正式な通達』と言いました、わかりますか?」
ちなみにもう、歩きながら話してます、遅刻しちゃうからね。
「王都と言う事は、お城では」
「違うんですよ、『王から』『陛下から』でもなく『王城から』でもない」
「あっ、そういうことか」「はいガルダさん、つまりは王都に居る誰かから、つまり『王』や『王の城』とは限らない」
消火器を売るセールスマンが『消防署の方(向)から来ました』とか言うやつだ。
「つまり、あの騎士団風の男は」
「はいルイスマスさん、あの例のゴロツキと繋がっているんでしょう」
「なんだか申し訳がないっす、ないです」「父上にはちゃんと言っておきますが、うーーーん」
父上はルイスマスさん=サバサさんってわかってるんだよな?
こんなことなら余白記入をもっと早くしておけば、ってそれはさすがに無理か、
とにかく『サバサは逃げた』ってことで、口裏合わせをして貰わないとなあ。
「あの、グランくん」「はいイレタちゃん」
「もうちょっと、楽しいお話、しよう?」「したい、です」
「そうだね、それじゃあ、これはあるキツネの話なんだけど、名前は『ゴン』と言って……」
そして学校に到着後、
衛兵のおふたりはこっそり、
ホームテレポートで帰してあげました。
(にしても、大事にならないと良いのだけれども)
商業ギルドに話を聞けるとなると、
本当にお城関係の騎士団員かも知れないぞっと。




