第47話 本当にスキルが無いと、こういうことになるのか。
名前:ルミエル=フィッツジェラルド 年齢:11歳 性別:女性
体力:44 魔力:7 職業:女学園生(花嫁修業中)
装備:なし
加護女神:グルファ スキル:なし
えっと、この女神は確か戦闘系だ、しかも素手の。
なのでルミエル姉さんが怒ると引っ掻くのもその影響か、
ってスキル無いのか、俺の、この僕グランの擬装でも何でもなく。
(嫁入り道具が無い状態かあ)
魔力はあるけど魔法は憶えていない、
僕の七歳までの記憶だと、魔法を憶えるのは、
スキルとか上級加護女神とかついていなければ、おおむね成人まで。
(つまり、このまま行くと魔法が使えない嫁に)
学園では、どう伸ばしているんだろう。
「姉上、女学園では何を学んでいますか」
「マナーね、あと子供が生まれた後の、赤ちゃんの育て方とか、
軽く踊りや護身術もってこれは全生徒ね、それと紅茶の淹れ方とか……」
うわー、これ、あきらめられている!
特技を伸ばすとかではなく、完全にメイドに近い奥さんだ、
これは確かに『押し付け合い』をされていても、不思議じゃないぞ。
(助けてあげたい)
俺が、いや僕グランが巣立って、
もう身内誰かの結婚式か葬式でしか会えなくなっても、
それでも幸せで居る事を願いあえる、そんなきょうだいで、ありたい。
(それにはスキルなしは、あんまりだ)
よし、余白記入を、使おう。
「姉さま、何か欲しいスキルや魔法はありますか?」
「……そう、私がスキルなしって聞いたの」「僕もです」
「うそっ?!」「本当ですよ、だから欲しいのないかなって」
しばらく無言の姉上、
おそらく考え込んでいるのだろう。
「魔法はまだ、魔力があるからあと四年で憶える見込みはゼロじゃないって」
「僕が、このグランが、祈ってみせますから」「そうね、せめてヒール、攻撃魔法なら」
「姉上は怒ると引っ掻くから、ヒールが良いですね」「んもう」「ちょっとくすぐったいかも」
ステータスをずらして……
あれ? ちょっとずれた範囲がいつもより多くないか?
……うん、多い、余白っていつも十行なのに、十二行もある!!
(これもいわゆる、ひとつのスキルでは?!)
そうか、スキルなしに見えて、
こういう隠れた部分でオマケがあるのか、
よし早速これは、使うしかない、こんなチャンスないからね。
「グラン、七歳おめでとう」「あっはい、ありがとう」
「何か欲しい物ある?」「じゃあ祈らせてください、ヒールが使えるようになるって」
「私に?」「はい、そしてその気持ちを、受け入れる心を持って下さい、今ここで」「……わかったわ、おまじないね」
これなら『合意』扱いになるかな?
よし、余白記入、まずは条件なしに……
『ヒール系魔法を使えるようになる』
エンター!
<特別余白です、要求はもっと大きなものに出来ます>
親切AIきたあああああああああああ!!!
(やっぱり余白二行増加は特別枠だったか!!)
もっと欲張らないと。
「蘇生魔法も、ついでにどうですか?」
「人をバケモノにするつもり? 嫁入りどころか教会に軟禁されるわ」
「あっはい、そうですね」「だったら解毒魔法ひとつでいいわ」「ふたつかみっつの方が」
解毒魔法は回復魔法系統だけど、
いっそ解呪魔法、いやこれだと『過ぎる力』か、うーん。
「なら、回復魔法を全部」「ぜ、ぜぜぜ、全部?!」
「祈るだけですよ」「そうよね」「あくまで家庭や身内で使って下さいね」
「まるで憶えるの前提ね」「ちょっとくすぐったいかも」「そろそろ冷えるわ」
それじゃあ、っと……
『徐々に全てのヒール系魔法を使えるようになる』
リターン!
<このまま申請しますか? YES/NO>
条件無しだ!!
ってよく見ると文章が勝手に変わっている。
『徐々に全ての回復魔法を使えるようになる』
姉上が寒がっているし、
とっとこ記入を付け太郎だ、へけっ!!
<申請中>
からの~~~……
<受理されました、一分以内であれば消すことが出来ます>
きたーーーーーー!!!
「姉上、姉上!」
「……どうしたの」
「なんだか姉上が、頑張ればヒールを使えるようになった気がします!」
立ち上がる姉上。
「寒気じゃないけど何だか少し暖かくなったわ、お湯を流して」「はいっ」
ざばああああああーーー……
「ちょ、頭からかけないで!」
「だめでしたか」「んもう、七歳だって忘れてたわ」
「いや誕生日を祝ってくれましたが」「湯船に入るわよ」
何はともあれ、
こういう感じの合意でも、
余白記入は出来た、うん、良かった。
(お風呂の中でも後ろに回ってステータス確認、っと)
変化はあるかな?
名前:ルミエル=フィッツジェラルド 年齢:11歳 性別:女性
体力:44 魔力:30 職業:回復士(花嫁修業中)
装備:なし
加護女神:グルファ スキル:なし
魔法:ヒール、(ハイヒール)(フルヒール)(エリアヒール)(ポイズンキュア)……
あっこれ、使えるけどまだ憶えてないのも見れるんだ!
「どうしたの? ほくろでも探しているの?」
「いや、もうちょっと祈らせて!」「変な子ね」
「女神様の加護は、祈ると強くなると」「どこで」「学校で」「あっ、もう通っているのね」
まだ二日しか行ってないけど!
明日は三日目か、ってそれよりもぉ……
(まだ一行しか使ってない、特別余白はもう一行あるよね?)
今度はスキルを書き込もう。




