第120話 王都到着、まず挨拶に行ったのは。
「ここです、ヴァネッサさん、ありがとうございました!」
「あ、ああ、では私はティーナお姉様の所へ戻る、ではな」
「ありがとう」「ではまた」「ありがとうですわ」「感謝致します」
地味ハーレム四人も、
しっかりと頭を下げている。
(ちょっと首を傾げている、悪い事しちゃったかな)
まだ少し狐に化かされたような感じの運転手さん、
これで逆に、よりNNNに興味が向きそうだけど、
それによって俺たちから目を逸らせて貰えれば、いや逆に容疑は深まったような。
(嫌だぞ最終的に、あんなのティムするのは!)
色んな意味で、
飼うには手に負えない、
取り巻きの現地百合(現地妻ならぬね)も大陸中に居そうだし。
「グラン様」「わーお、ジュディさん」
見送った直後、
背後にいつのまにか立っていたのは、
相変わらずの雌ゴリラメイドさんだ。
「ロベル様がお待ちです」
「はいはい、予定より早めに来ちゃいました」
「立派な、綺麗な馬車でしたね」「ちょっと女勇者を引っ掛けてね、詳しい話は中で」
ということでやってきたのは、
王都の中心からかなり離れた場所、
前世で言う普通の都内にある住宅サイズな、近い兄上の家だ。
(そう、なんとかギリギリ、王都で仕事をさせて貰っているのですよ!)
形としてはバルバトス伯爵に雇われてるんだっけ、
なんだか情けない話だが、王都と直接のやりとりが出来るのはでかい、
これも俺が見つけたダンジョンからの魔石生産が、なんとか命綱というか頼みの綱になったらしい。
「どうぞ」
「お邪魔しまーす」
うん、コンパクトな二階建てで中も狭い、
一応は家族で住めるようになってはいるっぽいが、
居るのは兄上とお付きメイドだけ、もうこの二人で結婚しちゃえよっていう。
(ロベル兄上も十五歳、ついに成人だもんなあ)
いやこれ五年前に兄上が言っていたような、
側室がどうとかっていうレベルじゃないよね、
まずは正妻を、とはいっても伯爵の家来状態じゃあねえ、次男だし。
コンコンッ
「お連れ致しました」
ガチャッ
「ロベル兄様、到着しました!」
「いやはや早いぞグラン、例の物は」「はい、アトリちゃん!」「はいはい」
俺が実家を、
子爵家を出発する前日にあらかじめ母上から貰っておいた、
兄上への事実上の仕送りをアトリちゃんが渡す、銀貨をそこそこ、俺が貰ったのとは別ね。
「す、すまない」
「いえ、イザベル様からですから」
五年経っても、まーだカロリちゃんを見て少し怯えている、
どれだけ魔物が怖いんだっていう、結局俺の『ロベル兄上、異世界人説』については、
その後の独自調査で否定された、何度かカマも掛けたが通じなかった、隠している感じも無かったし。
(ステータスを見ても、そんなことは書いてなかった)
そう、兄上に会いに来たのは、
それに関しても、ちょっとはある。
「それで、なぜこんなに早く」
「領都バルバートで、冒険者ギルドへ行ったら、
いや行ったのは辺境伯の命令とでも言うか、そこで……」
とまあ、辺境伯に挑発されアースドラゴンの情報だけでも聞きに行き、
冒険者ギルドを出た所で暗い顔をしていると大人ハーレムパーティーに声をかけられ、
速攻で倒してきてくれて首を貰った話をした、その流れで女勇者ティーナさんのお話も。
「そうか、それで高速馬車を」
「棚ぼたですね」「なんだそれは、そんな意味不明な言葉より、最高級地魔石は」
「あっ、おそらく辺境伯だか伯爵だか冒険者ギルドだかの物かと」「もったいない」
ごめん兄上、
俺にとっては、そこまででもない。
「でも定期的に高級水魔石、たまーーーに最高級水魔石をこっちへ」
「配る先はいくらでもあるし、最高級に関しては十七件先まで予約がある」
「そんなに、安請け合いしちゃって」「立場的に断れないんだ、わかるだろう」
まあねっていう。
(かといって、捕り過ぎても予約を増やされるだけの気がする)
まあ水は一般属性では、
場所によっちゃあ火よりも需要があったりするからね、
めったに取れないと言っても、つまりは取れはする訳だから。
「兄上の気苦労はわかりました、
僕が間接的に助けたことになっている女勇者が、
アルトリアスへ行くかも知れないので、冒険者ギルドに下ろしてくれるのを願いましょう」
と、ここで巨女メイド、
ジュディさんの背後に人影が。
「あの……」「あっ」
勝手に入って来た俺より少し背の高い少女に、
俺は思いっきり憶えがあったのだった、兄上が反応する。
「昨日、到着してウチで泊めてやったぞ」
「グラン、お久しぶり」「うん、半年ぶりかな……ウォルちゃん」
「あっ、ウォルちゃんだ」「ウォル先輩!」「ウォル様!」「ウォルさん、おはようございます!」
ウチの地味ハーレムも、
半年ぶりの再会を喜んでいる、
実は、彼女の正体はというと……!!




