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黒髪

3年が過ぎた。私は6歳になった。いい加減使用人たちの態度には慣れたが、これから嫌なことがある。子どもの発表だ。この世界では、子どもは7歳になるまでは親や使用人など近しいものにしかかかわらず、世間に公表しない。そして、12歳になると貴族は王立学園に通い、卒業と同時に成人する。成人は18歳だ。明日は子供の公表会。世間にラステル公爵家の娘は黒髪だと知れ渡る。黒髪が生まれたとなれば、公爵家の力は落ちるだろう。父親のあたりが日に日に強くなっている。


死のうとは思わない。家と親に殺されるほど私の心はもろくない。ただ、母が可哀想だ。私が生まれてからショックで寝込んでしまったのだから。私のせいだが、何もできない。自分の無力さに呆れる。


発表の前日、寝る前にクソ親父が入ってきた。明日の話し合いだろうか。

「こんばんは。ちちう「お前のせいで…」えっ」

なぜナイフを持っているのか。私を殺すのか。子孫殺しは大罪だぞ。

私を殺そうとする気持ちはわかるが、そこまで理性がないとは思わなかったぞ。

自ら家の力を貶めるような行動はしないはずだ。


「感心しないね。」

私の前に、黒髪が現れた。


「貴様は何者だ!」

「何者…か。 少なくとも人ではないよ。」

「ふざけるな!」

クソ親父がナイフを持って突進する。

それを、少年はゆるりとかわし、みぞおちに一撃。

クソ親父がすぐにダウンした。

「何があっても親が子に刃を向けてはだめだ。

使用人の命令を解き、謝罪して最低限貴族の娘ぐらいには待遇を良くすること。

そうしないと、僕がお前を殺す。覚えておくように。」

そう言うと、少年はこちらに歩いてきて、髪を手に取っていった。

「きれいな髪だね。生きていてよかった。またいつか会おうね。」

この髪の何がきれいなのだろう。少年の方がずっと澄んでいて綺麗だと言うのに。

気が付けば、少年は消えてしまっていた。


倒れているクソ親父をちらりともせず、私はただ呆然としていた。


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