第68話 真夜中の、山賊アジト探索。
(ふう、二人して抱き合って寝てやがる)
夜、地味ハーレム候補のふたり、
イレタちゃんとカロリちゃんがベッドでどうなるかと思いきや、
普通に打ち解けて仲良くなって、気が付けばこれである、いや百合NTRかよ。
(眼鏡外してる顔も、地味かわいい)
というかハーレムの女の子たち同士がいつのまにか百合に目覚めて、
主人公が追放されて新たに男の娘ハーレムとか築く『なろう小説』とかどうだろう?
まあ死んだ俺はそんな提案した所で、なろうを読む事はもうできないのだが……って着替えよう。
(起こさないように、っと)
これが十年後ならまだしも、
七歳と六歳ならまだ微笑ましいものだ、
そういえば生前、JKくらいの姉妹に誘惑された事あったな、あくまでファンの子。
(もちろん、そんな火傷は負うつもりはない)
他にも芸能界に居ると、そういうのは多い多い、
ハニートラップみたいなものも……そういや父さん言ってたな、
俺が二十四歳くらいのとき『枕営業なんて、吉原いけば20万円で小○A子クラスなんてざらに抱けるから受ける必要ない』って。
(あくまで当時のね、あくまで『クラス』ね)
母さんに黙って本当にそんなとこ行っているとは思えなかったが、
行ってたとして結婚前だろうな、まあそういう訳で俗に言うナイスバディだとか、
そういうのの誘惑は耐性がある、はずなのだが……若い身体は本能に忠実だからなあ。
(さて着替え終わったぞ、行くか)
目覚めて『どこ行くの』とか言われたら、
連れて行って能力を見せる可能性もちょっとあったが、
こんなに幸せそうに眠っているふたりは、そっとしておきたい。
(では……テレポート!)
到着したのは物置小屋である。
「うい~っす、野郎ども時間だぜい」
俺の言葉にガタゴトと奥で音が……
「おう、待ってたぜ」「こんばんわガルダさん」
「まだちょっと筋肉痛っす」「サバサさん、キンキンキンキンお疲れ様でした」
「さっきの、扉の前の声は」「気にしないで、僕だから」「なんか怖いっすね」「今更」
無詠唱で治癒魔法を……
「これで、だいじょぶだいじょぶ」
「ありがてえ、身体が軽い」「すごいっすね」
「この程度はね、蘇生魔法とかは使えないけど!」
嘘です使えます、
魔法全部使えるってバレないために、
こうやってアピールしておくの大切だよね。
(余計なことは言わない方が良い気もするが)
元山賊の私兵、
領兵でいいのかな、
用心棒のふたりも出る準備万端だ。
「にしても、そこそこ良い装備を買って貰いましたね」
「冒険者時代を思い出すぜ」「俺はしっくりこないっす」
「まあいいや、まだ飛べるかな……あったあった、行っくよー……」
とタウンテレポートで、
廃道の廃山小屋へ、うん、
キノコ売ってた場所の前だ。
(人が居なくなっても、一度登録されると消えないっぽいな)
ライト魔法をつける、
あれから人が来た様子は無いな、
ここはここでまた、何かに使えるかもしれない。
「んじゃま、道案内よろ~」
「こっちだ」「足元気を付けてくだせえ」
「そんな場所なの?! 僕はフライの魔法があるから」
照らしてあげながら獣道を進んで十数分、
岩山の陰に無理矢理作ったような山小屋があった、
ここが山賊のアジトか、上空から見えない角度だな。
「もう誰もいねえぞ」
「えー、女山賊とか留守番少女とかは」
「そんなの居たらとっくに売っ払ってるっす」「そっか」
うっわ男くさっ!
匂いだけは残っちゃうもんだ、
中はほんっとゴミ屋敷状態だな。
(奥は洞窟に繋がっているのか)
それぞれ私物を探している、
って探さないと出てこないレベルの酷さよ、
普通に虫が這い出てくるから手伝いたくない。
「……あったあった、冒険者カード」
「何級だったの?」「個人としてはCだ」「わーお」
「俺のは、持って行けるのは特になかったっす」「なんでまた」
ガルダさんが神妙な表情で言う。
「実はな、これは親分に口止めされてたんだが……
サバサは襲った馬車の護衛だったんだ」「えっ、それじゃ」
「その時、急斜面を落ちてショックで記憶を失くして、そのまま俺たちの仲間に」
そんな過去が!
「その馬車というのは」
「わからねえ、親分に聞くか、あとは親分の部屋に何かあるかもだ」
「その部屋は」「こっちだ」「……サバサさん、大丈夫?」「思い出せないっす」
ついていくと頑丈な扉、
立派な錠前がついているな、
ここは無詠唱で鍵開け魔法『アンロック』っと……
「うわあ、比較的マシな部屋だ」
ベッドがちゃんとある、
そして更に、奥に部屋も。
「宝物庫はこっちだが、金目のものは全部売られている」
「どこで売るの」「隣国だ」「ああ、攫った女・子供を売ってたっていう」
「ただ、サイズの合う服は残してあるはずだが……」「きったないなあ」「金は確か……あったぞ」
金目のものはもうないけど、
それを売った金はちゃんと隠してあるのか、
ほんとだ隣国の通貨だ、と思ったらひとつ、異質な金貨が……
「あれ、これ、見覚えがある」
見ると……傷の付けられた金貨だ!
(これ、クリスちゃんが監禁されていた方の山賊の!)
ということは、
方向は正反対でも、
ふたつの山賊は、繋がっていた……?!
「どうしたっすか」
「……まだ生きてるかな、あの親分」
これはちょっと、
本人に聞いてみよう。




