表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

たのしい?《エクセディア》講座

作者: 久遠蒼季

「……キツい」

 長椅子に腰掛けた第一声が溜息交じりの泣き言になるぐらいへこたれながら、ショートカットの少女、ハンナ・は白い天井を仰いだ。

 清潔感のある、長く白い無機質な廊下。それに対してハンナの姿はボロボロである。肩で纏められた紫色の髪は艶もなくボサボサ、魔物の皮と合金を合わせて作られた軽鎧は所々千切れ、肩当てや膝当ての金属は歪んでいる。外傷はない物の汚れも酷い。この施設内の設備は洗浄機巧、とやらで構わず使ってよいと聞いているが、正直気が引けている。

 もう数ヶ月経つが、未だに自分の世界との文明差には驚かされるばかりだ。

 無限に連なる並行世界。ここは世界と世界の狭間に存在する『管理局』。イレギュラーな並行世界間干渉を影響が広がる前に局員を派遣して対処し、世界間均衡を保つ機関である。

そして椅子でぐったりしているハンナもまた、実働部の局員である。管理局自体は何処の世界にも存在せず、所属するメンバーは何れかの並行世界より参加している。並行世界はいくつかに系統分けされていおり、彼女はF系統世界からこの管理局へと参入していた。

 先程事態解決に至った事件は、F系統のドラゴンゾンビを用いたイレギュラールートによるS系統世界への侵攻。

 他の局員と共にやっとのことで撃破して帰ってきて、今現在である。

(これが慣れないスよねぇ……)

 腰に装着していたデバイスを外し、顔の前まで持ってくる。見た目としては掌より少し大きな黒い金属ケース。中央にはガラス玉のような丸い空洞。

 世界と装着者の干渉を制御し、能力を定型として出力するシステム。

 次元横断干渉機巧──、 《エクセディア》である。

 非常に乱暴な言い方をすれば『どんな並行世界に行っても自分の能力を安定して九〇%ぐらいで出力できる』アイテムである。並行世界とは、渡る当人にとって全くの異世界である。世界と世界を移動するなどということは、根本からして埒外の現象である。世界と自身には明確な相性のようなものがあり自身の能力が十全に発現しないのが普通、悪ければそもそもの存在すら保つことが難しくなるケースすらある。

 そういった全てを解消するのがこの 《エクセディア》だ。

(それはそうとして)

 慣れる慣れないの話は別である。

 ハンナの戦闘スタイルは重力場を拳に集めて戦う近接格闘。元の世界では意識して力を籠めるだけで能力を行使できていたが、今はそれだけでは足りない。どのように力を発露させるか 《エクセディア》のシステムを通して指定する必要がある。今まではただエネルギーを溜めて殴るだけでよかったところに細かな操作が加わるのは、感覚派のハンナにとっては少々辛い。かといって 《エクセディア》から供給される最低限の身体強化で戦えるほど甘くはないのは重々承知である。

 結局の所、戦いを続けるのであれば慣れるしかないのだ。

 溜息を一つつき、ハンナは重い腰を上げて歩き始める。今この疲労の主な原因は肉体よりメンタル由来のものである。それならいっそとトレーニング用のシミュレータールームへと向かう。慣れが足りないのであれば数を重ねて経験を積むしかない。歩を進めながら、手で遊ばせていた 《エクセディア》を元の腰のホルダーへと戻す。

 トレーニングシミュレータールームでは 《エクセディア》の設定や動作確認の他、仮想空間でデータを設定して模擬戦闘も行える。本来であれば出力の確認などに使うのだが、腹いせ代わりに弱めに設定したモンスターでも撃破して回ろうか、などと志が高所の水のように低所へと流れ落ちていく。そんな風に益体もないことを考えていると、ものの数分もしないうちに目的地へと辿り着いた。

