第4話 目覚めたら、そこは天国?芝の上?
まるで何かが上に乗っているかのような、だるく感じる瞼を開く。
意識を失うって、人生初かな。なんだかふわっとしたものの上に横になっている感じだ。なんだろ?まさか、天国なんてことは、ないだろうな。
目を開けると、何のことはない。
「俺んち?」
俺の家の庭だった。母がこまめに手入れしている芝生のうえに寝ていたのだ。日曜日の朝というと決まって母が、ガーガーと、うるさく芝刈り機を動かして、俺の目を覚ましてくれる。生前、父が大切に手入れしていたということで、ガーデニングに全く興味のない母も、これだけは続けている。そして、現在その芝生の上にいる。
空の明るさから先ほどからそんなに時間は経っていないことが分かる。車がないところを見ると、母は外出中のようである。
「・・あれ?」
何か、忘れているような?
「ぶぇっくしょん!」
そうだ!ロボで、川に落ちて、ジャンプして、おっさんがいて。
落ち着け!そういう時は・・。
えーと数!そうだ数を数えるんだ。
何の数だったっけか?
「えーと・・羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹?」
「今起きたのにまた寝る気?」
「ですよねー」
俺っておバカさん。てへ☆
きも!じゃなくて!
「誰だ?!」
「っていうか、あなたこそ誰よ?」
振り向いて、そこで固まった。
さっきの、パイロットスーツのコスプレ女が俺の隣にいた。芝の上にペタンと座り込み、こっちを見ている。
いや、もうコスプレ姿ではなく、普通の服を着ていた。歳は、俺と同じくらいの女の子だった。さっきはもっと年上かと思ったのに。女は目を瞑っている方が大人っぽく見えるのかな?てか、この子、声でけー。
Tシャツの上に、グレーのパーカーを羽織り、黒色のパンツをはいている。けっこう、ボーイッシュな格好だ。髪は、黒くて肩から少ししたくらいでカットしてある。見るからにサラサラな感じだ。化粧もしていなくて、飾り気もない。今時ちょっと珍しい。
しかし、いつ着替えたんだろう。そんな時間なかったと思うが。あれ?さっきと同じ子だよね。
「えっと、ここどこだか分かる?」
きょろきょろしながら、その子は聞いてきた。
「あー、多分、俺んち」
「どういうこと?なぜ私はあなたの家の庭にいるの?・・ところで、なんかあなた臭うわね」
「さっきまで川に入っていたから。生乾きの臭いだろ」
そう、先刻まで、田川の河原にいたはずだ。
あーーっ!
「そう、ロボ!」
「ぎくぅ」
なんか、今、女の子が擬態語をそのまま声に出したような気がする。
頭を抱え込んで、しゃがみこんでしまった。
そんな彼女の様子も気にもせず、俺は尋ねる。
「なぁ、あのロボ、知ってるよな?アニメに出てくるようなヤツ」
「あ・・あー、あれね!」
この子、嘘つけないタイプなのかな?思いっきり焦った顔になっている。
「で。関係者だよね?乗っていたんだろ?ロボ」
「えっと・・ぼ・・ボロ雑巾なら知ってるわ!」
「ボロ雑巾って何だよ!違げーよ。白くて凄く精巧な造りのロボットだ」
「わた・・私ちょっとロボットマニアじゃないんで言っている意味が分からないです」
女の子が苦しすぎる嘘をつく。からかうと、ちょっと変だが面白い反応してくれる。
もう少し、続けたかったが話が進まないのでこの辺りで止めておく。
「ま、いいけど。おれ、弥彦っていうけど」
「え・・。名前?わ・・私、まお、です」
「タメ語でいいよ。俺も楽だし」
「・・そう、だね」
と、言いながら下を向くまお。
「漢字は何?」
「えっと、真顔の真に花の桜」
「へ、へー(真顔)・・」
いいなー。俺の名前、なんか昭和臭いからな。
「あれ?」
真桜が驚いたような声をあげる。相変わらず、さっきから声でけーな、真桜。
ぺろん、とシャツを胸の下までめくる。
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