第125話 宿屋までも、最高級ですか。
「短い間ですが、よろしくお願いします」
にっこにこのメイドさん、
いや、でかいだけじゃなく中にメイドかよ!
「ええっと、僕は子供ですが」
「はい、沢山のジュースを用意しておりますよ?」
「だってみんな」「お金取られそうね」「いえいえ無料です♪」
イレタちゃんの疑問が速攻で否定された。
「オレンジジュースいただきます」
「私はミルクで!」「アボカドジュース、ありますか」
「まあすでにメイドさんが! ありますよアボカド、はいどうぞ」
みんな尋問で喉が枯れたのかごくごく飲んでる、
俺もいただかないと馬車がいつ到着するかわからないな、
適当に……あっこれパインジュースだ、イレタちゃんはいちごだな。
(メイドさんも満足そうだ)
そしてメイドにもかかわらず、
学校いやむしろ保育園いやいや、
子供向けバラエティ番組のお姉さんみたいな笑顔と口調で話し始める。
「それにしてもドラゴン討伐、お疲れさまでした~、凄いですね~~」
いやそんな、ひとりで拍手しないでも!
「貰った頭を差し出した、簡単なお仕事でした……」
「でも大人の方々が皆さんのために取って来てくれたんですよね?」
「ええまあ、でも依頼した訳では」「同じことですよ、本当に素晴らしい!!」
あっやっべ、
カロリちゃんがドヤフンスって顔してる、
鼻息荒く誇ってる感じね、彼女は勘違いさせちゃいけないタイプだ。
『あくまでも謙虚に!』『は、はいっ』
テレパシーの魔法で釘を刺したら、
とたんに身を縮めちゃった、いやこのテレパシー魔法、
多用すると怒られるんだよな、うるさいって……まあ気持ちはわかる。
(脳に響いてくる感覚がするんだよな)
おそらく喚き散らせば、
ダメージを与えられる程に。
飲み終わってお口をナプキンで拭いたイレタちゃんがメイドさんに尋ねる。
「それよりも、どうしてこんなに豪華な馬車が」
「騎士団の皆さんから、お詫びだそうですよ、時間を取らせてしまった」
「でもこれはちょっと大げさじゃ」「お貴族様の移動ですからね、これくらいは当然、と言いたいのですが……」
おっ、何か理由が?!
ここはあえて、俺が聞こう。
「何か事情でも」
「正直、貴賓用の馬車は、これしかありません!」
「あっ、下が無いのか」「ですから必然的に、こちらで」
なるほどね。
「最高級の馬車を、ありがとうございます」
「あら残念、こうやってお話している間に、もう到着です!」
すでに待っていた騎士団が扉を開いてくれて、
頭を下げつつ出るとメイドさんが頭をさげた。
「ありがとうメイドさん」
「ふふ、頑張ってね、小さな勇者様」
「勇者だなんて!」「何になりたいの?」「剣士です!!」
一応はね。
こうして僕らは騎士団の先導で、
それこそ見上げるレベルの宿、ホテルの入口へ。
(すげえ、七階建てかよ)
うんわかる、
ここってこの王都最大、
最高級のホテルだ、なんだこれ。
(いやいや、アースドラゴン一匹倒しただけだぞ、俺以外の奴が!)
入るとこれまたかっこいいスーツの老紳士が、
直立してキリッとした表情でお迎えだ、背筋が伸びてる、
俳優で言うと笹●高●さんみたいなお方、俺たち五人が揃うと……
「いらっしゃいませロイヤル・ガラナイラ・ホテルへ」
国の名前がでてきたよおい!
「あっはい、その僕たちは」
「アルトリアスのフィッツジェラルド子爵家三男、グラン=フィッツジェラルド様と、
その冒険者パーティー『SET隊』の皆さんですね、お話は伺っております、一泊でよろしいですね?」
いや、むしろ怖くて一泊しかしたくない!
これで『学校へ行くまで』とか言ったら金貨何十枚、
いや何百枚飛ぶのやら、俺も俺で大きく頭を下げる。
「はい、よろしくお願い致します」
「私は当ホテル支配人のジローディと申します、お部屋へ案内させて頂きます」
「あっはい、ありがとうございます」「まずは受付を、冒険者カードをお願いします」
渡すと騎士団の皆さんが。
「では我々はこれで」
「はい、ありがとうございました!」
巨乳受付嬢が確認後、
返して貰った、そして先導してくれるジローディさん。
「VIP昇降機はこちらです」「えっ、うわーお」
エレベーターきたこれ、
いや前世のとかなり違うな、
なにせ床が『魔法の絨毯』と来たもんだ。
「ドラゴン討伐達成、おめでとうございます、そしてありがとうございます」
「いや、何もしていないのですが」「それでもですよ、我々としてもドラゴンキラーの皆さんに宿泊していただけるのは誇りです」
「そう言われても、その、なんていうか」「未来のS級冒険者パーティーだと思って接客させていただいておりますよ」「そ、そうですか」
ごめん、出来ればもうFランクで留めたい。
「七階、最上階スイートルームで御座います」「えええ」
「こちらの階は三室、冒険者用、貴族用、王室用がそれぞれありますよ」
三室って別に本当に三部屋ってことじゃないだろうねこれ、
いや一室につき、下手すると十部屋くらいありそう、各室ちゃんとメイドが立ってる。
「出入りの際は、冒険者カードをメイドにお見せ下さい」「はいはい」
地味ハーレムのみんな、
緊張し過ぎて何も言えなでいるなこれ。
「こちらがリビングとなります」
中を見た俺たちは、
その豪華さに、立ち尽くすすしかなかった。
(いきなり、ドラゴンの首が……飾られてる!!)
しかも真っ白な、すげえなここ、
うん、場違いにも程があるねっ!!




