第10話 朝、お付きメイドに記入した余白を確認してみる。
※更新日時の目標
平日は朝8時半か9時と午後3時(15時)の2回更新目標、
あと月曜深夜1時(25時)すなわち火曜1時にも更新したい所存。
土日の更新時間は不定期になります、なんとか1日2回更新はしたいですが、
予定(競馬観戦やJリーグ観戦)があれば前もって平日の目標と同じ時間に予約投稿できればなと、
明日は天皇賞(秋)を観に東京競馬場へ朝から行ってきます。
「おはようございます坊ちゃま、今日は朝から学校ですよ」
「あっ、眠そう」「まあそれは、それ以上言うとまたくすぐりますよ」
「んー、ちょっと背中見せて」「はいはい、じっとしていれば良いんですよね」
俺は改めてステータスを見る。
名前:ミラ 年齢:26歳 性別:女性
体力:104 魔力:0 職業:メイド
装備:メイド服 メイドのカチューシャ
加護女神:パラネス スキル:力仕事軽減
うん、これの余白だ。
「あいかわらず、触られてるんだか触られてないんだか」
「触ったらお金請求するんでしょ?」「場所によりますよ」
俺にはまだ早いな七歳だし、
そして余白を見る、俺がまだ記憶を取り戻す前、
なんとなく見つけてなんとなく書いた……あったあった。
きちんとメイドしごとをしたぶんだけモテる
※おしおきはいたくないように
折檻がくすぐりで済んでいるのはこのためか、
一応、合意が無いと書けないはずだからミラは認識しているはず、
今でも覚えていれば、秘密を共有した仲間ということにはなるのだが。
「僕、なにしたっけ」
「メイドのお仕事をちゃんとすればするほど、
モテるようになるって、ただ、坊ちゃまに痛い事をしなければ」
うん、それを憶えているということは……!!
「やっぱモテてるんだ」
「よく働いた夜は特にですね、
おかげ様で、坊ちゃんの独立を待たずに身請けされそうです」
ほう、もうそんなお相手が!
「年齢からすれば、そうですよね」
「むしろぎりぎ、何を言わせるんですか、
昨日から急に大人びていませんか? 雰囲気が」
三十九歳が出ちゃってるかあ。
「もう七歳ですから」
「いやいや、七歳って言ったらまだ……
まあ、いやらしい方向に進むガキいや坊ちゃんもいるらしいから、それよりもは」
後半は呟くように言っちゃってる。
「大丈夫ですよ、僕の場合は完全受け身ですから、
それに、だからといってあからさまにアピールしてくるのはゲンナリというか」
「急に何を、学校で何かあった様子は……あの子以外は」「いや、そういう話では無いです」
やべえ、前世の経験談が出ちゃった。
「じゃあどういう話ですか」「大切な商談のあるパーティーに侯爵家へ出向いて、
若いながらも自分は派閥内でも重要な役回りがあるにもかかわらず、あからさまなメイドに誘惑されて、
ホイホイついて行ったらメイドの詰め所の奥でイタしている間に交渉が終わってしまい、不利な条件を押し切られていたとかいう」「どこの話ですか」
前世で夜中にやってた深夜アニメですよ、
なろう系の……いや七歳がそんな心配してどうする。
「ミラさんが逢い引きに抜け出している間の書庫で」
「あそこは魔法書はあっても、そんな小説は無かったはずで」
「隠してあったんですよ」「七歳でよく読めましたね」「独学で勉強しました」
前世で義務教育を、ばっちりね。
「あえて七歳の誕生日まで隠し……ってもういいかげんそろそろ」
「あっはい、おかげ様で目が覚めました、朝食をいただいて歯を磨いて顔を洗って学校へ行きます、
ミラさんはもうついて来ないんでしたっけ」「しばらくは行き帰りだけ」「いいんですか」「真面目に尽くせば彼氏と」「あっ」「あっ」
うん、これくらいわかり易い方がいい。
「じゃあ今日は誕生日でもないので、相変わらずひとりで朝食を、ミラさんは居てくれますが」
そう、貴族の朝食は遅い、
兄や姉が帰って来てたらたまにかち合うこともあるが、
来たとしても距離がある、色んな意味で……でも今にして思えば、良い距離感だ。
(前世の兄や姉もなあ、まあ色々とありましたよ)
それはまた、おいおい。
ちなみに子爵家の朝食は普通、
異世界で中世ヨーロッパ風といっても忠実な再現とかでは無いのでまあ、ぼちぼち。
「ミラさん紅茶淹れるの上手いですよねー」
「見様見真似ですよ」「でもレクチャーは受けたんですよね」
「……やっぱり七歳じゃない」「それ以上はいけない! お互いのために」「……察しました」
ていうか俺も自制しないと。
「それにしても独立かあ、この世界だと確か十五歳からですよね」
やっべ、『この世界』とか言っちゃった。
「見習いならもう少し早く子爵家を出られますよ、騎士団見習い、魔術師見習い、
教会での僧侶見習い、冒険者見習い、あとメイドの男版である執事見習いとか」
「あー、研修期間ね」「あと貧乏な所だと冒険者見習いですね、あそこは若くして死ぬと不名誉なので結構守られるとか」
冒険者ギルドか大規模な冒険者パーティーのことだろうな不名誉って。
「いつか見学してみたいですね」
「冒険者ギルドならもう行けるのでは、ちっちゃいですが」
「案内して貰えますか」「一応は警備を付けましょ、あと独立と言って良いかわかりませんが、身請けされる手も」
あー、父上がちらっとそんなこと言っていたとかなんとか。
「売られちゃうんですか、この僕が」
ドナドナと。
「跡継ぎの無いぼつら……昔有名だった貴族とか、
お金を払ってでも欲しい所はあるでしょうが、子爵の三男となると」
いま没落貴族って言おうとして言い直したな、
さすがにそこはメイドとして弁えているのだろう、
まあ食卓は料理持ってくるメイドも居るからね、ちょっと気を使う。
「ええっと、今日学校で明日、明後日はお休みですよね」
「はい、私も明後日はメイド休みです」「楽しんでらっしゃい」
「でしたらお母様に言って、お小遣いの値上げを」「僕の?」「……そこから出して下さるなら」
そういえば、こっちに来てから、
お金って持ち歩いて無かったなぁ。




