虫の聖域 座間事件及びシリアルキラー補稿
座間の9人殺害事件を見て、思うところがあったので少々。
シリアルキラーでは彼らは自分を人間として認識しておらず、人間を理解するために殺し解体し喰らうと書いたが、ちょっと違った。
彼らは自分を人間として認識しておらず、ここまではいい。
自分を人間として認識していないから、彼は人を殺した時、彼らは人をモノに還元するほど解体しないと気が済まない。
多分、こっちのが本質に近い。
人間を理解できない、だから人間を理解しようとするのではなく、モノになるまで解体して自分の領域にまで引き落とすのだ。
シリアルキラーたちが自宅に遺体を散りばめるのは最初は、原始的な呪術、遺体をトーテムポールや道祖神に見立てた結界でもあろうかと思ったが、それも違うな。
そもそも彼らはそういう怪異は理解できない。
彼らの行動原理は人というよりは虫に近いから、怪異には至らない。
人の欲求で行動する虫なのだから、怪異やらオカルトやらは彼らの範疇ではない。
ではなぜ、見つかったら言い訳が効かない自宅に遺体を溢れさせるのか。
自宅でなくてはならないのだ。
あれは、反転した子宮回帰願望なのだから。
安穏のした子宮に戻るなんてことは不可能だ、できるわけがない。
だから彼らは真逆に突き進む。
子宮から生まれてきたのなら、その反対は死だ。
子宮のなかでいまだ生まれこない胎児と腐敗していく遺体は正しく対極であるから、イコールで結ばれる。
腐敗する遺体と死臭に包まれることは彼らにとって羊水に漂うことと等しい。
だから彼らは自宅を遺体で溢れさせる。
黙々と蟻塚を築く蟻のように。
彼らが本当に回帰したいのは、異形の蟻の女王が無数の卵を産み付ける蟻塚の世界なのかも知れない。
やっぱり猫は殺しているのな。