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純情
思いがけないあぶくのように
ちょっとだけ弾んでいて
あぶくのように割れないでいて
部屋の片隅に
書き殴る落書き
つんのめって
何もできなくて
綺麗さっぱり
消えることはないけど
あなたが好き
錆びついたカレンダーには
ひしめき合う予定達
けれど大切なものが抜けている
やけに恋しくて
別に会いたくない
熱さもなくて
燃える物じゃなくて
適度に話して
緩やかに思えるほど
あなたが好き
送り合った旬のように
止まることない貨物のように
世界を走る電波のように
時計の針が
動き始めたら
この想いも
適度に変わってく
やけに年老いて
腰が曲がった頃
どうなるんだろう
部屋の片隅で
叫んだ落書き
つんのめって
何もできなくて
綺麗さっぱり
消えることはないけど
あなたが好き




