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落書KISS
全てを知ったつもりで手を引いてきたけど
甘酸っぱいホテルに残った一言
気の抜けた吐息の裏の尖った心情
光を当てて透かしてしまうアレコレ
振り返るとイメージにまどろみ
明け方の船のような趣
「気のない素振りで抱きしめること」
君は陽炎となりフワッと消えるんだ
相容れない夫婦の先を思い描いては
肩を掠めるオレンジの風に怯えて
しらばっくれる落書き 通販の段ボール
初老のように今はまだ記憶を結び直す気配で
指の隙間から逃げる頬に
追い詰めた唇の渇き
「重なるほど重さは薄れ」
上がれない標準値の上 身勝手なまま
指の隙間から逃げる頬に
追い詰めた唇の渇き
振り返るとイメージにまどろみ
明け方の船のような趣
「気のない素振りで抱きしめること」
君は陽炎となりフワッと消えるんだ




