第60話 突然現れた、僕の冒険者パートナーとは。
居間でソファーの中心に座らされた六歳の少女カロリちゃん、
その両隣にデッ、ふくよか系で僕グランの冒険者教師その2となったアナベガさんと、
夫である元ポーターのハビエルさん、年齢のせいか、ごく普通のおじさんっていう感じ。
(あっ、ポーターというのは冒険者で荷物持ちのことです)
いや単なる荷物持ちと思って甘く見るなかれ、
的確に武器や盾の持ち替えをアシストしたりとか、
ポーションを的確に出して使ってあげたりとか、縁の下の力持ちなのです。
「それで、その子はどういう意図で連れてきてくれたのかしら?」
おお、対面で俺の隣に座っている母上が聞いてくれた!
ちなみにグランの冒険者教師その1ことオネエもといホセロペスさんは、
母上の侍女メイドであるナターシャさんに追い返されていました、あの姿では残念ながら当然。
「あたしの弟子みたいなものさ、孤児院から冒険者になりたいって子を引き取って、
一人前の冒険者に育てて、巣立った後に儲かったお金で恩返しをして貰う寸法だよ、
現役時代からやっていてね、教え子が立派になった姿は涙もんだよ、この子もきっとそうなるさ」
ほうほう、そんなに凄い素質の持ち主なのかな?
続いて旦那さんも説明に入る、カロリちゃんの頭を撫でながら。
「もうしばらくしたら七歳になるので、そこで加護やスキルがわかるでしょう、
引き取るのは前衛の出来そうな子ばかりですね、魔力のある子は他所で引き取られ易いので、
あえて武器や肉体で闘える子を、そうでない子も体力があればポーターを目指して育成しています」
ポーターに育てるって、
アイテムボックスがあるならまだしも……
まあ冒険者もピンキリか、俺だって地味冒険者をめざしているし。
「それでグランのパートナーとは?」
「グラン坊やが将来、冒険者として生きていく、生き延びるにはふたつの条件が必要さね、
ひとつはフルパーティーに人を集める事、最低でも五人パーティー、その場合は後衛三人が理想と言っていいさ」
うん、すでに地味ハーレム候補に、
地味魔法使い予定と地味聖女予定が居る、
そこへ前衛を僕グランとこのカロリちゃんで揃えるのか。
(当のカロリちゃんは、緊張しているっぽいな)
そしてまた旦那さんが喋る。
「今の段階から冒険者としてデビューするまで、
グラン様に組ませます、前衛は連携が命です、
下手をすると最悪、互いが刺し合うという可能性もなくはありません」
うん、斬ろうとしたら敵が味方を盾にしたとか、
敵に向かって銃を撃ったら避けられて先の味方に当たったとか、
映画で見た事があるどころか演じた事がある、撃たれた方だけれども。
(撃った仲間を『信じられない』という表情で死んでいけって指導されたな)
あれはさぞかし、
撃った方は後味悪いだろう。
またも交代で喋るアナベガさん、交互かよ。
「だからさ、一緒に暮らして一緒に修練を積んで、
一緒に攻撃してってチームワークを良くするのさ、
素が弱い前衛はそうやって二人で二人前以上の力を付けるのさ」
これは弱いであろう僕グランを護るためか、
でもこれ、裏でこっそり、いざというときは俺の盾になれって言われていそう、
嫌だぞ相方が次々と変わるの、どっかの刑事ドラマじゃあるまいし……最後は最初のパートナーが戻って来るな、それだと。
「ということでグラン様のお好きなようにお育て下さい、
どのようなタイプ、剣士になるか戦士になるか闘拳士になるかはグラン様との相性、
そして妻、アナベガの育成次第ですが、ありとあらゆる意味でパートナーとしてお使い下さい」
いやこれ六歳にして俺の所へドナドナされていないか?
どう見ても貴族への献上品だろう、このカロリちゃんの状態は!
「だそうよグラン、メイドでも、おもちゃにでも何でもしていいって」
「おもちゃって」「んっと、こわさないで、ください、できれば、おねがい」
「いやそんな、その、普通の幼馴染で良いです、ていうかどこで寝泊まりを」「グランと一緒で良いわよ」
そんな、実の兄妹ならまだしも!!
「んっと、グラン、さま」「カロリちゃん?」
「これから、ずっと、いっしょで、いいですか」
「母上!」「貰えるものは、貰っておきなさい」「えー」
人の命をなんだと思っているんだっていう、
でもまあ、こういう世界なら仕方ないかっていう。
(確かに言っている事は、理に適っている)
でもなあ、相手は女の子……
いや男の子の方が嬉しいって変な意味で思ってないぞ!
これが少年だったらまた、違う意味で悩んだだろうけれども。
(まあ、これも運命ってやつなのかも知れない)
俺がこの異世界に来たのは、
地味ハーレムを作って目立たず生きること……
そのために協力してくれるのであれば、断る理由は無いか。
「じゃあカロリちゃん」「はい」
「嫌になったら、いつでも言ってね」「いいません」
「えっ」「いやにならないように、して、ください」「あっはい」
好きにして良いなら、
本当に好きにしてしまおうっと。
「母上、でもなんだかんだいって、彼女の面倒は僕が」
「しばらくはあたしも住むから、いざとなったら面倒見るさ」
「あ~ら、アタシにも任せてちょうだイ」「あっ、まともな服になってる!」
とはいえテキサスロッキー風の服装だけどね、このオネエ……
いやはや、この世界のファッションどうなっているの、まあいいか。
「カロリちゃん、よろしくー」「んっと、はいっ!!」
仲良く手を握り合いました。