  《エクセディア》から自身のIDカードを抜き出し、扉へ翳す。無機質な自動ドアは間髪なく開き、自身の世界にない技術に辟易しながらハンナは中へと入った。

「ん? こんにちは?」

 と、先客がいたのか、振り返りながら挨拶をしてきた。

「あ、どもっス」

 軽く返しながら、ハンナは記憶を探る。目の前の少女には見覚えがある。二つほど前の案件で一緒になったはずだ。

 確か自分と違う、R系統世界の出身。ハンナの世界にはあまりいない、背中まで伸びる黒い長髪。服装は学校というところの制服といったか、綺麗な白いシャツに赤いスカート、胸元には細いリボン。年は確か同じ頃だったか。

「──るみな、だよハンナちゃん」

 そんな風に思い出そうとしているのがバレたのか、目の前の少女、朝峰るみなは笑いながら歩いてくる。向こうはしっかり覚えているようだ。

 軽く会釈して、ハンナはそそくさと奥へと進む。るみなはさして気にしてなさそうだが、一方的に名前が出てこなかったのは何というかバツが悪い。

「今からシミュ? よかったら模擬戦とかどう?」

 だというのに、るみなは寄ってきていた。

 自身が使っていたであろうシミュレーターの動作を止めながら喋りかけてくるものだから断られる想定をしていないようにも見える。

 ともあれハンナとしてもありがたい申し出である。初心に返ればシミュレータールームに来たのは 《エクセディア》に慣れるためで、設定されたデータと戦うよりは生身の相手と戦った方がいい経験になる。

「よろしくお願いするっス」

「はーい」

 返答を受けてるみなはテキパキとシミュレーターのタッチパネルを操作して設定を行っていく。仮想空間での戦闘は、当然複数人での使用も想定されている。部屋の広さや地形に気候、なんなら救出対象となる民間人を配置することも出来る。

「そしたら部屋はプレーン、そこそこ広めとかで大丈夫?」

「っス」

 ハンナの言葉を受けて、るみなは決定キーを押す。横に光で形成された扉が出現し、二人は自身の 《エクセディア》を翳して中へと入る。

 シミュレーター・プレーン。中は淡い白一色で統一されているが、何かしら加工がされているのか目には痛くない。一定間隔毎に黒い線が引かれており、彼我の距離を測りやすくなっている。広さは十分にあり、二人で戦うにしても全てを使い切るのは少し難しいだろう。

「それじゃ、さっそく始めよっか」

「お願いします」

 互いに距離を取り、十分に離れる。るみなは 《エクセディア》から抜き出すように身の丈ほどの長槍を形成する。対するハンナは、特別武器を有していない。鍛えた拳こそ彼女の得物。故に擦れた白いバンテージを丁寧に巻き直していく。

次元横断干渉機巧 《エクセディア》。

 異世界への転移や存在保障、意思伝達通訳などその機能は多岐に渡るが最も肝要なのは、『力を定型として出力し、安定して戦う能力を確保する』という点である。 《エクセディア》は使用者の持つエネルギーを『強打』や『精密操作』、『加速』、『放出』などの十数種の性質のカードとして型作り、それらを接続して組み合わせることで各自が本来持つ能力を再現し、外部へと出力して発動へと至るシステムである。

 そして、このカード操作こそがハンナの苦手とするところでもある。

  《エクセディア》の装備方法は人それぞれであり、ハンナは腰に装備して視界端にカードを映して思念で操作する方式、外から見た影響が少ないスタイルである。るみなはというと 《エクセディア》を左手のリストバンドへと装着していた。カードの操作方式はハンナと同じか。手首か指で操作する方式か。

 模擬戦開始前の最後の確認として、手元に浮かんだ光るパネルでシミュレーターの設定を互いにチェックしていく。

 エリア:プレーン

 状態:通常

 体力数値化:オン

 体力値:同値

 ショックアブソーバー:オン

 簡単に言えば『何もない空間で身体状態に変更無し』『体力と攻撃は 《エクセディア》を通じて数値化』『体力値は平等』『過度なダメージが入らないように衝撃緩和あり』である。空間設定は好みの範疇だが、割とメジャーな設定だ。

