~first misson 狼煙~
6年後
少年は青年になっていた。
幼げだった顔の丸みがなくなり背丈もかなり大きくなっていた。
当時は小さかった声は、人と問題なく話せるくらいになり落ち着いた印象を感じさせるようになっていた。
彼は高層ビルの上で時を待っていた。
今日は彼にとって最初の任務。それも、長年隠れ潜んでいた組織の名を明かし、各地域ブロックの長に宣戦布告をすると言う重要な任務だ。
本当は隠密、後方担当のリッティが行うはずだったが、パイロットとしての最終試験ということで、マユに任せたのだ。
マユ以外の実働隊はランデブーポイントで待っており、帰ってきた時点で養成所卒業になるという。
「目標はあいつだな」
地球代表の統率長。今回は、宇宙から地球へ物資を送るためのワープ装置の発表がメインだった。IPの発明された今でも、ここはある程度の物資がないと上層者(発展地域に住んでいるもの)の生活をまかなえなかった。
これには発電所を作るまいと、紛争が各地で起こっておりリージェントはその紛争に手を回し、地球を拠点にすることを考えていた。今回の襲撃を境に、地球を制圧し乗っ取ろうという手筈だ。
地球は枯渇した資源により他宙域から見放されており、制圧したところで反乱くらい起きるだろう程度にしか考えられていなかった。
「統率豚野郎がワープ装置について発表する直前に、圧縮ビームスナイパーで襲撃、その後このコンテナを落とす。上層者に鉄槌を」
彼は都会出身だったが、自然が好きで未開発エリアに観光することを趣味にしていた。すべてがコンクリートと人で埋め尽くされたところが嫌いだった。学校や家を失っても、とくに大きな感情の変化がなかった彼にとって自然のなかではナチュラルにいることができる快適な居場所だった。そのため、地球を制圧するのなら自然をもっと増やしたい。そう考えていたのだ。
ラジオで演説を聞く。クライマックスに差し掛かり、ついにお待ちかねの台詞。
「皆様のより良い生活のために素晴らしい発明を疲労しましょう!」
来た!
ハンドルを握りしめ狙いを定めてあったアップモニターに目を向ける。
「さあ、世界の破壊の始まりだ」
トリガーを引く。スナイパーのトリガー引くのは相棒のシュリニヴァーサだ。
一閃の光は丸っこい豚に直撃、その衝撃波で周り数100mの建物は倒壊した。茶色いクレーターの真ん中にバックパックに背負っていたコンテナを投下した。中から出てきたのは巨大なスピーカーだった。
「我々は、上層者を破滅せしめんとす。リージェント。我々は虐げられてきた者の代弁者である。我々は地球を制圧した後、社会的強者を排除していく」
恐怖煽るため、正体はまだ知らしめては行けないということで、工学迷彩を発動させたままランデブーポイントまで飛行しろとの命令だったから、すぐさまランデブーポイントに向かった。
数千キロ離れたところにポイントはある。
母艦も隠せる深さの湖だ。水中に飛び込み迷彩を解除。光信号を送ると、ハッチが開いた。機体を収納して、コックピットからでると、拍手で迎えられた。
「卒業おめでとう!さあ、地球を獲りにいくぞ!」
照れ臭そうに笑いながらうなずいた