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もうひとりで
ただいまって恋煩い
時間旅行の賜物
このドアって前にちゃんと
ほら、やはり傷があった
傍迷惑な面影を眺めようと
雲に倣うと決めたんだ
カッコウに笑われながら
拭う夜もあった
もう、一人で生きる覚悟が決まったのに
もう、今はもどかしくて弱いくらい
レーザーで焼き付けた
残り物の抵抗
激しく息がうねって
また、許しを問うて
写真を撮ってあげた観光客の一人
ありがとうって言いたいわけで
それでもサンキュー僕らは手を振った
一際大きく
もう一人で並ぶ影が寄り添い会うはず
申し訳ないと聴こえる口笛の赤
もう、一人で生きる覚悟が決まったのに
もう、今はもどかしくて弱いくらい
もう、
君だけの為に
もう、
強くなりたい




