第56話 余白記入、その対価のバランス。
魔物:サキュバス(アトリ) 性別:メス
体力:43 魔力:20 魔法:(なし)
装備:学生服 スキル:飛行
すっきりしてるなあ、
あと魔物は年齢表示されないのか、
七歳なんだよな、でも言葉遣いは十歳レベルくらいまである。
(魔物と人間じゃ、成長度合いが違うのかも)
寿命の長さとかどうなんだろう、
いやサキュバス、インキュバスを含め魔族という生物は、
総じて早熟でもおかしくはない、もちろん個人差、個別の違いはあるだろうが。
(そんなことよりステータスだ)
魔法:(なし)は今後憶える可能性があるのだろう、魔力あるし。
「ええっとアトリちゃん、欲しい能力とかある?」
「やはりサキュバスとしての能力は、できるだけ」
「うーん、サキュバス魔法」「もちろん魔法はできるだけ」
俺が人間の学校でイレタちゃんにしたみたいな、
初期魔法全部っていうのよりもは魔物魔法全部がいいらしい、
でもこれだと対価の注釈って、イレタちゃんと同じじゃ無理そうだ。
(あと、声を枯らせるようなことはしたくない)
だから、出来れば無詠唱もつけたい、
それだとバランスを考えると、かなりきつめの条件に……
女神様の俺個人へのサービスで、プラスマイナスゼロほどの負荷は必要では無いが。
(でも、サキュバスへ付ける条件となると……)
対価のバランスが難しいな。
「アトリちゃん、魔物の魔法を全部、無詠唱で憶えられるとするね」「はい」
「そのために何か対価が必要だとすると、どこまで差し出せるかな」「そうですね、片目?」
「いやいやそれは」「お金と材料があればブルラズさんに治して貰えると」「あっそうか、なるほど」
とはいえ、魔物とはいえ親からもらった大事な目をねえ。
(それに簡単に、でもないか、施術で治せるなら対価として弱いかもしれない)
もっとこう、目玉程ではない身体的特徴……
サキュバスって見た目に価値があるよな多分、
そこをうまく利用できないかな、いや対価に翼とか、そういうことじゃなく。
「ちょっとくすぐったくなるかも」
「我慢します!」「坊ちゃん」「人目があるから変な事はしないよ」
イシタさんにそう言ったとはいえ、
じゃあ人目が無かったらするのかっていう、
あとサキュバスは人かっていう話はスルーで。
(魔物魔法、おそらく膨大にある、調べるなら早い方が良いよな)
とはいえ、迂闊に使ってこの村が焼野原になる可能性があるのか。
「魔物魔法を憶えても、迂闊に使わないでね」
「はい、グラン御主人様」「いやまだ早いって」
とりあえず余白一行目はっと。
『十二歳までに全ての魔族魔法を憶えられるようになる』
このままだと紅枠で弾かれるよな多分、
一旦消されるのは面倒くさいから、このままにしておこう、
そして条件は、うーーーん……こういうのはどうだろうか?
『※ただし生涯、ひとりしか愛せなくなる』
クリスちゃんに入れた注釈と同じにしてみた、
これが通れば今後、調整のベースはこれになるな、
とはいえ十行あるうちの二行であり、同じ人に同じ手は使えないだろう。
(これで行けるかな……?)
あっ、まずは本人に確認を。
「アトリちゃん、将来はインキュバスと結婚するの?」
「わかりませんが人間界へ行ったら、そういう出会いも無くなるかなと」
「帰りたい時には帰れるよ」「あの、なぜそういうことを」「僕はどうかな」「いいんですか?!」
あっ、振り向いちゃった、
ステータス画面も消えちゃった。
(これは乗り気だな、ちょっと時間を置こうか)
多分、ご両親に相談も必要だし。
「人間とサキュバスって、結婚できるのかな」
「側室であれば特に問題は無いと」「あ、イシタさんそうなんだ」
「それよりも、手続きが終わったようです」「グラン様」「クリスさん!」
学校の服を着せて貰ったみたいだ、
背中を見せてくれる、ぱっくり開いて肌が見えるのは、
本来、翼が生えている場所なんだろうなあ、その上からマントを羽織った。
「これで、飛べます!」「うん、気を付けてね」
「グラン様に会いたくなったら、飛んで行けますね!」「それはちょっと我慢して」
「いつまでですか? どうしても我慢できなくなったら、どうすれば」「ちょっと近い近い近い!!!」
……余白記入に、
ヤンデレ禁止を入れられないものかな。
「クリスさん」「はいアトリ様」
「グラン御主人様が困ってらっしゃいます」
「もっとはっきり見たくて」「なるほど、まだ距離感が掴めていないのですね」
どっちの意味だどっちの、
まあ両方だろうけれども。
「ええっと、それじゃあとりあえず帰ろうか」
「はいっ、グラン様」「あの、私は」「アトリちゃんは普通にアトリちゃんの自宅では」
「そうなのですか」「ねえイシタさん」「そうですね、今はまだグラン坊ちゃんの世話は」
今の所の立場は、
まだあくまでもクリスちゃんのお友達で、
あとは自主的な? メイド見習いだからね。
(ここでひとつの疑問が)
なぜ今まで気が付かなかったんだろ。
「そういえばイシタさん、人間の学校と、
淫魔の学校では休日が違うんですね、ってここ休みあります?」
「はい、人間の学校と同じように五日出て二日休む」「でも、ずれてますよね」「合わせる必要が、ありますか?」
確かに。
(統一された土日の概念とか無いもんな)
特に相手が淫魔なら、尚更。
「では、帰りましょう」
「「「はあああぁぁぁ~~~い!!!」」」
なぜかクリスちゃんアトリちゃんと、声を合わせちゃった。




