自己紹介
「最初の授業は自己紹介としよう。まずは私から。フォーテだ。人類最強の魔術師と言われている。私の目的は魔導の探求だ。この学校は多くの魔導書が読め、金払いが良いから教えているに過ぎない。全学年の特級クラスを教えているため、授業は6日に一回だ。以上だ。次は学年首席にしてもらおうか」
こちらに向き合う意志はないということか?思ったより嫌なやつだな。フォーテ教授は橙髪だった。腰の上まである長髪だ。
「フィリオだ。言うことは特にない。次オスクリタがやれ」
「は〜い。オスクリタです。フィリオ様の使用人をやっています。フィリオ様に生徒として過ごすように言われていますので、使用人ではなく生徒として接してください。これからよろしくね」
使用人として過ごさないので慣れているようだな。レアルタも見習ってほしいな。
「俺達からは以上だ。つぎは試験3位に頼もうか」
フィリオがそう締め括った。もう順番か。
「ラステル侯爵家長子、レーゲン・ラステルと申します。今までは黒髪で家でも差別されてきました。学校でも不安でしたが、他にも黒髪の人がいて少し安心しています。これからよろしくお願いします」
「じゃあ、次は僕かな?
ドルチェです。珍しいけど、、男性の天族です。でもへりくだってくるのはうんざりしてるんで、普通に接してください。よろしくお願いします。じゃあ、次の人おねがい」
天族だったのか。とても失礼なことをしてしまったな。だが、本人が普通に接してと言うなら敬う方が不敬だ。これからは友人として接することにしよう。
「ノーブル公爵家長子、ソーレン・ノーブルですわ。
これから長い間、ぜひぜひよろしくお願いしますわね」
すごくきれいな金髪だな。思わず見とれてしまいそうだ。それにしても…ノーブル公爵家の子供は同い年だったのか。ノーブル公爵家はディスクリミニエ王国で我がラステル公爵家と双璧をなす大貴族だ。
「私はスペルビア・ディスクリミニエ。ディスクリミニエ王国第一王子である。
だが、この場に王族より位の高い者がいるのもまた事実。
よって、私に敬意を払う必要はない。よろしく頼む」
王太子も同い年だったのか。偶然には思えないな。国王とクソ親父とノーブル公が結託して同じ年に産まれさせたかもしれない。真相はわからないが。ちなみに、王家は代々赤髪。例に漏れずスペルビアも赤髪だ。
「アリサ・エンジュと申します。エンジュ辺境伯の娘です。短い間ではありますが、よろしくお願いします」
青髪をポニーテールにしている少女は言った。なぜ短い間と言ったのだろう。没落しない限り貴族家とは今後も関わるものだが、どういうことだ?エンジュ辺境伯は辺境伯ならではの木材などが名産だ。国内のほとんど全ての流通を賄っている。貴族家としては仲良くやっていきたいが。
「はいぃ。イントリゴ・デヴォツィオーネと申しますぅ。偉大な兄アペルトの出涸らしですぅ。できれば仲良くしてくださいぃ。あっあとフィリオさん先日はありがとうございました!」
空髪だが少し紫がかっている。あまり綺麗ではない。全身が傷だらけだな。始業式の際フィリオが言っていたのはこの男のことだろう。アペルト生徒会長ともつながる。それにしても卑屈だな。そして自己紹介で個人に対して話すのは論外だ。
「終わったか。では、今日の授業は終わりだ。帰るにしろ、親睦会をするにしろ、好きにするがいい」
そう言うと、教授はそそくさと出て行ってしまった。
「じゃあ、親睦会でもしようか」
この場で最も権力が強い存在、ドルチェが言った。
ならば、従わないという選択肢は存在しない。