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JKと魔王討伐までのエピローグ。  作者: 彗 暦
1章 非日常の日常編
5/9

5話 10代にして夢のマイホーム生活

「うっぷ…」

「なんで私だけ酔えないのよ。」

「『不酔の祝福』とかあんじゃねえのかよ…」


宴をした後、3日が過ぎた。

俺たちは宿から一歩も出ていない。


「うぅ…頭痛が…ユーカ、『酔い止め薬召喚の祝福』とかないのかよ…」

「あるわけないでしょーが」


俺はというと、宴から、味を知ってしまってからは、ずっとこんな調子だ。


「私たち、このままでいいのかしらね」

「いいに決まってんだろ…なんせ俺らの財産は4億もあるんだぜ…」


そう。僕たちはお金も持ちなのだ。

みんなは覚えているか、俺が5億円当たったことを。



~~~~~~~過去回想~~~~~~~~




「アストぉ~お金貸してぇ~!!!」

「私からも、カゲにお金貸してあげて!」


お前も金ないだろ。


「久々に土下座を見たよ…」

「美しいわね…」

「お前も土下座をしろ!土下座を!!」


現状を説明すると、僕たちはお金がない。

宿屋にアストがつけてくれていた10日分。

今は10日目。めし代はユーカが下の階の料理屋さんから賄いを調達。

残された資金はユーカのバイト代。あと2人前2食分。

絶対絶命の状況。

俺たちはギルドでアストが来るまで張り込みをして、今って感じだ。


「たっく…お前が、冒険者全員分の飲み代を奢ったからこうなったんだぞ…」

「しょうがないでしょ…転生したら絶対にやってみたいことのランキング殿堂入りだもの」


そんなのねーだろ


「と、とにかくアスト!金貸してくれ…お前だけが頼りなんだ…」

「君たち、転生してきたときのお金はどうしたんだい?」

「そんなのもう使っちゃったに決まってるでしょ?」

「え、何それ」


知らない、知らない。全然知らない。

転生してきた時のお金って何?


「え、ステータス表示のところに書いてあったじゃない。」

「前世の財産をそのまま引き継いでいるはずだよ。」

「あぁーはいはい、またそのパターンね。俺だけまた、なんもないパターンね。『貯金の祝福』ですか?『タンス預金の祝福』ですか?でももう驚かないかr…」


ステータスを見た瞬間。思わず息をのんだ。数秒時が止まった。


「800000000」と書いてあったからだ。


「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、おく………おく!?!?8億カーキだから…総資産4億円…かかかカゲって、どこかの御曹司だったのかしら…」

「俺…宝くじで5億当たってたんだった…」


この世界に来てからというもの、色々大変ですっかり忘れていた。


「カゲ!カゲ!家を買いましょ!10LDK!」

「ふふふ…そんな貧相なこと言うでないユーカよ…100LDKだって夢じゃないさ!」

「私!お風呂付がいいわ!備え付けのお風呂!!!」

「まあユーカよ…そんなにはしゃぐ出ないぞ!!!」

「まあ、なんというか、問題は解決したようだね…じゃあ僕はもう行くよ…」



~~~~~~~~~~~~~~~



というわけで現在である。


「カゲ!不動産屋へ行きましょ!!」

「よし!夢のマイホームを買いに行くぞ!!!」


僕たちは()()カーキを握りしめ、不動産屋へ向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~



「いらっしゃいませ。」


ドアベルの音に気付いて、部屋の奥からてくてくと小走りで駆け寄ってくる。

白髪なのに身長70センチくらいなのを察するに、おそらくこれが小人族だろう。


「どのような物件をお探しでしょうか?」

「マイホームを買いたい。それもこの街で一番でかい一軒家を!!」

「風呂付がいいわ!」

「かしこまりました。その条件ですと…こちらになります。」


小さい腕で1枚の紙を俺たちに1枚ずつ配布する。


「ふうんなるほど、立地も悪くない。風呂もついている。庭もでかい。買った。この物件はいくらだ?」

「10億カーキになります。」

「うん。なるほどこの物件は日当たりがよくないな。やめよう。どうだユーカ」

「そうね、そう。日当たりが…日当たりがよくないわ!」

「ご主人。ここは1日中日が当たるこの街最高の日当たりですよ?」

「「日当たりがよくないの!!!!!」」

「さ、左様ですか…」

「では、こちらの物件はいかがですか…」

「ふむ、なるほど。最新式のトイレ。お、3階建てか、それに魔法体制のあるレンガで作られた壁。うむ。すばらしい、買った。いくらだ。」

「お風呂もついてるわね!」

「18億カーキになります。」

「なるほど、庭がないな」

「庭がないわね!」

「お客様。大変お目が高いですね。ではこちらの1億カーキの物件を…」

「ふううむ…なるほど、立地よし、庭よし、トイレよし、間取りよしの魔法体制の物件か…」

「お風呂もあるわね!」

「ですが、こちらの物件少々込み入った事情がありまして…」


おいおいまさかこれって、そういうことか?異世界転生あるあるの。あれなのか?


「まさか、幽霊が住み着いているのね!?!?!?」

「左様です。亡霊が住み着いており、住人に悪さをするのです。」

「カゲ!ここにしましょ!貴方ならわかるわよね!?これは転生したらやってみたいことランキング18位にはランクインするわ!」

「ったくわかったよ。ここにすればいいんだろ…」

「ではここにサインを…」


~~~~~~~~~~~~~~~



「…ここが俺らのマイホームか」

「いかにもって感じね…」


目に入るのは、木のでっかい家。

ここで暮らせるのか…


「いや全然そんなことない。ごく普通の家に見えるんだけど…」

「モンスターのオーラがぶんぶん感じるわ…」


ぶんぶんってなんだよ。ビンビンとかだろ。


内装はキレイではあるものの、暗くてぎりぎり見えるか見えないか。俺らは一つずづ懐中電灯のような魔道具を渡されたので、その灯りに頼って、一階を制覇。階段を上がり二階の一番大きい部屋に向かう。

少しきしんだドアを開けた。

ギシギシギシィ!!!


「ひぃぃ!!!!!!」

「カゲったら、ドアの軋みでそんなびっくりして、ほんと情けないわね…」


こいつ、やっぱり頼りがいがあるな…


「ん?なんか揺れてないか?」

「そうかしら、私はわからないわ…」


って…こいつの足が震えてるだけじゃねーか!

やっぱビビってんじゃん。


「モンスターが出たら、作戦通りに俺が縄で縛るからそこをユーカが切ってくれよ。」

「もう何回も聞いたわ!!!幽霊なんて動けなかったらこっちのもんよ!!」



「うぉっ」


ユーカが手をつないできた。そういえば15歳だったな…

こういう面もあるのか…


「まったく…とうとう俺のこと好きになっちまっ…」


左に懐中電灯を向けるとそこには、足が透けている禿げのおっさんがいた。


「ぎゃあ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!ユーカ!!!ユーカ!!!ユゥゥカァ!!!!」


俺は逃げ回る。それはもう見事なほどに。


「そこにいるのね!!!私の剣の初の餌食になりなさい!!!」


俺がおっさんにチューされそうになる寸前。スパッとユーカが幽霊を切る。


「ありがとうユーカ様!!!ありがとうユーカ様!!!」

「よしよしいい子ね…いい子だから年下の胸の中で泣くのはやめなさい…」

「ぐすん…」


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