第28話 全てを聞いていた聖女、望むのはやっぱり。
「ここでお昼ご飯にしましょう」
予定より早く到着したらしい山、
本当はこのあたりでおやつタイムの予定地だったらしいが、
日が沈む前に村へ行けそうだということで、イシタさんの言葉で急遽、このボロ山小屋に入った。
(さささっとサキュバスからメイド姿に戻ったや)
いやほんと服どこ行った&どこから出た。
「イシタさん、ここって随分と使われてないようですね」
「しかし人が踏み入った跡はあります、あちらのテーブルへ」
「大丈夫かなこの椅子、座って壊れたりは」「確かめましょう」
おそらく廃道の山小屋かな、
今でもたまに通る人は居て、
勝手に使っている感じか、営業はしてないのは見てわかる。
「では準備致しますね」
「思ったんだけど、その荷物、僕のアイテムボックスへ入れたら良かったんじゃ」
「いえ、仕事ですから、それにメイドのバッグが軽いと疑われる恐れが」「あー、何か怪しいと」
具体的に何を疑われるのか、
七歳児の僕の頭脳では、わかりません!
えっ俺の三十九歳児の頭脳はって? 今、お休みでして。
(お弁当は普通に美味しそうだ)
まずは用意してきた濡れタオルで、
クリスちゃんの手を拭いてあげるイシタさん、
うん、メイド業務をきちんとやってくれている。
(って俺の手も拭いてくれているうううう!!!)
ミラさんなら、
まずやってくれないね!
帰ったら言ってやろうっと。
「わあ、サンドイッチですね」
「知ってるんだ」「連れ去られる前に」
「教会でもそういうの出るんだ」「肉は禁忌と聞かされましたが」
まあ料理の種類だよね、ってあ!
「こっちで朝食、お肉食べちゃったよね」
「連れ去られてからは、普通にお肉も食べさせられました!」
「そっか」「坊ちゃま、肉を食べたからといって魔力が減るとは」「だよね」
修練というのは精神的なものだ、
肉を食べないからといって魔力が上がる事は無いだろう、
……余白記入でもしない限りは、うん、そういう制約はキツ過ぎる。
(紅茶も淹れられた、さあ昼食だ)
クリスちゃんは祈ったりしないのかな?
と思ったら待っている、食べてよしの合図が必要か。
「イシタさん」「はい、いただきましょう」
「いただきまっす! あっ、クリスさん食べて良いよ」
「はい、では……んぐ、美味しい、シャキシャキする!」
葉物が気に入ったみたいだ、
俺はチーズの味がなかなか……
量は大丈夫かな、七歳児だもんな、育ちざかり食べざかり。
(救出された時は痩せてて、今も回復されてない)
このあたり、
サキュバス村で沢山食べられると良いな。
「んぐんぐ、んぐぐぐぐぐ」
「急がないで、落ち着いて」
「この場合はお水ですね、はい」「ん”ん”ん”ーーー!!!」
そうこうしてお弁当を頂き、
最後にデザートの果物を食べ終え、
落ち着いて椅子に深く腰をかける。
(今更だが、七歳児にはちょっと高い)
まあ俺はフライの魔法が使えるからいいけど。
「ごちそうさまでした、それでグラン様」
「はいクリスさん、食後の運動ですか?」
「いえ、私も能力を付けていただきたいのですが」
今更ながら、四歳で連れ去られたのに言葉使い良いな、
教育係がしっかりしていたんだろうな、いつ教会が回収しても使えるように。
(それはともかく、イシタさんとの会話、理解しちゃってたかあ)
付けたい能力、
というか希望することって、
ひょっとして、もしかすると……?!
「何を付けて欲しいのかな? かなっ??」
「はい、私に目を、片方で構いませんので!」
「やっぱりかあ、で、その対価は?」「私の両親を!!」
おいおいおいおいおい!!!!!
(それってアリなのか?!)
生贄かあ、
合意とか必要そうだが。
「一応、確かめてみる」
フライの魔法で飛びながら、
クリスちゃんの背後へと……
椅子の背もたれが邪魔だな。
「立って貰える?」「はいっ!」
椅子の上に立っちゃったよ、まあいっか。
「では……」
ステータスを見る、
あっ、一応、確認を。
「目が見えるようになったら、スキル『盲目の真贋(魔力20倍)』が使えなくなるかも」「構いませんっ!」
いいんだ、
まあ魔力と引き換えでも欲しいよね、目。
「じゃあ待ってね……」
スライドしてっと。
『目が見えるようになる』
『※ただし、スキル盲目の真贋が消える』
これでどうだ?
(紅い枠で光って消えました)
まあ駄目だよね。
「ひゃんっ」
「ごめん、失敗するとくすぐったくなる」
「私の両親では足りませんか」「それはまだ」
試しに……っと。
『※ただし、両親の命と引き換えになる』
同じく紅枠だ。
「んひゃぁあっ」「両親は駄目だって」
「では、教会の滅亡を」「多分、そういうのは駄目かと」
「じゃ、じゃあ」「わかりやすいので、目のかわりに両足とか」
それでも釣り合うかどうか、
ってこういう話は不謹慎だから、したくない。
(いくらファンタジーの異世界といえど)
もうちょっと、ヒントが欲しい。
「イシタさん、目が見えない人の治療魔法って」
「怪我や病気ならエリクサーで、しかし先天性となると」
「駄目かなあ」「確かそういう記録が」「エリクサーで治そうとした人が居るのか……」
ちなみにエリクサーっていうのは、
体力全回復、状態異常全回復のアイテムで、
たださすがに生まれ持っての欠損にはきかないっぽい。
「魔物でもですか」
「……サキュバスの場合、無いことは無いです」
「それはどうやって」「錬金術ですね」「れ、錬金術?!?!」
なんだか状況が、
開けそうな予感!!




