霊
「んー、それってもしかしたら、lisukoの霊の声かも」
「what、lisuko?」
何故か流暢な英語で答えるフータ。
ホノカは、先生に聞こえないよう、声を潜めながら話始めた。
「このドラ専 (ドラゴン討伐専門学校)は、元々代々〇アニメーション学園っていう、エンタメ全般を教える学校を潰して作ったらしいんだけど……」
その中に学生の身でありながら、既にプロとして活躍する女流漫画家がいた。
彼女の名前はlisuko。
若くして才能を発揮した彼女には、様々な雑誌から声がかかった。
初めは1つだった連載も、2つ、3つと増え、段々学業との両立が難しくなっていった。
次第に、ネームのまま載せることが多くなり、精神的にも追い詰められていった。
「リスコ、授業中に漫画を書くんじゃない!」
もはや、授業中に漫画を書かなければ追いつかない状況に陥る。
そしてとうとう、限界に達した彼女は、ペンを腕に突き立て、絶命したとのことである。
「……それでも彼女は成仏できず、二度と完成することの無い漫画を書き続けているのよ。 アシスタント欲しい、アシスタント欲しいって言いながらね」
「……」
あれ、セリフ違くね? と思ったフータであったが、念の為聞いてみた。
「そのlisukoの生活してたのが、まさか今の俺の」
ホノカが頷く。
「1015号室ってわけ」
「マジかっ」
両手で頭をかきむしるフータ。
「ハゲるからやめなさい。 とにかく、これも何かの縁よ。 あなたが成仏させなさいな」
「……成仏?」
「どこかに書きかけの原稿があるはず。 それを見つけてあなたが書くのよ。 いいわね!」
こうして、フータとlisukoの霊による、一流漫画家を目指す物語が、幕を開ける。
かは不明である。