第114話 お買いもので、個性が見える。
「まずは私、お帽子を買いたい!」
みんなで大きな商店へ、
前世でいうデパートみたいな建物、
金貨を使うからね、小さな店だと困らせる場合がある。
(駄菓子屋で一万円札を使うなよ、的な)
まあ商業ギルドで崩す手もあったけれども、
子供が大金持っているのをあまり見せるは、
危ないからね……ということでまずは商店内の服屋、といっても冒険者用です。
(早速、手に取って見ている)
いきなり、どでかいのを。
「イレタちゃん、大きいお帽子を買いたいの?」
「うん、私って地味だから、せめて帽子だけでも」
「サイズが合わないと顔がすっぽり埋まっちゃうよ?」
とはいえ、ある程度は付与魔法で合せてくれるみたいだ、
さすがは高級デパート、だよなここ、値段も高いんだし。
「それでいて、効果のある……」
そう、ここにある帽子は全て、
付与魔法がかけられていて能力が上がるのです!
領都の大きい店だからこそ、選択肢も豊富だったり。
「でもイレタちゃん、ただでさえ魔力が、威力が強いのに」
「だから、使用魔力軽減とか」「こっちに魔法ディレイ短縮の帽子が」
「それはちょっとカラフル過ぎて、恥ずかしい」「同じ効果で色違いって無いかな」
他のみんなも帽子を見て周っている。
「ヘルムは、無いみたい」
「カロリちゃんはプライベートのお帽子だね、赤毛にはこの青帽子とかどうかな」
「もうちょっと、可愛いのが」「じゃあピンクで」「……素早さ微増だって」「良いね! かわいい!!」「えへへ」
隙あらば褒めておけ、
前世で兄から聞いたデート攻略法のひとつです!
「グラン様、魔力微増と魔力微回復の聖女帽子が!」
「うお、立派に飾られてるね、金貨二枚だって」「欲しいです!!」
「いやこれ派手過ぎでは」「やはり目立つのは駄目でしょうか」「うーん」
同じ効果で地味なのは無いかな、
と思ったがルシアちゃんがこれを着けたいのであれば、
あくまで僧侶って事になっているんだが……まあ僧侶だからこそ聖女ぶりたいってキャラで行く手も。
(まあ、クリスちゃんだってバレなきゃいいか)
肝心なのは本人が何を着たいか、着けたいかだ。
「全部使い切るのは、もったいないのでしょうか」
「ううん、良いよ、眼鏡とのバランスが少し気になるけど」
「では眼鏡の方を新調、あっもうお金が」「それくらい出すよ」
とまあ男前ムーブを。
「ご主人様、このようなものを見つけました!」
「おっ、メイド帽子!」「メイドキャップですっ!」
「白と黒があるね」「どちらも体力消費軽減付きで、いかがいたしましょう」
ピンクの髪に合うのは……!!
「じゃあ黒かな、多分、学校にお付きで来ているメイドって白が多そうだから」
「わかり易いようにですね!」「あと単純に、ピンク髪は白より黒の方が」「好みですか!」
「まあ僕の好みでもあるかな」「でしたら嬉しいです、これにします!」「値段的に大丈夫なら予備もね」「はいっ!!」
イレタちゃんも付加効力が違うので二つ買うみたいだ、
どっちもいかにも魔女帽子って感じ、グレーと紺色のやつ、
真っ黒のやつはベタだし安く見られるからね、それはまた地味とは別の話だ。
「グランくんは買わないの? お帽子」
「普段使いのファッション用かあ、ここでなくても良いかな」
「私が選んであげる!」「私も」「わたくしも」「ご主人様、わたくしめも」「いや四つもいらなーい!」
結局、攻撃時素早さ微増の帽子を買った、
とはいえ普段着で被るかどうかは未定、攻撃時用だからなあ、
歩いていて急に戦闘に巻き込まれるとか、あまり考えたくない。
(それにしても、お買い物の表情で個性が出てるな)
真面目に考えるイレタちゃん、
あまり考えず素直に受け入れるカロリちゃん、
やはり綺麗だったり豪華だったりが好きそうなルシアちゃん、
メイド感覚第一なアトリちゃん、みんな何だかんだ楽しそうだ。
(これが、これこそがデートだ)
一番楽しそうだったのは、
俺の帽子を選んでいる時だったけれどもね。
「じゃあ次は」
「杖を買いたいかな」
「では私も、見るだけでも」「いやルシアちゃん俺、買ってあげるから」
魔法使いの杖に僧侶の杖、
これまた派手なのが多いなあ、
金額が高いですよって誇示しているのか。
(宝石がぐるりとハメられているのもあるな)
ハーレムの主が子爵の出とはいえ、
あんまり金持ちぽいのは趣味が悪い。
「グランくん安心して、杖は能力重視で選ぶから、地味なのを」
「私もお金があまりかからないのを」「うん、クリスタルの杖とか金貨三十枚だもんね」
こんなの持ってたら、
ルシアちゃんごと攫われそうだ、
まあ実際に何かあっても光魔法で倒すだろうけど。
「……それはそうとカロリちゃん」「はい」
「なんでそんなにくっついているの、僕に」
「することが、ないから、なんとなく」「そ、そっか」
一方でアトリちゃんは、
ルシアちゃんの補助に専念していた。
「これは長すぎますよねルシア様」
「魔力が尽きた時に、殴るのには良いかも知れませんわ」「おいおい」
という感じで、
お買い物でそれぞれの個性を再確認したのでした。




