第14話 冒険者ギルドで、行方不明の聖女について。
オッス、おらグラン七歳!
訳あってこっちへ異世界転生してきたんだけど、
冒険者ギルドへ来たら狭くてびっくりだよもう!
「受付嬢さん、なんでここ、こんなに狭いの?」
「はい、ここアルトリアスはダンジョンがありません、
魔物は出ますが珍しくなく魔石も質が良くありません」「魔石って?」
ふうっとため息をつく、
七歳相手なんだから、ちゃんと説明してくれよう。
「魔物が出す石ですね、魔力を持つ魔物の原動力です、
ただ、このあたりに出る魔物は小さく使い難いため」
「あんまり持ち込まれないんだ」「あと解体して肉にするにしても食べられません」
農地に蒔く肥料にしても良くないらしい。
「でも、たまには良い魔物も出るんでしょう?」
「そうですね、迷い込んだのが、ただし解体は商業ギルドに回すので」
「じゃあそっちへ持って行ってくれと」「こちらではあくまで依頼関係です」
なるほど、商業ギルドで大概は事足りるのか。
「じゃあ、込み入った依頼の時は」
「一応、二階に応接室が」「見たーい」
「何か理由が」「そこの依頼の詳細を聞きたいぞよ!」
さっきの古い聖女関係の貼り出しを指さす。
「……わかりました、ふう」
「まーたため息ついて、幸せが逃げるよ?」
「ここは冒険者ギルド協会としては左遷先として有名ですからね」
七歳に愚痴るな七歳に!
まあ、そういった開拓をしてこなかった領主も悪いから、
責任はまったく無い訳じゃないけど、我がフィッツジェラルド子爵家に。
「ではこちらへ」
「おうよ! って階段も急だなコレ」
「坊ちゃま、後ろから支えますから」「ありがとうミラさん!」
確かに二階はちょっとした会議室っぽい、
でもまあ四~五人パーティー用かな、八人でぎゅうぎゅう。
司会席に受付嬢が座る、対面に俺とお付きメイドのミラさんも。
「今から三~四年前、ロワイエクール教会の聖女クリス様(当時四歳)が行方不明になりました」
「それまたなんで」「ここアルトリアスの裏道を馬車で夜に走行中、いつのまにか忽然と姿を消したそうです」
「気付かなかったの?!」「はい、長旅ということもあり、お付きシスターもうとうとしている間に、気が付けば」
お付きメイドやお付き従者じゃなく、
お付きシスターなんだ、聖女様ならまあそうか、
それにしても最初にピンと来たのが『味方に敵が紛れ込んでいる』だが……
「クリス様のフルネームは?」
「はい、お待ちください……クリス=ヴィクトワール=バシュロナルカン様です」
「ミラさんメモして」「はいはい、筆記用具は」「こちらにありますよ」「ありがとうございます」
受付嬢、名札に『アリア』て書いてあるな、こっちはメモ無しで憶えておこう。
「当時の捜索状況は」「はい、まず景色を見るため山沿いの道から身を乗り出して、
それで落ちたのではという推測から探しましたが、人数や時間をかけても発見はされませんでした」
「靴とかハンカチとかも?」「はい一切、ティムされた匂い探知できる魔物、グレートジャッカルで探してもまったく……」
そんな警察犬みたいなの居るんだ、
でもあれって雨が降ったりすると匂いが流れちゃうらしい。
「他に手掛かりは」
「途中、馬車を運転していた者が一度、用を足すため止まったそうですが、
戻って確認した時にはちゃんと中で寝ていたそうで」「間違いないんだ」「教会の従者ですので」
なるほどミステリーだな、
ここは七歳の少年らしく、
真実はいつも一つ! って眼鏡クイッとしたいくらいだ、かけてないけど。
「攫われた周囲に町とか村とかは」
「ありません、人の居ないエリアです」
「じゃあ、もう」「死体だけでも見つけて欲しいそうです」
生きている望みは無いか、
もう三年以上前だもんなあ。
「わかった、ありがとうアリアさん」
「はい、よければお家に持ちかえってご両親にでも」
「知らないの?」「知っているはずですが、忘れているかも知れませんね」
このあたり、
この名探偵グランが解決できるかな、
とりあえずは探すだけ、探してみようっと。
(そう、あの魔法で……)
「ちなみに今日、ギルマスは」
「バルバトス領都へあそ……出張中ですね」
「今、遊びに行ってるって言わなかった?!」「気のせいです」
父上に言いつけてやろうか、
とはいえ本当に冒険者になるには、
ギルドとは仲良くしておきたいからなあ。
「それで、冒険者登録はいつ出来ますか?」
「はい、十五歳になれば誰でも、と言いたいのですが、
領主様の子供となるといかに成人しても、領主様の許可が」「そこは多分、大丈夫」
どちらかというと追い出される方向だ。
「でしたら、許可さえいただければもう少し早めも」
「師匠が要るんでしょう?!」「そうですね、B級以上の冒険者パーティーに入れば」
「B級って、この街に居る?」「このアルトリアス所属パーティーでは居ませんね、パーティー自体、現役は三組しか」
うーん、厳しいなあ。
「では、僕に派遣してくれる冒険者のセクシーダイナマイトプライベートレッスン女教師は、そこを加味した方で」
「なんだかよくわかりませんが、どうしても女性冒険者が良いのですね」「僕は男の子だからね仕方ないね男だもん」
「……男性なら尚更、男性の師匠の方が良いのでは」「いやまあどっちでも良いよ、冒険者自体が少ないなら贅沢は言わない」
目的は独立だからね、
可愛らしい女性が魔法の先生で来て、
最終的に婚約者になるとかいう、なろう小説な展開も悪くは無いが。
(ていうか魔法全部憶えてるし!)
一度、自分のステータスを再確認して、
使える魔法を全部チェックしないといけないな、
いくつあるんだろう、まあいいや子供しかも七歳なんて時間は腐る程ある。
「一応、他の地域からも探してみます」
「マジでー?!」「そのかわり、期間にもよりますがお金はかかりますよ」
「そこは母上と要相談で!」「わかりました、どのような職業の冒険者に」「さあ」
魔力は無いってことになってるから、
どんな人が来て何を教えてくれるか、
むしろ楽しみになってくるな、それもまた楽しみだ。
「では以上でよろしいですか?」
「はいありがとう、ミラさん、アリアさんにチップを!」
「えっ」「構いませんよ、後でイザベル様とのお話の時にいただきますので」
そして僕は、今度は急な階段を降りる。
(魔法で楽して降りられそうだけどなあ、まあここは子供らしく両手も使って降りよう)
梯子を降りるみたいにして……
にしても見上げると、三階もあるのか。
「アリアさん、この上って何があるのー?」
「ギルマスルームと事務室ですね」「アリアさんの着替え室はー?」
「地下ですよ、覗いちゃ駄目ですよ」「ミニにタコが出来ちゃうからね」「???」
わからない方は検索してください。




