第107話 冒険者ギルドで、子供でも真面目に教えて貰う。
「さすが領都の冒険者ギルド、受付場所がいっぱいだ」
1番から9番まで並んだ受付カウンター、
いやよく見ると0番があるな、あれはVIP用っぽい、
そして反対側には広くカウンターの低い10番もあった、初心者用らしい。
(行くならあそこだ)
暇そうにしている受付のお姉さん、
なんだか子供番組の司会をやっていそうだな、
ああいうのがホストに狂ったり悪い紐を飼ってたり、いや偏見だが。
「まあ、可愛い冒険者パーティーね」
「はい、僕も、みんな十二歳ですから」
「ということは、冒険者学校への入学前に寄ったのね」「よく御存じで」
毎年居るんだろうな。
「冒険者カードはあるかな~?」
「あっはい、地元で、アルトリアスの冒険者ギルドで」
「集めますよ~」「みんな回収だって!」「はいはい」「はぁい」「はいっ」「どうぞ」
いかにも子供相手という感じで、
ふむふむとチェックしてくれている、
カウンターが低いから何やってるかわかり易い。
(わざわざランクをチェックしている)
子供はKランクになります、KIDS級。
「なるほど、基本講習はすでに受けてらっしゃいますね、
それで今日はどのような冒険者体験をお望みでしょうか?」
「アースドラゴンを倒したいんだ」「SET隊だけに?」「お姉さん面白いこと言うね!」
(倒し『たい』、とSET『隊』、ね)
いやイレタちゃんの視線が痛い。
「ではアースドラゴン討伐の説明をお聞きになりますか?」
「聞くだけなら無料だからね!」「ここから遠いグルモア大山脈の奥がドラゴンの棲家で」
「そこへ行けばいいの?」「S級パーティーでも行きませんよ、死にに行くようなものです」
まあ普通は、
移動手段が無いからね。
「じゃあ、そこから来てるんだ」
「ドラゴンの数が多くなって、はみ出した、追い出されたドラゴンが、
たまたま人間を見つけて、味を憶えてしまったのかも知れませんねえ」
前世で言う熊みたいなもんか、
あれはあれで背景が色々と違うけど。
「襲われてるの?」
「村を襲った個体、たった一体ですがかなり大きなドラゴンで、
初めは家畜を食べる程度だったのですが、退治に行った冒険者パーティーが食べられてしまって……」
ショボーンって表情している、
子供相手だからってわかりやすい小芝居を、
いや痛ましい状況だから本当に心は痛めているんだろうけど。
「それを倒せば良いんだね!」
「場所はウルス村、地図でいうとここですね、はいここ!」
サッと出してサッと指さしてサッと仕舞った、
教える形だけだからね、本当に行くなんて夢にも思っていないだろう、
こんな子供に行かれたら逆に困る。
「村には誰か住んでるの?」
「すでに村民は全員避難していますね、今は討伐の冒険者パーティーを集めている所です、
ただ、すでに四回失敗しておりまして、S級勇者を王都から招集中で」「かっこいい?!」「それはもう!!」
あっ、本気の明るい表情になった!
きっとイケメンなんだろうな、目の中にハートが出来ていそう。
「じゃあ待っていれば会える?」「忙しい方ですからね、基本はソロなのですが、
その場に応じて気に入った女性を集めてて、ですから向かっている途中で拾っている最中かも知れません!」
「僕のパーティー、攫われちゃう?」「あくまで自ら望んだ女性だけを、期間限定で加える方ですから立候補をしなければ」
俺は地味ハーレムの面々を見る。
「グランくん、正妻を舐めないでね」
「グラ兄ぃ、何を心配しているの……」
「グラン様、私はグラン様しか見えていません!」「ご主人様はご主人様ですから」
うん、寝取られの心配は無さそうだ。
「なるほどなるほど、では頑張ってアースドラゴンを倒してきます!」
「それより薬草採取はいかがですか? 薬草庭園を商業ギルドが持っていまして」
「んー、その依頼はまた今度かな」「ではSET隊の皆さんは今回は」「説明は聞きました!」
冒険者カードの裏に小さいスタンプが押される、
そう、Kクラスはこうやって冒険者ギルドで話を聞くだけで、
ポイントを付けて貰えて百個溜めると! な、なんとおっ!!
(カードの色が変わるのです!)
白→水色→薄茶色→濃い銀色→金色という、
これは他のクラスでもあるんですよ、同じランク内の五段階、いやスタンプはKだけね。
で、俺たちはアストリアスで銀色にまでした、いや金色にまでは必死すぎるかなあって。
「では、冒険者学校で三年間、頑張って下さいね~」
「はいはい、カードありがとう! みんな配るよ~」
貰いながらそれぞれ喋る。
「スタンプ押した所に指付けちゃ駄目よ」「増えてる」「ありがとうございます」「バッグに仕舞います」
これで子供受付は終了だ、
さて、これからは俺たちの本領発揮、
本当の力を見せて……アースドラゴンの、討伐をやっちゃうぜ!!
「んじゃ、宿屋へ行こー」
「「「「はいっっっっ」」」」
こうして出口へ向かう俺たちを、
大人の冒険者たちは暖かい目で見守ってくれたのでした。
(子供冒険者パーティーとしては、地味にねっ!)




