第48話 これで姉上は、未来のプロフェッショナルに。
「それにしても、レイムさんにテトを取られてどうしようかと思ったけど、
グランとこうしてお風呂に入れたから良かったわ」「普段でしたら僕、テトさんに追い出されそう」
「よくわかるわね」「七歳ですから」「じゃあ、一緒に入れるのも今日で最後ね」「かもねかもね」
ルミエル姉さまのお付きメイド、
テトさんが居ないのはメイド長のレイムさんに、
例の下着洗い残し問題で怒られているのか。
(いや確実に俺のせいだ!!)
テトさんにも『余白記入』をしてあげたい気分。
メイド長がどうして口裏合わせみたいなのをしてくれたのか、
後でイシタさんに聞きたいけれども……もう一回くらい、今夜くらいに話をしよう。
「いつまで後ろにいるの?」
「はっ、恥ずかしいからですっ!」
「七歳なのに?」「七歳だから」「男の子なのに?」「そんなもんです」
ということにしておこう。
「姉上、スキルは何が欲しいですか?」
「まるでグランがくれるみたいね」
「祈るだけです」「祈るだけねえ」「無料ですから」
そしてチャンスなのです。
「……そうね、嫁いで困らないような」
「困りそうなんですか?」「不安は沢山」
「じゃあ、不安の無いように」「任せるわ、遊びだし」
それが本気なんですよ。
(側室スキル、やっぱこれかな)
お嫁さんといえば……
『超床上手』
いやいやいや、
十一歳でこれは人生歪む!
おそろしいセッ●スモンスターに姉上をする訳にはいかない。
(家庭的な方面で行こう)
となると、ここは……
『家事炊事洗濯掃除なんでも完璧にこなせる』
とりあえずエンターっと。
<このまま申請しますか? YES/NO>
すんなり行っちゃった、
いっそのこと掃除の後に『ご奉仕』を……
いやいやいや、なんだかとんでもないルートに行きそうな気がする。
「では姉上、家事炊事洗濯掃除が完璧にこなせるおまじないをかけます」
「いいわね、それで出来るようになったら、それはもうグランは呪術師として食べていけるわ」
「そんなスキルあるんですか」「さあ」「どっちみち僕はスキルなしですよ」「でしょうね」
YESで、リターン!!
<申請中>
あっ、緑の枠の点滅、
今回は直じゃなく、ちょっと時間がかかっている!
確か微妙な場合、AIで判断できないと女神様が手動チェックするんだっけ。
<受理されました、一分以内であれば消すことが出来ます>
これで完璧なお嫁さん(当社比)の完成だ!!
「よし、終わりました、姉上はこれで家事炊事洗濯掃除が」
「出来るようになったの?」「頑張って習得すれば」「自力じゃないの」
「でも、やるだけやってみてください」「……気持ちは受け取ったわ、ありがとう」
ステータス的には変化はあるのだろうか?
横に並ぶ前に、仕上げ的にさらっと見てみよう。
名前:ルミエル=フィッツジェラルド 年齢:11歳 性別:女性
体力:74 魔力:30 職業:回復士(花嫁修業中)
装備:なし
加護女神:グルファ スキル:パーフェクトメイド
魔法:ヒール、(ハイヒール)(フルヒール)(エリアヒール)(ポイズンキュア)……
メイドになっちゃったああああああああ!!
(プロフェッショナルメイドの爆誕だ!!!)
いやこれ、まさかのレイムさんコースでは?!
……とりあえず様子を見よう、取り消しは出来ないけど(今すぐならできる)、
何か問題があればあと余白は十行ある、特別枠じゃないけど……すすすっと隣りへ。
「姉上」「おまじないは終わった?」
「はい、明日学校で会うんですが、イレタちゃんというお友達が出来て」
「それは本当にお友達?」「多分」「お金とか、たかられてない?」「貴族の子供あるあるですか」
嫌なあるあるだな、
お友達料かよっていう。
「その子がどうしたの?」
「魔法使いになりたいらしく、ファイアの練習を熱心に」
「出せるの?」「魔力はあるけど、まだ出せないらしいです」
余白記入のおかげで、
時間の問題だけどね。
「そう」「でも、いつか出せる気がします、だから姉上も」
「ヒールを?」「はい、練習してみてください」「……ありがとう」
「姉上は魔力があるから、きっと」「グランはどうするの」「先生を発注しています!」
そうそう、
母上のその件も、
どうなっているのだろうか。
「どんな先生?」
「腕が確かでセクシーで実績があってセクシーで教師が出来てセクシーで」
「何の先生なのよ」「剣術か武術か拳闘術か」「それでセクシー?」「僕の希望は」
でもどうしよう、
それこそサキュバスが来たら。
「それで将来は」「地味な冒険者です!」
「王都で衛兵になるとかではなく?」「あれ派手ですよね」
「確かに、でもやってる仕事は地味よ」「それよりも地味になりたいです!」
なぜかため息をつく姉上。
「……嫁ぎ先が上位貴族なら、私兵に推薦も出来たんだけど」
「あーーー……お心遣い、感謝致します」「七歳よね?」「七歳です!」
「そのあたり誰に教わったの」「学校に通い始めました!」「まだ数日じゃ」「2日です!」
そうか、あまり良い成績を取り過ぎると目立つな、
領主の息子ってだけで、すでに注目の的なんだし……
でも、だからといって、わざと間違えるのは違う気もする。
(まあ所詮、狭い狭い子爵家領内の話だ)
さっさと冒険者になれば、
そのあたりも関係なくなるだろうし。
「グラン、強く生きてね」
「姉上も、明日からヒールの練習を」
「わかったわ、やってみる」「たのしみー」
実はもうすでに、
使えるんですけれどもねっ!!




