ドラゴンの子
「何なんだよ、何が起こってんだよ!」
レッドが立ち上がり、わめき散らす。
「まて、まだある」
フータが画面を指差す。
黒いフードに身を包んだ男が一瞬写り、カミノケと激しく揉める。
手には、血塗られたナイフが握られていた。
「キャアアッ」
クルミが思わず叫ぶ。
「くっ、キサマ、知っているぞ…… ドラゴンの子、か」
「大人しく、死ね……」
カミノケはナイフで刺されており、目の前の男に抗う力はない。
その時、画面がまた暗くなり、ガン、という音。
そして、ドサリ、という何かが倒れるような音がした。
「……助かっ、た」
「先生、逃げるでいす」
カメラに変身していたシマリスが、ハンマーか何かに変身し、カミノケを助けたのか。
「この傷では、無理、だ……。 今から…… お前を……」
「そんな」
「生徒諸君、聞こえているか…… 人類の為にも、頼んだ、ぞ。 そして、気を付けて、くれ……」
途切れ途切れの言葉で、何とか言葉を繋ぐカミノケ。
最後の言葉は、ドラゴンの子に気を付けろ、というセリフだった。
そして、それ以降、画面には何も写らなかった。
「……という訳でいす」
元の姿へと戻ったシマリスは、みなを見渡し、そう言った。
ドラゴンパーティー、ドラゴンの子、和解案、カミノケの死。
一度に色んな情報を見せつけられ、みな、困惑していた。
自分たちは一体、どうすればいいのか。
そんな中、ドクターが言った。
「和解案には賛同しかねます。 ドラゴンパーティーの開催を阻止するんです」
「阻止って、どうやって?」
レッドがドクターに噛みつく。
「話では、スカイツリーに火を灯しに竜が現れる。 つまり、火を灯しに来た竜を倒せばいい」
「そんな簡単じゃないでいす」
シマリスがすぐ否定する。
「それはあくまで儀式でいす。 パーティー自体の取りやめは諦めて、和解案を出すでいす」
しかし、カミノケの和解案では人類全ては助けられない。
「カミノケの文面をそのまま使う必要はないと思う。 パーティーを取りやめるよう、長老に直談判しに行こう」
フータが立ち上がった。
「……それしか無さそうね」
今度はホノカが立ち上がる。
何故かみんか立ち上がり、一人だけ座っていたクルミもよく分からず立ち上がる。
「みんな、同じ意見って訳だ」
レッドが、教室の前へとやって来ると、手を前に突き出した。
「みんな、手をかざしてくれ。 俺たちはこれから旅に出て離れ離れになるが、心は一つだ」
「とりあえず、解散で。 話しはまた明日ね」
ホノカが欠伸しながら退室した。
「了解」
「なっ」
教室に、レッドが一人取り残された。




