第101話 いざ冒険者学校へ、我らその名もSET隊。
第二章スタートしました、
またもや週2~3回更新でがんばります!
「うん、相変わらず速い馬車だね」
十二歳になった我ら地味冒険者パーティー『SET隊』、
いよいよ正式な冒険者を目指し、王都の冒険者学校へ向けて出発した、
運転はフィッツジェラルド子爵家の私兵、ガルダさんと並んで交代待ちのルイスさんだ。
(ルイスマスさんだけど、いつのまにか略されていたよ!)
もう、元のサバサっていう名前はみんな忘れている、
例の怪しい騎士団は改名から一年くらいはウロチョロしてたけど、
結局は『サバサは一度来て速攻で逃げた』って工作? がきっちり固まって諦めてくれたっぽい。
「グラン坊ちゃん、これなら途中でどこか寄らなくてもバルバトス領都に着きやすぜ」
「いや、あまりに早いと不自然だから、予定通り普通に一泊しましょう」「わかりやした」
すっかり山賊というより使用人兼用心棒なガルダさん、
五年間で顎鬚にもなんとなく清潔感が出たとでもいうか、
一方でルイスさんは紳士的な感じ、もう怪しさの欠片も無い。
(俺がスキルを与えたおかげで、快適だ)
そう、馬車を操ると馬の速度が二倍になるスキル、
もちろんその分、馬も倍疲れるのだがまあ許容範囲内だ、
どうせ行きだけ、しかも領都でお役御免、子爵邸へと引き返す。
(いくら俺がティムしたとはいえ、もうフィッツジェラルド家のものだ)
たまーにテレポートでアルトリアスの隠れ家に戻ってくるので、
冒険者学校へ行っても、卒業して正式な冒険者になったとしても、
もう二度と会えないことはないし、急な用を申し付けたくなったら姿を消していつでも会いに行ける。
「グランくん、ちゃんと窓から領民に手を振ってあげて!」
「イレタちゃん、三男だよ?」「領民は馬車を見て頭を下げているんだから!」
「まあ、そういうことなら反応しなきゃ不味いか」「まだ独立してないんだから当然でしょう?」
とまあ正妻気取りなのは栗毛の黒縁眼鏡イシタちゃん、
灰色の魔法使い服はいかにも地味っていうか下手すりゃ貧乏、
いやちゃんと綺麗なんだけどね、極力目立たないようした結果がこんな感じ。
(イエスマンじゃないのは確かだけど、なんていうか、尻に敷かれている)
でも、それくらいの方が間違いを正してくれるし、
意見が食い違ったときにきっちり口論とまでは行かないが、
話し合って解決まで導ける、まあ、たまに二人とも間違えるが。
「グラ兄ぃ、この馬車、襲われたりしない?」
「しないしない、王都までの道は綺麗なもんさ、ずっと街中みたいなもんだよ」
「ほんとにぃ?」「まあ山を越える時は絶対とは言い切れないけど」「じゃあ出て戦う!」
背が低いままだが赤毛のショートカットが可愛い縁なし眼鏡のカロリちゃん、
いやもちろん地味ではあるんだけれども、印象的に地味可愛いっていうやつか、
ただ身体の軽さはあきらかに槍使いとしてはハンディがある、槍は重心が大切だ。
(とはいえスキル盛り盛りだからね)
もちろん隠しているし、
身軽だからこそのアドバンテージもある、
でもそれがバレたら下手すりゃ一発で王城の騎士団員にされてしまいそう。
「カロリちゃんが出るなら僕も出ないと」
「パートナーだもんね!」「とはいえカロリちゃんが出る前に解決しちゃう」
「魔法で?」「そうだね、カロリちゃんを護るために」「私がグラ兄ぃを護りたいのにぃ」
この五年間で俺への呼び名が、
グランお兄ちゃん→グラン兄ぃ→グラ兄ぃと縮まってしまった、
そのうちグラッチェとかグラコロとかグリとグラとか呼ばれたらどうしよう。
「グラン様、そもそもこの馬車は私の光防御魔法で」
「そうだったねルシアちゃん、襲ってくる奴が居たとしても、
攻撃しようとしたらその気が無くなる魔法だよね、確か」「はい、『サンクスチュアリバリア』です!」
光魔法を全て憶えたルシアちゃん、
その対価として彼女はもう未来永劫、
胸のサイズがBカップを超えることはない。
(その代わり、お尻が大きいよ!)
眼鏡も以前のサングラスというより、
色付き眼鏡という感じ、オッドアイが目立たないように……
そして紫のロングヘアーは、族に言う聖女ではありえない髪色だ。
(淫魔の食生活が長かったからね)
ちなみにそのせいで、
思わぬ副作用? が出ましてね……
「ご主人様、とりあえずお茶でもお出ししましょうか」
「あっアトリちゃんありがとう助かるよ、コーヒーが良いかな」
「私は紅茶ね」「ジュースが」「甘酒で!」「はいはい、今すぐ」
メイド姿でピンク眼鏡のアトリちゃん、
背中にアイテムリュックを背負い胸にはアイテムバッグ、
そして実はポーション専用のアイテムボックスを隠し持つという。
(アイテムボックスというのは空中からアイテムを取り出せます!)
メイドでポーターでポーションボックス持ちで、
ピンク髪がウェーブがかっていてその正体は魔物魔法をほとんど使えるサキュバスという、
ちなみに魔力回復は俺が傍に居ると自動でされるのです、これなら『吸う行為』の必要は無いね!
(具体的には言えない、だって十二歳だもん)
という五人パーティー、
ちなみに名前はハーレム一人ずつが単語を持ち出し、
『silent』『easy』『treasure』『隊』を合わせて『SET隊』だ。
「ご主人様、どうぞ」「ありがとう、良い匂い……目が覚めるよ」
みんなも温かい飲み物で落ち着く、
アトリちゃん自身もシソ茶をごくごく……
そしてイレタちゃんが俺に話し掛けてきた。
「そういえばまだ聞いてなかったけど、
グランくんはいったい、どういう地味冒険者を目指すの?」
「いや、地味冒険者だよ」「具体的には?」「うーん、抽象的でもいい?」「良いわよ」
俺が目指す冒険者像、それは……
「僕が成りたいのは……『妖精さん』かな」
「「「「妖精さん????」」」」「うん、妖精さんみたいなの」
これは、
前世の出来事に関係している。




