プロローグ 表紙有り
大気汚染により住めなくなった地上。
地下施設での生活を余儀なくされた人間は、大気がキレイになるのを待った。
そして数年後、そろそろ頃合いだろ、と外に出た男は命を落とす。
「……」
野ぐそをするドラゴンと、目が合ってしまったのだ。
人間がいない間に、地上をドラゴンに占拠されてしまった。
このままではマズいと、人間はとある占い師に助けを求めた。
「あの、テツロウさん、占いの結果は……」
「やべえよやべえよ…… 神竜まで復活しちまうよやべえよ」
このテツロウという占い師。
元々はタレントだったが、嫁がはまった占いに自分もはまってしまった。
趣味で始めた占いであったが、「エス〇ー伊藤が引退を撤回する」などと言った予言を次々的中させ、その才能を開花させた。
テツロウは、神竜復活しちまうやべえよ、を連呼し、じゃあどうしたらいんすか、との問いにこう答えた。
「ドラゴン退治の専門学校を作るしかないでしょ、分かるでしょ!」
こうして、新〇にある代々〇アニメーション学園を取り潰し、新たにドラゴン・スクールを開設する運びとなった。
「……けて、たす、けて」
「わああっ……」
フータはベッドから飛び起きた。
「また、かよ……」
フータは夜な夜な聞こえてくる、謎の声に悩まされていた。
ここはドラゴン・スクール。
白い球体のような外観をしており、その中に生徒の住まいと教室、食堂、訓練施設などが設けてある。
生徒の数は五人。
彼らは、連日ドラゴンを倒すための訓練を受けていた。
その日は、鎖を操る呪文についての授業であった。
「で、あるからして、あーだこーだ」
呪文を教えるのは、カミノーケ。
彼は、元々SMクラブの常連であったが、ある日突然、この魔法が使えるようになった。
彼はこの魔法を、クサリーノ、と名付けたが、誰一人として、その名で呼ぶ者はいない。
ちなみに、この鎖呪文、ドラゴンの血を使って、何も無い空間から鎖を取り出すことができ、高度になると、マフラーを編み込むことも出来る。
「フータ、起きなよ」
フータは、隣のホノカに小突かれ、目を覚ました。
「ああ、わり…… ちょっとしんどいかも」
「また例の声?」
昨日も謎の声に起こされ、まともに寝れなかったことを説明する。
「たすけて、たすけて…… って、誰かが助けを求めてるみたいなんだよな」