 特に体力の数値化がポイントであり、ゼロになれば強制的に勝敗が決する。そこにメンタルや根性が入り込む余地はなく、所謂『精神が肉体を凌駕する』という事態は起きない。実戦ならともかく、訓練から不確定要素に頼るべきではない。あくまで訓練は訓練として、技術の安定を図る場所である。

ハンナはパネルの承認ボタンを押して、改めてるみなを見据える。

 軽装、鎧なし、得物は長槍。槍の先端は大きな三角形のように刃が広がっており、刺突の他に斬りも払いも可能。間合いではこちらが不利。初期位置は大股で十数歩といったところか。とはいえ、互いに 《エクセディア》の操作が挟まるのだから猶予はある。

 ポンッ、と音が鳴る。

 模擬戦開始までのカウントダウン。間を置いてあと三度鳴れば開始。

 ポンッ。

 槍使いの相手は初めてではない。大切なのは間合いと自身の能力である重力場の使い方。

 ポンッ。

 まずは 《エクセディア》から供給エネルギーで攻撃の組み立てを考えて──

 ポーンと、開幕を告げる音。


 それと共に、るみなは一息で間合いを詰めてきた。


 離れていたはずの互いの距離は最早ない。ハンナが驚く間もなく槍が迫る。

「ッ!」

 咄嗟に腕をクロスして眼前に迫る穂先を防ぐ。まるで金属同士を叩きつけるような鈍い音。腕に纏わせたエネルギーが槍を阻む。

 それでもるみなは止まらない。

 防がれるや否や直ぐさま槍を返し、ぐるりと体を回して追撃にかかる。体捌きでハンナが躱そうとするのに合わせて、更に槍を体の外を通すように回してタイミングをずらして横の薙ぎ払いに使う、こちらの間合いだというのに変幻自在のるみなの手が止まらない。

「こ、のッ!」

 ハンナは即座に視界端の赤のカード二枚を赤のトリガーへと接続する。体に力が充足し、両の拳に重力場が宿る。

「ラッシュ、パリィ、アクセル」

 対するるみなの声は涼やかであった。迫り来るハンナの拳から僅かも視線を切らず、体をコンパクトに纏めて長槍を体幹へと引き寄せる。そうして槍の柄、腹の部分でハンナの二の腕を打ち付ける。

痛みは薄い。が、拳の軌道が逸れる。重力場を纏っているのは拳のみ。それ以外の前腕に特殊性はない。

 そのまま回り込むようにるみなはローリングし、背後どころか空いた腕を叩きつけて跳躍し、ハンナの頭上を取る。

 瞬間、鋭い刺突がハンナを貫いた。

 当たったのは左腕の肩。ショックアブソーバーがあるとはいえ、痛いものは痛い。反撃のために拳を振った頃にはるみなはもう離れていた。

そうして追撃のためにるみなは足に力を籠め、

「ちょ、タンマ、タンマっス!!!」

 ハンナの全力の待ったコールにブレーキをかけられた。

「どしたの?」

 きょとんとした様子でるみなはバックステップで二歩ほど後退する。

「いやいやいやいや、今のなんスか!?」

「んん?」

 こくりと小首をかしげるるみなに、ハンナは涙目になりながら叫ぶ。

「間合いの詰めはエグいし、連撃は早いし、挙げ句なんでコッチの攻撃捌いたあとに攻撃してるんスか!? というかいつ 《エクセディア》操作したんスか!?」

「なるほどなるほど」

 コンと槍の石突きを床に立て、るみなは人差し指を口元に当てて考える。

「……それじゃ、たぶん色んなことを説明した方が良さそうだから、模擬戦止めて順を追って説明するね」

「よろしくお願いするっス」

「ハンナちゃんが拳打を使った近接格闘主体なのは一緒になった任務で知ってたけど、その割にはカウントダウンが始まっても重心が後傾だったんだよね」

 そんな所を見られていたのか、とハンナは息を呑む。

「となると開幕の突撃はしてなさそうだなっていうのと、視線が私ともう一点、多分 《エクセディア》のカード表示予定箇所かな? そこに向いてたから攻撃構築ゆっくりしたいんだろうなって思ったの」

