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鎖戦隊

「レイミを出せ……」


 虚ろな目で、ナイフを抜きながらシマリスに近づく。


「ま、待つでいす! 話せば分かるででいす!」


 死に物狂いでここまでやって来たフータ。

話し合いで解決すれば、世の中平和である。

すると突然、巨大な腕が扉を破った。


「っと…… お前に構ってる場合じゃなかった」


 フータが窓を開けて、外に出ようとした時、シマリスが背中にしがみついてきた。


「着いてくるなよ!」


「お前らに伝えるのことがあるのでいす」


「……」


 振り払おうとしたフータであったが、揉めてる時間が惜しい。

仕方なく、連れて行くことにした。

道路に降り立つと、シマリスが指を差す。


「あの車に乗るでいす」 


 道端には乗り捨てられた車と、自転車、バイクが放置されている。


「自分、データの塊なので、どんな物にでも変身することが出来るでいす」


「データ? メタ〇ンみたいなヤツだな」

 

 どちらかと言えばポリ〇ンである。

とにかく、シマリスの力を使えば、その場でキーを手に入れることが出来る。

盗っ人にうってつけの能力と言えよう。


「未来ではセキュリティが厳重で、どんな物にも指紋認証がついてますが」


「んな概説はいいんだよ」


 ネコがこちらに気づいて、ジャンプ。

フータの真横へと着地すると、地面が揺れる。


「ニガサニャイニャ」


「へっ、逃げるかよ」


 フータは、ネコの方へと向き直ると、天に手をかざして、こう言った。


「神竜を倒すために取っておきたかったんだがな」


 フータを木枯らしが包む。

通りがかったネズミがチーズを落とす。

何かが起こる予感がした。


「チェイン・バトルモード・オン!」


「!?」


 ネコの脳内では、鎖がフータを包み、戦隊もののヒーローの用な姿に変身する映像が再生された。


(……ニャ?)


 気がつくと、フータは後方へと走り去っていた。


「鎖戦隊、クサリンジャー、なわけねーだろ!」


「ネコがそんな妄想するわけないでいす」


 手をかざしたのはプラフであった。

ネコが怒る。


「あれっ、何で……」


 フータが駆けつけた先は、車ではなくバイク。


「いいから、さっさとキーになれっ」


 シマリスは、訳も分からず、キーに変身。

フータの手元に収まると、急いで鍵を回す。

アクセルを握り、路地裏へと向かう。


「……」


 ネコが先回りして、細い出口の先に待ち構える。

逃げ場はなく、まさに袋のネズミ。

フータは、バイクを倒し、床の血だまりに再び手をかざして、指についた血を舐めた。


(こいつが欲しかった)



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