第75話 そして今日も普通に登校、と思ったら突然の声掛けが!
「ふぁあああぁぁぁ……」
「イレタちゃん、眠そうだね」
「ずっとヒール練習してた」「えええ」
昨日はもうお休みって言ってたのに。
「日付変ったら、もうやっていいと思って」
「でも無詠唱じゃないよね?」「ベッドでシーツ被ってやってたから大丈夫」
「いやいや、それで朝まで?」「いつのまにか寝ちゃってた、ふあぁぁぁ……」
という迎えに来たイレタちゃんも交えて朝の通学、
欠伸が終わったら無詠唱でまた杖をぶんぶんしている、
ってあの杖って必要か? 俺はあんなもの無しでもイケるぞ。
(そもそも杖っていうのは、魔力の媒体で、攻撃の場合は狙いを定めるために……)
などと考えていると、
俺たちの方へ知らない兵士、
いや冒険者かも、が近づいてきた!
「おい、サバサ! サバサじゃないか!!」
前後を警備している我が衛兵、
その後ろを担当し護ってくれていた、
サバサさんに方へ真っ直ぐに突っ込んで行った!
(やべえ、山賊仲間か?!)
しかしサバサさんは……
「俺はルイスマスだが」「えっ」
「お前は誰だ」「いやいやアサシンのサバサだろ」
「人違いだ、俺はフィッツジェラルド子爵家の衛兵、ルイスマスだ」
そうそう、ホセロペスさんに付けて貰った新しい名前、
その名前のときは語尾に『~~っす』を付けるのを禁止されている。
「いや、その顔は」「すみません、ウチの衛兵が何か」
「なんだこのガキは」「おいおい、子爵様のご子息だぞ!」
「うお、剣を抜くなよ」「俺は同じく衛兵の元冒険者、ガルダだ! そっちの名は?」
まずいと思ったか数歩、引いた。
「いや、サバサのはずだぞそいつは」
「すみません、彼は古くから元A級冒険者ホセロペスさんの弟子ですが」
「違う、お前は」「若、そろそろ学校が」「うん、遅れるとまずいね、これは父上に報告しておこう」
あっ、逃げてっちゃった、
まあ見知った顔だとそうなっちゃうよね、
にしても良かった、今朝までに新しい名前を貰っておいて。
「若、ありがとうございます」
「うん、サ……サバサって誰だろうね」「さあ」
「では行きますぜい」「はい、ガルダさん! カロリちゃん、もう隠れなくて良いよ」「はぁい」
俺の後ろに隠れちゃっていた、
それにしても不味いな、来ちゃうかな家に、
ティムしておけば良かったか? 仲間が居るか。
(スキルで上手い具合に……あっそうだ)
余白記入で、良い事を考えた!
でも今、ここで歩きながらはやりにくいな、
さっきのヤツは……もう近くにはいない、よし。
「……サバサさん」「何っすか小声で」
「サバサさんのご両親は」「記憶にないっす」
「ええっと、会いたい気は」「わからないっすけど、会わない方が良いっす」
じゃあ大丈夫かな。
「相談なんですが、スキルで『古くから自分を知っている人間は、顔を本人と認識できない』というのは」
「つまりサバサってバレないってことっすよね」「ただ、記憶を取り戻しても家に帰れないかも」「別にいいっす」
「本当に?!」「拾って貰った命っす、ご命令のままに」「素直ですね……あっそうか、ごめんごめん」「何がっすか」
ティムしちゃっているから絶対服従だった。
(まあいっか)
別の行で取り消しみたいなことが出来るはず、
行はおそらく、更に埋まっちゃうことになりそうだけれども。
「ガルダさん、ちょっと早歩きで」
「こうですかい?」「はいはい、イレタちゃんカロリちゃん、頑張って!」
「きゅ、急に何で」「いそぎ、ますです」「さっきので時間取られちゃったからねー」
ちゃちゃちゃーーーっと急ぐと、
むしろいつもより五分以上は前に着いた。
「よっし、ルイスマスさん」「はいっ」
「背中見せて」「こうですか」「そのままね」
ステータスオープン!
おお、名前がルイスマス(サバサ)になっている、
確かこの括弧は普通のステータスが見れる人でも、わからないはず。
(余白っと)
さっさと記入しよう。
「くすぐったくなったらごめんなさい」「わかりました」
これでいいかな……
『古くからサバサを知っている人には、別人に見える』
これ、注釈つけず一行でいけんじゃね?
試しに……エンター、っと! あっ、あれっ?!
<条件を限定して下さい、こちらで自動変更しますか? YES/NO>
相変わらずやさしいなあ、
普通の女性だったら惚れちゃいそうだ。
(YES、っと……)
おお、文章が!
『ティム以前、本人を知っている者には別人に見える』
うん、これで良いだろう、
後で問題があれば、後から注釈をつければ良い、YESでリターン!
<申請中>
1秒足らず点滅した後……
<受理されました、一分以内であれば消すことが出来ます>
よし、これで一安心!!
「うあっ?! 身体が熱いっす」
「口調には引き続き、気を付けて!」
「あっはい」「もういいよー」「では、あっしらはこれで」「失礼しまっす」
……今の語尾の『す』は、
ギリギリセーフってことにしてあげよう。