 これも正解である。シミュレーターでは 《エクセディア》の起動は互いに自動かつ同時となる。合図と共に自身の取れる選択肢も確認することが出来る。そこに意識を裂いていたいのは間違いない。何ならカードを見てから組み立てを考えようとすらしていた。

「ってなったら、その想定の逆から攻めたいからイニシアチブとることにして」

 そう判断すること事態は理解できるが、その後の挙動がどのようにして行われたのかが理解できない。ハンナは聞き逃すまいと意識を傾ける。

「最低限の身体強化で間合いをゼロにして虚をつくことにしたの。裏目っても対応出来るように踏み込みと同時に手持ちの 《エクセディア》の出力だけ確認はしとく感じで」

「はい???」

 あまりにもあんまりな答えに、つい気の抜けた声が上がる。

「ってことはあれって」

「うん。 《エクセディア》の出力は使ってない、ほぼ体術だけだね」

 しっかり防いでくれたけど実は威力無かったんだよ、と槍をひらひらと振る。

「いや、ちょっと待って、いつカード確認したって?」

「踏み込みのタイミング。意識の感じから問題なくいけそうだなって思ったから、ちらって」

 るみななそう言って、槍をふわりと持ち替えて 《エクセディア》が装着された左腕を翳す。恐らく、カードの表示位置がその辺りなのだろう。

 彼女の言うそれは一体、コンマ何秒の世界の話なのだろうか。

 ハンナの絶句をよそに、るみなは続ける。

「で、想定通りの間合いに入れたから、なるべくリズムを崩す感じで攻めたら 《エクセディア》の無理な起動するかなーって」

 見透かされたような、否、その実、ハンナの思考までしっかりと読み切っているその解説にもはや恐怖を通り越してある種の神々しさすら感じる。

「詰めてたら視線が動いたからいよいよ来そうだなってタイミングでハンナちゃんのやりたいことをイメージしたの」

 槍を指揮棒のようにくるくると回しながら、るみなは続ける。

「多分、間合いを詰められてしんどいから力業で打開したいだろうなって所から、一撃のストライクか放出のブラストの二択まで絞って、なら私はラッシュでそっちの動きを見てから決めようかなって。なるべく処理重点で組み上げて、ハンナちゃんから視線は切りたくなかったから、サブの音声認証で登録して。結果はストライクから来たから攻撃を捌いてから間合いを調整して一撃離脱……、こんなので大丈夫?」

「大丈夫じゃないんスけど……!?」

 絞り出すようにハンナは唸る。今の解説でハンナを知っていたという事前情報によるポイントは、実は僅かだ。るみなの挙動の本質は徹底した行動の押しつけ。処理がキャパシティを超えるであろう選択肢から有効なものを選んで実施したに過ぎない。

「てか、私が怯まず迎撃してきてたらどうしたんスか?」

「んー、それでも重心が後ろによりだったし、間に合う読みで最後の攻防みたいにしたかな。ただその場合は、さっきみたいな一撃離脱よりも、削り優先でもうちょっと長めに戦ってたかも」

「長めって……?」

 ハンナの反応に、るみなはぽむと手を打ち、シミュレータールームの設定パネルを呼び出す。テキパキと操作して模擬戦モードを解除して、 《エクセディア》の出力が自由に出来るモードへと変更する。

「それじゃ、 《エクセディア》を使う上で結構私がポイントにしてることなんだけど」

 るみなは左手首を上へと捻る。それと同時に三枚の大きなカードが宙空に浮かぶ。

 これらのカードは『トリガー』と呼ばれる、エネルギー出力の指向性を定めるものである。

 一撃の赤──『ストライク』。

 連携連撃の青──『ラッシュ』。

 放出の緑──『ブラスト』。

 これらは金型であり、続くカードをどのように扱うかという文字通りの引き金となる。故に 《エクセディア》を稼働させればいつでも呼び出すことが出来る。

「現状のシステムはこの三種類のトリガーに、三カテゴリーの『アクション』を繋いでエネルギーを最終出力するってのが基本で、ただ異世界の条件下ではアクションカードの方が一定のランダム性が出ちゃうから、練習はカードランダムでやってる──。ここまでは大丈夫だよね?」

