第130話 真夜中の相談、サキュバスの錬金術師と隣に出来たお店。
この作品としては今年最後の更新です。
「あー、それは無理ないねー」
ルシアちゃんの目に薬を点眼するブルラズさん、
サキュバスの錬金術師で相変わらずお酒大好きみたいだ、
いや定期的に会っているが禁酒する気は1ミリも、1ミクロンも無いみたい。
(サキュバスだって肝臓は壊すらしい、でも……)
定期的に渡している『パーフェクトポーション』で治るらしい、
深刻な状況になったらエリクサーを使うとか、っていいのかそれ、
まあ貰った方は好きに使って良いか、ストックもこの店だけで3ダースあるし。
「やっぱり怪しいですか」
「だってそのNNNってグラン達が傍に居る状況で置手紙を置いたんでしょ?」
「ええ、でも筆跡はここでペアットさんに、ブルラズさんも見ていましたよね」
点眼が終わったみたいだ。
「どうせNNNについての説明で焦って色々言い過ぎたんでしょー」
「そ、そうかも知れません」「ガッツリ繋がってるとしか思えないじゃーん」
「ですか」「にも関わらず無関係を強調してたとしたら」「同一人物の可能性が」「もしくは同一グループねー」
いつもの定期的に渡すポーション類を、
確認してから助手のマルストさんに渡したブルラズさん、
目薬が終わったルシアちゃんはアトリちゃんが顔をタオルで拭いてあげている。
「じゃあ、もうバレている可能性も」
「どうかなー、普通に疑ったお詫びっていうのもあるんじゃなーい?」
「それで僕たちはどうすれば」「普通にしてればー? 何か依頼があれば言ってくるでしょー」
様子見をしろってことか。
「わかりました、ありがとうございます」
「そんじゃ、困ったことがあったらいつでもおいでー」
「って相変わらず一仕事負えたらお酒ですか」「んぐっ、本気で呑むのは隣だねー」
ということで三人して頭を下げ、
礼を言ってから錬金術屋を出る、
そして隣のレストランへ、そう、ここは……!!
♪カランコロン
「いらっしゃい、ってグランの坊ちゃん!」
「店長こんばんわ、相変わらず繁盛していますが、肉、足りてますか?」
「おうよ、この間かなり提供して貰ったからな、とはいえ次を早めに貰うに越したこたあねえ」
香ばしい肉の匂いに、
ルシアちゃんアトリちゃんがヨダレを垂らしそうだ、
そう、ここは何のステーキハウスかというと、アルトリアスのダンジョンでよく獲れる……!!
(ワニ肉のお店なのです!!)
そう、人間にはイマイチだが、
淫魔には大好物、大のご馳走となる、
普通は捨てるのを『肥料に使う』とか言って安く買いたたいて、ここへ流している。
「あのグラン様、少し夜食をいただきたくなりました」
「オーナー特権で、その、お持ち帰りでも良いので……」
「ルシアちゃんアトリちゃん、夕食いただいたのにまだ食べるんだ!」
ちなみにルシアちゃんは、
こちらでの五年間の生活により、
淫魔の食事にすっかり慣れてこのワニ肉も普通に美味しいそうです。
「席が埋まっているから、テイクアウトなら優先して作るぜ」
「すみません、順番抜かしていいんですか?」
「こんな美味しい肉を仕入れてくれるオーナーだ、なあみんな?!」
異論は無いみたいだ、
ということで少し待ったら出してくれた。
「ありがとうございます」
「容器は店の前にでも置いておいてくれ」
「ありがとうございます店長様」「ブレナスおじさん、ありがとー」
ルシアちゃんアトリちゃんもお礼を、
店長のブレナスさんはアトリちゃんの親戚らしい、
だからこそレストラン開業のときに名乗りをあげてくれた。
「代金の魔石です、こればかりは」
「おうよ、いただいておくぜいっ!」
「じゃあ行こうか」「はいグラン様」「あそこですよね」
とテレポートしたのは、
淫魔村においての俺たちの拠点だ、
ポーションなり水魔石なりを渡しまくってたら建てて貰えた。
(いや、むしろエリクサーのお礼か)
いやね、ちょっと大規模な事故というか災害があって、
巻き込まれた淫魔七人がエリクサーで助かったという、
それ以来、俺たちは結構、良い扱いをさせて貰っている。
「相変わらず人間でないと開けられないんだよなー」
テレポートでも中までは入れないから、
玄関前に移動しての俺かルシアちゃんによる開門、
中は来た時しか掃除できないけど、まあまあ綺麗だ。
「埃を払いますね!」
「えっアトリちゃん、言う程ある?」
「ではグラン様、私はお紅茶を」「ってこの肉とパン、三人分あるね」
俺はそこまで美味しくは感じないんだけどなあ、
まあ『不味くて喰えたもんじゃない』ってレベルならさすがに断るが、
普通に食べれば普通の量なら普通に食えるが、そこまで美味しいもんじゃないって感覚だ。
(でも、二人にとってはご馳走なんだよなあ)
そして落ち着いたのち深夜のお食事。
「ご主人様、尋ねる戸籍のある公爵家なのですが」
「うん、校長先生の手紙は持ってるんだよね、手配してくれた」
「それなのですが、テレポートでいっそご本人を」「それは悪手かな」
いつどうやって来たとか面倒だ、
王都は平和な分、出入りの管理がしっかりされている、
だから冒険者学校でも気をつけないと……まあ不安な気持ちはわかるけど。
「グラン様、私は『お爺様!』とか『お父様!』とか言って抱きつけば」
「それはどうだろう、まあ校長先生は心配ない問題ないとか言っていたけど」
「エリクサーを渡されるんですよね」「うん、一個しかないって念を押さなきゃ」
毎年よこせとか脅されたら、
さすがに別の方法を考えるかな、
払えない訳じゃないけど、さすがにね。
(貢ぐ相手はブルラズさんだけで十分だ)
いや、もうさすがに数は足りてるって断られてるけど。
「……ふう、美味しかった~」「アトリちゃん、はやっ!」
「私も話しながら、もう全部」「ええっと、僕の食べる?」
「「いいんですか?!?!」」「うん、これって鼻血出たりするから」
めっっっちゃ精がつくんですよ!!
「ではお言葉に甘えて」
「ご主人様、ありがとうございます」
ということで、
食べ終わった二人を連れて、
リターンテレポートでベッドへ戻ったのでした。
(幻影を消して、っと)
早く寝なきゃ、
そして明日は……どこから行くかな。
来年もよろしくお願い致します。




