〜チートを授ける陰キャの女神〜
___く____みく__海玖____
__誰かが私を呼んでる…?女の人、みたいだけど…なんというか……女神様っぽい声ではないな……
__目を開けなさい………え、ちょ、…目、目を…開けてください……??
……答えないとすぐ不安になって敬語になる………なるほど、この女神…
海玖「陰でこっそり過ごしてるタイプのヲタクね」
女神「エッ…?ち、違います、ヲタクなんかじゃ……」
海玖「じゃあ陰でこっそり過ごしているタイプの女神?」
女神「い、今そんなことはどうでもいいの!いや、どうでも良いのです!……ふぅ……私は貴女に用があって呼び出したのです」
頑張っている…とても頑張っている…女神らしく振舞おうとして一呼吸置いちゃってる…
女神「貴女をこの異世界に召喚したのは私です…召喚術を失敗してしまったとかではありません……しかし私は優しいので、貴女にこの本を授けましょう…」
海玖「ねぇ、話が繋がってないんだけど。重要な事への導入が下手すぎるんだけど」
女神「ひ、人前で喋るのが久しぶりなのよ!…ゴホン!この本には特殊な力があります、その力でこの異世界の男同士を10組ほど幸せにしなさい、さすれば元の世界に返してあげましょう」
女神のヲタク特有の他人と目が合わせられない上に早口な説明の末、海玖は1つの事を悟った。
海玖「…女神様…拗らせすぎたハピエン厨ね……」
女神「……………あっ、ま、まもなくこの夢は覚めるでしょう、そしてその瞬間から貴女の使命は始まるのです、良いですか、10組ですよ。いやそれ以上でも構いませんが10組ですよ!」
図星を突かれセリフが飛んでしまった女神だったが、手のひらに油性で書いてしまったカンペを見て持ち直した。そして勇気をだして海玖に分厚い本を押し付けた後の謎の自慢げな女神の顔を最後に、海玖は夢から目覚めた____