第77話 そんな都合の良い身内が、居た。
「まあ、そんな噂もあるでしょうネ、若い頃は無茶ばかりしたからカシラ」
家に帰って夕食前の特訓、
いつもは子供組をアナベガさん、
大人組すなわち元山賊を見ているのはホセロペスさんなんだけど……
(ザブラ隊長の言葉が気になったからね)
不快な思いをするだろうからと、
普通なら言わないであろう報告も子供だから、
七歳だからね、多少な失礼があっても許されるだろう。
「でも、元A級なんですよね?」
「一応はネ、引退した後の肩書きのために、ってこれ以上はダ・メ・ヨ」
「あっはい、ごめんなさい」「今はアタシに身を任せなさい、全て、何もかもネ」
……やはり後ろを取られるパターンじゃないか!
だなんて言ってないで剣の持ち方を教えて貰う、
基本は学校へ通う前にザブラ隊長に教えては貰っていたが……
(やはり本物に近い重さは違うな)
体の成長で軽くなってくるとはいえ、
こうやって手に、身体に武器をなじませるのは、
冒険者として生きていくには必須なんだろう、それよりもだ。
(そろそろダンジョンへ行きたいのですよ)
いや早すぎるだろうって?
全魔法を憶えている僕なんですよ、
前衛さえ揃えたら最高級補助魔法で行ける所まで行きたいのです!
(でも前衛ふたりじゃ心配なので……)
冒険者として一線で戦っていた、
ふたりの師匠について行って貰おうかと悩んだ、
ただ、人間的にどうか、秘密を守ってくれるか、色々と見極めないと。
(下手すりゃ利用されて、晒されて広く知られて、おしまいだ)
おさらいすると俺の全魔法を使えるスキルは、
百人に知られると使えなくなる、それは身内でものはず、
なので少なくとも、ある程度の秘密を教えるにもその人数は抑えたい。
「槍の突き方は、自分が槍の一部になることヨ?」「はい、せんせい!」
カロリちゃんもホセロペス先生に教わっている、
衛兵組はアナベガ先生、いつもとは教師交換、僕のせいだけど、
そして今日は泊まりとなってウッキウキのイレタちゃんはというと……
「……! ……!! ……っ!!!」
相変わらず無詠唱で、
自分や僕らにヒールをかけまくっている、
もちろんまだ出来てはいないが……先生方には『ああいう応援方法』てことにしてある。
(それよりもだ、俺がダンジョンへ行くとして……)
ティムしちゃってるふたりは確定、
残りは全魔法使いの俺、で大丈夫なのだろうか、
ダンジョンというのは罠が豊富なのもあり、魔法が使えなくなるエリアもあるという。
(そうなると、やはり海戦山戦、百戦錬磨な冒険者は居て欲しい)
しかし普通に考えると、
こんな七歳児なんてダンジョンは……一応聞いてみよう。
「ホセロペス先生!」「はいグランのボウヤ、何カシラ」
「先生はネコとタチもとい受けと攻め、どっちですか!」
「アラ、良い質問ネ、どっちもヨ、臨機応変、いいわネ?」「はいっ!」
て何を聞いているんだ、そうじゃなくて。
「それで、いつダンジョンへ連れて行ってくれますか!」
「気が早いわネエ、それはアタシ達からの卒業試験ヨ?」
「あー、じゃあ五年後くらい」「そうなるワネ」「頑張ります!!」
……このホセロペス先生、
どこまで信頼できるかわからない、
ある程度の能力を明かして、ダンジョンに行きたいと言ってもどうなるか……
(じゃあ、アナベガ先生は?)
こっちもこっちで良い先生ではあるのだろう、
でもあきらかに身体はぶよんぶよんに衰えていて、
俺の魔法でアシストしまくっても……うーーーん……
(ふたりはあくまで、元冒険者だしなあ)
出来るだけはやくクリスちゃんに、
もう片方の目を入れてあげたいんだけれども、
無理にダンジョンで探すより、ポーション売って買った方が早いし確実な気もする。
(でもそれじゃあ、あんまり実力でどうこうした気にならないんだよなあ)
もうちょっと若くて、
元冒険者でも今も使い物になりそうで、
俺が知っている身内的な人物……ザブラ隊長は冒険者じゃないしな。
(合同クエストとかなんとか言っていたが)
あと、こんな能力の魔法使い、
国の上の方に報告しない訳がない。
となると、そんな都合の良い身内……そうそういないか……
「皆さん、そろそろ夕食の準備が出来ました」
「アラありがとうレイムちゃん、元B級冒険者として、この子たちはどうカシラ?」
いたああああああああああ!!!!!
「私は今は、一介のメイドですので」
「この子爵家に専用の衛兵が居なかったのは、
アナタが居るからって聞いているワヨ?」「もしもの時です」
そんなに強いんだ……
まだ五十そこそこ手前なんだっけ、
でもそこまで老いては見えない、俺が前世で死んだ三十九歳目線で見ても……うん、いけるかも。
「レイムさんの剣も、見たい見たーい」
「見せませんよ」「どうしても?」「どうしてもです」
「もし僕がどーーーーしてもって言ったら?」「旦那様に許可を」「聞いてみる!」
うん、これはターゲットは決まりだな。
「あっ、イレタちゃーーん、お夕食だってーーー!!」
「わかったあぁーー!」「じゃ、きょうはここまでネッ」
さあ、何とかレイムさんと、ふたりっきりになろう。
カクヨムの方に転載はじめました!
あくまでこちらが先行ですが、いずれ追いつくかと。
もちろん追い抜くことはないのでご安心くださいませ!




