嘘吐きは二枚舌の始まり
ある日から突然、不思議な現象が起きた。
ある朝起きた直後から、また起きている最中に二枚舌となった。
それは、世界規模で起こった。
世界中でこうした怪事が起ったのであり、世間は騒然とした。当然だろう。今まで進歩してこなかった人類の体が、急に変化したのだから。
何の為に、私たちの体は変化したのか。原因究明が、多くの人に望まれた。
それから、六ヶ月という短い間で、以下の事が大々的に発表された。曰く、新しく発生した舌には実像はないということ。存在しないはずなのに、網膜を通せばそこに存在するのだ。
つまり、私たちの目は、見えないはずの物を視認しているのだ。これには、多くの研究者が動揺し、市民もその存在と長らく暮らしているので、この現象に気づいていた。
だがしかし、二枚舌は生まれたばかりの乳幼児には存在しなかった。国際標準で、三歳から新たに舌が発生する。また、舌の色にも個人差があり、蛍光色の舌まであった。
こうした事実によって、明らかになったのは、どうにも新たな舌はその人が付いてきた嘘の度合い。つまり、嘘をつき始めた時期から発生し、その悪用度合いによって変わる事が判明したのだ。
多くの動揺が、世界中で起った。色による個人差別、舌先の色で人を判別するなと主張する人々によるデモ。飲食店は、舌を隠す為の対策が求められた。
舌着即剤。
舌白くナール。
舌隠しマスク。
多くの商品が販売され、どれも根本的な対策では無かった。
そうした中で、ある主張が成された。
それは、ホワイト舌を作る為の国際標準。
国際本音政策であった。
一見、馬鹿にされそうな基準であったが、意外にもこれは多くの人々に実践された。実際問題、変化が見られたからだ。効果があると知られてからは、皆それを実行した。
その結果、みんな本音の言い合いで、言葉はきつくもなった。
だけど、わかり合うのも早かった。
本当に馬鹿らしい。
いや、すまない。
だが、本音だ。
許して欲しい。