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うまく改行できないから変な感じになっちゃった

 旅をしている猫がいました。猫は空にある小さな輝きを求めて地面をはい回っています。


 旅を始めてからすぐに大変な目にあった猫は、そのことが忘れられずにいました。

 暗い顔をしていると、前から泥が飛んできました。

 驚いた猫は、泥が飛んできた方向を見るとたくさんの猿と一匹のきれいな鳥がいました。


 猿の中に一匹の鳥がいるのは奇怪な光景に見えたが、そこに訴えかけるように言いました。

「やめてよ、僕何も悪いことしないよ。だから泥を投げないでよ。」 

 そこで鳥は言います、

「あの猫は悪者です。私たちのイチジクの木を自分のものにしようとする悪い猫です。

 私たちの大切なイチジクを守りましょう。」

 猫にとってはまたしても理解できないことが起こりました。

 すると周りの猿たちは一斉に泥を投げ始め

 当たった中には石も混ざっていて猫は大変痛い思いをしました。

 

 痛む体を引きずって力の限りその場から離れようとしました。

 しかし、何匹の猿が追いかけてきて泥や石を投げ続けました。

 それでも必死に歩き続けます。自分の身を守るために。

 

 しばらく歩いて、森の中にある岩の隙間に身を隠した猫は

 痛みとこれまでのことから泣き出してしまいます。

 ガサガサ。近くの藪の中から音が聞こえます。

 怖くなり鳴き声を抑えるが、一匹の猿に見つかってしまいました。

 その手には、泥団子とイチジクがあり猫は絶望しましたが勇気を振り絞って問いかけました。

「どうして君たちは僕をいじめるの?僕は何もしていないし、イチジクも食べないから

 関係ないはずなのに。」

 すると猿は答えます。

「だって、あの鳥がお前のことを悪者だって言うから。それに他のみんなもやっているから俺だけやらな 

 いのもなんか違うなって思ったから。」

 猫は驚きを隠せません。今まで一人だった猫には初めての感覚だったからです。

 しかし、同時に疑問も浮かびました。

「君はその鳥が言ったことは何でも信じるの?

 まわりがやっているから自分もしていいと思うの?」

 猿は答えます、

「そうだと思う、だってあの鳥きれいだし、言うこと正しいってみんな言ってるし、

 あの鳥も俺たちにイチジクがおいしいって教えてくれたし。ほかにも、、、」

 

 ガサガサ。話の途中で再び藪の中から音がします。

 しかし出てきたのは猿に指示を出していたきれいな鳥でした。 

 きれいな鳥は猿に戻れと指示を出すと猫を一瞥し口角を上げながらその場から立ち去ろうとします。

 しかし猫はどうしても聞きたいことがあったので話しかけます。

「どうしてひどいことをするの?サルたちを騙して自分に従わせてなにがしたいの?」

 きれいな鳥は面倒くさそうに話します

「ひどいこと?私は何もしてないよ、あのバカたちが勝手にやっているだけ。

 それに私は君に泥を投げろなんて一言も言ってないでしょ?だから私には関係ない。」

「でも君の声で猿たちは僕に泥や石を投げたんだ。もう投げないように言ってよ。

 石が当たったところがとても痛いんだ。」

 イライラした口調できれいな鳥は言い返します

「だいたい猫なんだからそれ位避けれるでしょ。それに猫って肉食だし鳥とか食べるんでしょ?

 自分の身を守ってるだけなのに何が悪いの?」

 猫はこれを聞いて何も言えなくなりました

 至極まっとうなことを言っているように聞こえたからです。


 満足したのかきれいな鳥は立ち去りました。

 猫は言われたことを思い出しながら再び泣き出します。

 

 しばらく泣いて落ち着くと薬を買いに薬屋さんを探しました。

 森の中を進むとぽつんと一軒の民家のようなものを見つけ、

 薬のにおいがしたので中に入ることを決めました。

 中に入り、見渡すと薬がたくさん置いてありました。

 しかしお店の中には、きれいな鳥にそっくりだが少しちいさな鳥がいて猫は逃げ出そうとし

 一つの声がそれを止めました。

「怖がらなくてもいい。僕はあの鳥とそっくりだけど君にひどいことはしないよ。

 この場所は猿たちにも知られていないから安心しなさい。」

 猫が立ち止まったのを見て続けて言います

「猿たちにやられたんだね、かわいそうに。すぐに手当てをしよう。」

 猫は気が抜けたのかその場にへたり込んでしまいました。


 気が付くとふかふかな布の上で横になっていました。

 それと同時に助けてくれたきれいな鳥が入ってきました。

 起きたことに気が付くと猫に事情を聴きました。

 猫の話が終わるときれいな鳥は怒りと悲しみの混じった声で話し始めました

「あの鳥は僕の兄なんだ。小さい時からきれいな見た目で体も大きく周りからもてはやされて育った。

 しかし親鳥は、似ていたが体の小さい弟の僕ばかりに意識を割いた。」

「それが原因かもしれない、兄は奇抜なことをして注目を集め、

 他者を自分の都合のいいように操る癖が出るようになった。」

「そのせいか兄は孤独を極端に恐れるようになった。だから自分の優位性を確かめるために猿たちを扇動

 して君を襲ったんだと思う。君意外にも襲われた生き物はたくさんいるんだ。ほんとうにすまない。」

 

 猫は話の内容がよく理解できなかったが、兄鳥が悪い奴なんだと感じていた。だからこそ聞いた

「あのきれいな鳥は、悪い鳥で猿たちは悪くないの?」

 それを聞いた弟鳥は少し考えた末に口を開きました

「たしかに猿たちは兄に扇動されたが、君を傷つけたのは猿どもだ。

 集団でのけ者にされないためにも猿には周りに従うしかなかったが

 集団が正しいと判断してもそれが倫理観に反するということはよくある。」

「だからこそ彼らはかわいそうな存在なんだ。そして君は問い続けるんだ。

 自分が正しいと思っていることは誰かにとっては容認しがたい悪なのではないかと。」

 やっぱり難しい話だと猫は思いました。

 でも以前出会ったオットセイも彼らなりの正しさから変なことをしていたんだと思い至りました。

 少し黙っていると弟鳥が聴きました

「ところで、君は何でこんなところまで来たの?」

「暗くなったら空に出てくる小さい光が欲しいんだ。」

「でも僕このまま外に出てもあの猿たちが怖いよ。」

 ふと不安が漏れた

「大丈夫だよ、手は打ってある。あのイチジクの木はイチジクの木じゃないんだよ。

 だからたくさん食べると危ないんだ。だから君は安心してこの先も進むといいよ。」

 弟鳥からのアドバイスは不思議と安心できるものでした。

「わかった、ありがとう。きれいな鳥さん。」

 

 数日後傷が治った猫は森を抜け再び歩き始めました。


 

 同日、イチジクの木(?)の近くでは口から泡を吹いて倒れる猿が現れました。

「おい鳥!仲間が倒れたぞ、このイチジクを食べたせいじゃないだろうな!」

「そうだ!今までにこんなことはなかった!お前のせいだ。」

 猿たちはきれいな鳥に詰め寄り、争いごとが起こりました。


 後日 一羽のきれいな鳥は猿ときれいな鳥が倒れた付近にある木から果実を一つ頬張りましたとさ。

 

 

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