第36話 最高級魔石を目玉に使う、そのための余白記入。
「うーーーん、まず僕の持っている魔法で『目玉をくっつける』とか『目玉を生やす』とか、
あと『生まれ持っての欠損を治す魔法』っていうのは、治癒魔法では無いみたいだね」
他もざーーーっと流し見したが、
意味がよくわからない魔法も含めてそれらしいのは無かった、
つまり、この世界の全魔法をもってしても、元から身体に無い目は造れない、と。
(魔法一覧を隅々まで見て精査した訳じゃないけどね)
残念ながら七歳児の集中力だと、
まあ無理です、時間をかける気力も無い、
いやこの年頃は、面倒臭いことは我慢できないのですよ。
「ではやはり施術を」「それが出来るようにするね」
「サキュバスに、なるのでしょうか」「それは僕が嫌だ」
「では他の方法で」「目が見えるようになる下準備をするから、受け入れる気持ちで」「はいっ」
合意が無いと書き込めないんだよな、
だから戦闘中に敵のステータスを開いて余白記入、
なんていうのは無理……ティムしたら出来るのかな、それはもはや戦闘では無い気もするが。
「えっとじゃあ、まずは」
とりあえず、こんな文面かな。
『サキュバスと同じように、最高級魔石を目玉の代わりに出来る』
とりあえずこれで……エンター!
『最高級魔石を目玉の代わりに出来る』
あっ、サキュバス要らないんだ!
勝手に文章が変換っていうか削られた、
だが枠が黄色で点滅した、少し待ったのち……
<条件を設定して下さい>
やっぱり注釈を求められた、
ある程度のリスクというかデメリットは必要かあ。
「とりあえず目玉には出来るみたいだけど、条件をつけろって」
「目の代わりに失う場所ですか」「いや、多分だけど身体の一部とかじゃなくて」
「では、グラン様しか愛せない身体になる、と」「いやそれは」「やってみてください」
試しに入れて見よう。
『※ただし、グランしか愛せなくなる』
リターン!
<条件適応の出来る文章に直しますか? YES/NO>
便利機能がまたきたこれ。
「文章が変わるみたい、ちょっと待ってね」
YES、っと……
しばらく待つと枠が緑になって!
『※ただし、最初に見た男の人に惚れてしまう』
そうきたか。
「なんかね、初見の男に惚れるのが条件みたい」
「それでお願いします、そしてグラン様が最初に」
「いいけど、僕がとんでもない不細工だったらどうするの」「見えないよりもは!」
……なんだろう、微妙に傷つくぞ。
(まあ、確かに結婚相手を勝手に決められるような世界だし、ここ)
七歳なりの、この世界での知識ね。
「なら、政略結婚と思ってあきらめてくれる?」
「私、運命とか信じちゃうタチなんです、ですから」
「いやタチが悪いな」「それで結局」「後悔しない?」「しません!」
じゃあ後は、俺の覚悟か。
「地味に生きて行く覚悟はある?」「あります!」
「奥さんが他にあと三人できても大丈夫?」「一桁までなら!」
「俺の中身が三十九歳のおっさんだったとしたら?」「……外見は」「七歳だけど」「我慢できそうです!」
我慢するのかよ!!!
(まあ、おっさんは忘れて貰おう)
「なんか、目が見えるようになったとたん捨てられそうな」
「そうならないための制約ですよね?」「そうなるの、かな」
「世界を見たいんです、本当の『見る』って何か、『見える』って何なのか」
七歳半なりに考えているんだな、
長老さんの言った感じだと精神年齢は倍で十五歳か、
見えない分、頭脳に割り振っていたんだろうな、俺の奥さんには申し分ない。
(年上の女房は、金のたにしを喰ってでも探せ、だっけ?)
年上って言っても、
半年しか違わないけどね。
さあ、では実行してみよう!
「取り消し不可だからね、行くよ?」「はいっ!!」
ではこれで……
『最高級魔石を目玉の代わりに出来る
※ただし、最初に見た男の人に惚れてしまう』
枠は当然、緑色だ。
<このまま申請しますか? YES/NO>
と、いうことでぇ……YES、
これで二行消費! 残るはあと八行!!
<申請中>
通ったーーー!!
点滅中だ、どきどきする。
「今、処理中だから!」
「はいっ! はいっっ!!」
興奮してるな、クリスちゃんも。
<受理されました、一分以内であれば消すことが出来ます>
よし、これで下準備は出来た!!
「なんとかなったよ、仕込みは完了!」
「それで、いつ見えますか? 今はまだ見えません!」
「待って、人としての準備が終わっただけだから、このあとまだ諸々あるから」
まずは施術してくれる、
ブルラズさんの準備待ちかな。
「あの、あのっ」「はいクリスさん」
「グラン様、これから、末永く、お願い致しますっ!」
「いやいや、色々と気が早いから!」「もう一息ですねっっ!!」
嬉しくて仕方が無いみたいだ。
(……やべえ、俺もちょっと、いや、そこそこ嬉しい)
これは幸せにしてあげないと、ね。
それにしても話を変えて、改めて思うんだけれども、
なんで俺たちって地下牢に閉じ込められているんだろう???
「まあいいや、お菓子をたーべよっと」「私もっ!!」
眠くなったりして、まあ夜だし。




