第37話 まさかの返品騒動、さすがに上手く行きすぎていからね。
「えっ、返品ですか?!」
本当に寝ちゃいそうになった頃、
ようやくイシタさんが迎えに来てくれて、
錬金術師ブルラズさんを再訪したら、まさかの返品である。
(酔いが醒めてるっぽいな)
まだちょっとお酒くさいが、
この部屋に染みついているのか。
「長老様から借りた『業の天秤』で調べたら、
ふたりだけ傾き切らない人間が居てね、逃がす事になったわ」
「それで返品ですか」「記憶を消しておく?」「どこまで」「丸一日分まで出来るわ」
だと、急に盗賊仲間が十八人も消えることになるのか。
「んー、それだとまた悪い事を」「二人なのに?」
「山賊とは限りませんが」「でも、傾き切らない以上は人間の領分ね」
「つまりは僕の」「こっちに任せるなら廃道に捨ててくるわ」「うーーーん」
ティムしちゃってるからなあ。
「クリスさんの世話係に」
「どっちみち一旦は出て貰うわ」
「困りましたね」「だから私も酒を止めたわ」
いや多分いつも呑んでるんでしょうに、
何を言っているんだこの酒焼け声サキュバス:CV上●瞳が!!
(でもまあ、話が上手く行きすぎてたから、なぜかほっとした」
サキュバスへの必要な代金が人間二十人、
来る途中で捕まえた盗賊が二十人、出来過ぎだろう、
これはもしや女神様の仕業では、と思っていた所でこれなので、ちょっと安心した。
「わかりました、その男ふたりは持って帰ります、
それで目の件なのですが、準備が整いました、もう大丈夫です」
「つまりは?」「サキュバスにするように、最高級魔石を彼女の目にして下さい」「施術してくださいっ!!」
深々とお辞儀をするクリスちゃん、
俺も頭を下げておこう、すると首筋を掻くブルラズさん、
何か困っている表情だけど何だろう? 人間相手だと不安なのかな。
「お代」「えっ」「ふたり返品でしょ」
「あっ、足りないのか」「女でも良いし、対価があれば人間でなくても良いわ」
「人間のお金ですか」「それだと金貨でも足りないわね」「そっかぁ、金貨あるんだけどな」
印の傷があるから、
ウチの領内で使うのはやめて欲しいけど。
「あとはモノでも良いわ、アイテムとか」
「例えば」「ポーションね」「ポーション屋さんなのに?」
「だからよ」「あっ、仕入れか」「人間のは質が良いと聞くわ」
買ってきて売るか、
でも金貨以上に価値があるポーションだよな?
そういえば魔法一覧で、確か『ポーション』の文字を見た気が……
「ちょっと失礼しますね」
壁に向かって魔法確認っと。
「時間かかる?」「そこそこ」
「ではクリスって言ったかしら」「はいっ!」
「目の様子を見たいから裏へ」「わかりました!」
チェックしてくれている間に、
俺も俺で魔法をチェック、っと……
あったあった、クリエイト魔法ってある。
(ええっと、ポーションクリエイト、スペシャルポーションクリエイト、エリクサークリエイト……えっ?!?!)
今、なんだか凄い魔法の名前を見たぞ?!
よし、じゃあここで使ってみよう、どうせ待たされているし……
他に客は居ないよね? サーチしても奥に行った二人以外はイシタさんが外で見張り、あとたまに通行人いや通行サキュバスが反応するくらい。
(よし、無詠唱で……『ポーションクリエイト!』 ……あれ?)
ずらーーーっとポーションの種類が並んで見える!
【作成ポーション】
体力回復ポーション:使用魔力100
魔力回復ポーション:使用魔力1000
高級体力回復ポーション:使用魔力500
高級魔力回復ポーション:使用魔力5000
最高級体力回復ポーション:使用魔力1000
最高級魔力回復ポーション:使用魔力10000
※作成すると使用分の魔力回復は遅くなります
すげえ、にしても魔力消費が半端ねえ。
(よし、では試しに一番高いのを……)
魔力無限だから、いけるよな?
「えいっ!!」
おお、空中に出現して浮かび上がった!
慌ててキャッチ、うん、濃い青色だ、凄そう。
(俺の魔力は無限大で変わりない)
じゃあ今度は体力の方を……あれ?
<次にこの魔法を使用できるのは24時間後です>
ですよねーーーーー。
でもまあ、これで人間の対価になる……かな?
ちなみに別の魔法はっと、こっちも無詠唱で!!
(『スペシャルポーションクリエイト!!』)
駄目かな?
いや、行けたな!!
【作成ポーション】
キュアポーション:使用魔力250
クイックポーション:使用魔力500
クリアポーション:使用魔力2500
ダブルポーション:使用魔力25000
ストロングポーション:使用魔力50000
パーフェクトポーション:使用魔力250000
完璧ときたか!
これは試すしかないな、
一番良いのを……えーーーいっ!!
(うわ、今度は銀色のが!!)
いったい、どんな効果なんだろう……??
あっ、一応確認のために別のも、ええっとストロングでいいかな。
<次にこの魔法を使用できるのは24時間後です>
さて、残されたのは……
エリクサーってこっちの世界の記憶だと万能薬、
前世の世界だと、まあ言わずもがな、最高級の回復アイテムだ。
(使っちゃう? やっちゃう? やっちゃおっか!!)
それでは……いいのかこれ、
これはさすがに造れるところは、
身内でも見せたくないな、って奥から戻ってきた!!
「はいお待たせ、同じ施術ならできるけど……あら、どうしたのかしら?」
「対価を、用意致しました、ちゃんとふたつ」「どれどれ」「ポーションふたつです!!」
出来立てのを渡すと……!!
「これ、本物よね」「はい」
「どこで手に入れたの?」「家宝です!」
「いいの?」「いいんです!」「本当にいいの??」「本当にいいんです!!!」
大切そうに仕舞うブルラズさん。
「じゃ施術してくるわ」「えええ」
「助手を呼ぶから、また後で来てね」
「グラン様、行って参ります!」「うん、行ってらっしゃい」
……やっぱり、すんなり行き過ぎだよ!!!




