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白雪
立ち並んだショーウインドー
綺麗な服を着たマネキンに
思わず僕は見惚れてしまう
そして足が店へ進む
痛い出費 薄い財布
でも大きめな袋を抱えて
待ち合わせの迫る頃に
「もう着いたよ」って君からのLINEが
今 信号が青になった
駆け出していく人波に
降り注ぐ雪の風 側をそよいで
「今 どのあたりにいるの?」って
催促された気分になる
寒がりな街だけがそこにあった
出逢えた日の寒い夜は
妙な寂しさだけを残して
いつもよりもぼやけた電灯
気がつけば速足になる
一人きりで抱えていた
大事なモノが胸を飛び出て
赤い糸を伝っていく
君ならって 君だけって 物欲しさ抑えながら
また振り向いた目線の中
駆け出していく人波に
君だけが手を振って僕を誘った
「また会えるなんて嬉しいね」
白い吐息が溶けていく
雪化粧 午後8時 ホワイトブルー
あちらこちらの話し声が
重なり合って鐘の音を呼ぶ
特別な今日という日に
僕はサンタクロース
今 信号が赤になった
まるで全てが静止するように
染まる頬 溶けた指 白い唇
あなたの声に耳すませて
「僕だけの声をよく聞いていて」
これまでとこれからを繋ぐ粉雪




