第38話 淫魔の学校、好きなサキュバスを選べと言われても。
「こちらですよ坊ちゃん」
「うん、夜も深けてるのかな、すれ違う淫魔さん(サキュバス&インキュバス)が多い」
「大丈夫とは思いますが、離れないように」「何が?」「……もうすぐですよ、ほら、あちらです」
大きな屋敷というよりも、これは……!!
「ひょっとして」
「はい、学校です」
「サキュバスと、インキュバスの?!」
今は昼休み、
いや真夜中休みかな。
「待っていたわイシタ」
「ルマナ、こちらが人間の領主の」
「長老から聞いているわ、始めまして、教師のルマナよ」「おはようございます!」
放送業界界隈では、
挨拶は昼でも夜でも『おはようございます』と教えられた、
子役の時は従ったが反抗期の頃に、中学に入った頃かな? 急に挨拶を、
『お疲れ様です』
に変えた、なぜ変えたか憶えてない、
だが父も母も兄も姉も気にしなかったし、
現場のスタッフも誰一人注意しなかった、というか別にマナー違反とかでは無いらしい。
(結果、芸能科のある高校に入った時期に『おはようございます』に戻した)
ちなみにその高校、芸能活動での欠席であれば、
出席日数が足りない分、雑巾を作って提出すれば卒業させて貰えた、
女性アイドルなんかはマネージャーが裁縫して作ってたらしいが、俺は自作だ。
(という事を思い出しながら、ついて行った先は体育館っぽい)
行くと、可愛らしい少女サキュバスが遊んでいた。
「ウチの生徒、とりあえず五人、さあいらっしゃい」
サキュバスがサキュバスを数える時も『五人』なんだ!
呼ばれて並ぶ、色々と個性的だけど、服は露出の少ないサキュバス服みたいだ。
「順に自己紹介させるわね、バレリア」
「はい、バレリア九歳です、よろしくお願いします!」
おいおいおい、
九歳にしては胸があるぞ?
いやもちろん人体的な意味では誰にでもあるが。
(あんまり詳しく描写するのは、やめておこう)
将来が楽しみだ、的な……普通の男ならば。
「質問が無ければ次に」「あっはい、どうぞ」
「フィラ八歳、飛ぶのは得意です!」「そんなに?」
「一番高く飛べます!」「そうなんだ、偉いね」「へへへ」
ちょっとボーイッシュ、
やんちゃな従姉って感じかな、
地味さとしては、残念、もう一歩。
「次の方どうぞ」「貴族の子はこういう言い回しなの? イシタ」
「ごめんなさいルマナ、私もよくわからなくって」「気にしないで! 真ん中の子」
「はいっ、ヴェアトリチェ八歳、なんでもします!」「なんでも?」「ええ、なんでも!」
いるんだよな新人子役の女の子で、
大して考えず大人にこう言っちゃう子、
結果的に泣かされることが多いんだけど。
(変な意味じゃないよ!)
でも最近はコンプライアンス的に、
って俺もう死んでるんだった、死ぬ間際の頃の話ね、
いやフィリピンに逃げる前から結構その辺は厳しくなっていた。
(BSドラマが製作中止になるくらいには)
子役を撮影で深夜まで怒鳴って……
なんて考えているうちに、次の子か。
「……ラケ、七歳」「えっと、恥ずかしい?」「いえ」
「嫌なの?」「いえ」「つかれてるの?」「いいえ」「面倒くさいの?」「……ちょっと」
「ごめんなさい、この子、色々と薄いの」「あーーー……肌も白いし」「そういう意味じゃなくて」
淡白と地味は、違う。
「最後の子は?」「アトリです、七歳です、特技はありません」
「ほんとにい?」「人の世界は、行きたい気はあります」「なんでまた」
「なんとなくです」「なんとなくかあ」「行くなと言われたら、行きません」
それほどでもって感じか、
でもこのメンバーでピンク髪ながら一番の地味だ、
子供だけどわかる、これは成長しても、絶対に地味になる!
「それでイシタさん、僕も自己紹介をすれば良いのですか?」
「したいのでしたら」「それではみなさん、おはようございます」
「夜です」「夜だよ」「夜なのに」「夜……」「おはようございます」
最後の子、
やっぱり良いなぁ。
「一応この村の、人間としての領主、フィッツジェラルド子爵家三男、グランです!」
「さあグラン坊ちゃん、この中から将来、メイドにしたいのは居るかしら?」「えっ、選ぶの今?!」
「その方が、今から教育できますから」「いつ来るの?」「子爵家でも働かせたいので十二歳から、早める事も出来ますが」
とはいってもなあ……。
(全員キープで、もうちょっと成長してから! とかは無理か)
そうなると、
選ぶのはもう、ひとりしか……!!
「グラン様、この五人の他にも一応、十歳と六歳がひとりずつ」「決まったよ!」
「では、どれに」「アトリちゃん」「……えっ、私?!」「地味なのが、気に入りました!」
「本当に、いいの?」「将来、大きくなったら僕を吸うの?」「ええっと」「グラン様、その話は五年後に」
まだ早いかあ。
「ではグラン様のメイドとして、明日より教育致します」
「いいの? 代わりにイシタさんがここへ帰っちゃたりしない?」
「厳密に定員が、人数が決められている訳では無いですし、それに……」
それに、と言いながら耳打ちするイシタさん。
『口止め料ですから』
サキュバスをメイドにやるから、黙ってろと。
(まあ、七歳児が『イシタはサキュバス』と言った所で、ねえ)
それより俺の不思議な能力の方を、警戒しているのかも。
「アトリちゃん、クリスさんと仲良くできる?」「……だれ?!」
「グラン様、それも含めて、こちらで教育致しますから」「うむ、頼んだ!」
「坊ちゃん、本当にこの子で、アトリで良いのね?」「君に決定! ひゅーひゅー」
あっ、アトリちゃん、
まんざらでもない感じに微笑んだ!
(地味ハーレムに、サキュバスかぁ)
うん、これはこれで、アリかも知れない!!!