 こくりとハンナは頷く。実際問題、このランダム性が割と問題なのだが、自分が存在しない世界で戦うというのはそれだけ制約がかかることなのだと納得するほかない。ともすれば能力の発露どころか身体をまともに動かすことすら出来ないのだから。

「それでここからがポイントなんだけど、別に出力は『技』じゃなくてもいいの」

「……というと?」

 いまいち飲み込めなかったハンナが首をかしげる。

「えっとね」

 るみなは指で操作して赤のトリガー・ストライクと、二枚のアクションを見える様にハンナの前に出す。

「ストライク、スマッシュ、インパクト。ざっくり言いうと超強力な一撃って感じだね」

 アクションカードは 《エクセディア》の使用者で使えるカードは共通である。ハンナも当然知っている組み合わせであるし、なんならさっきの戦闘でるみなに使ったのがこれである。

 るみなはパネルを操作して、白い岩のようなオブジェクトを出現させる。

「これを接続して──」

 浮かんだカードが繋がって組み合わさり、赤いエネルギーとなってるみなに宿る。

 ドゴンッ、とるみなは長槍を岩へと叩き付ける。同時に槍の穂先から焔が吹き出し、オブジェクトは跡形もなく砕け散った。

「こんな風に、強力な一撃として放ってもいいし」

 再度パネルが操作され、岩とカードが出現する。

 今度のるみなはカードを宿した後、軽やかなステップで岩へと近づき、一撃を放ち離脱する。そうして間髪おかずにまた一撃、更にもう一撃放ち、回り込むような足捌きで槍を叩き付け、それを繰り返して最終的には岩は同じように跡形もなくなっていた。

「今みたいに『強力な一撃』ぶんのエネルギーを全身に、こうまんべんなく補充した状態で立ち回ってもいいの」

「──」

 ハンナとしては開いた口が塞がらなかった。確かにハンナは 《エクセディア》での戦闘を苦手としている。それはカード選択もそうだが、実のところカード選択と使用出力、その間隙が苦手なのだ。出力と出力の繋ぎをどうしたものかというのが尽きない悩みの種であったのだ。これであれば継戦時間を長めにとって次の一撃を構築してタイミングを計って打ち込むという戦法が選択肢に上がって来る。というよりも元々徒手格闘を得意とするハンナには『技』といえるようなものは数少ない。 《エクセディア》による出力の調整が可能というのはまさに目から鱗であった。

「ありがとうございます、るみなサン。めっちゃ参考になったっス」

「どういたしましてっ!」

 ぶいっとるみなはピースをしながら笑う。

「ホントは模擬戦続きしたいんだけど、そろそろ帰らないといけなくって。ごめんねハンナちゃん」

「いえ、ここからは一人で練習てみるんで大丈夫っスよ」

 そうしてハンナの笑みを見届けた後、るみなは片付けて軽やかに帰って行った。

 嵐のような人だったなぁと、ハンナは腕組みをしながら遠い目をする。

 ともあれ手に入った情報は値千金である。上手くいかないなどと不貞腐れている場合ではなかった。足りなかったのは自身の知恵と知識と努力である。きっかけが手に入ったのはありがたい限りだ。

 そうしてハンナは、シミュレータールームのパネルを操作し、新たなトレーニングを開始するのであった。


ゲームマーケット2024秋 新作

キャラクリ×ボードゲーム!

『神気覚醒エクセディア』

キャラクリ×ボードゲーム!

3種のカードを組み合わせ、キャラを作って駆け巡れ!

汝、如何なる世界でも遂げるべきモノがあるのなら──己が力を型と成し、想いを以て立ち上がれ

→詳細ページ(https://gamemarket.jp/game/183682)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