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天使が正義でなきゃいけないと誰が決めた?  作者: 上七川春木
世界を覗く深淵編
6/16

6 黒の絶望曲1

数日ぶりの投稿です。

仕事が忙しくて小説を書く時間がありませんでした^^;


失踪したかもと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、失踪するときは「○○日間ほど失踪します」と前書きか後書き、活動報告で言おうと思っていますので、それがないときは大丈夫です。

ただ、仕事の関係で今回のように数日間投稿できないときもありますのでご容赦おねがいします。

あと、今回も短いです。この長さがデフォルトになるかも……、執筆速度が上がればそんなことなくなるのですが……


 青年はオフィスビルの立ち並ぶ都市をアスファルトを速足で歩いていく。

 その被召喚体である僕は、その後を追うようにふわふわと付き従う。


 青年の迷いのない足取りは、目的地をすでに決めているように見えた。


 さっき戦闘を行った場所もそうだが、今進んでいる通りは一車線しか道のない複雑に入り組んだ裏道だ。

 コンクリートジャングルともいえるその場所を青年は迷い無くグングンと進んでいく。周りでは絶え間ない戦闘音らしきものが聞こえるが、あまり気にしていない様だ。

 なんという肝の太さだろう。こういう人物が将来大物になっていくのかもしれない。


 しかし、そこらじゅうで戦闘音が聞こえるとなると、この夜も深そうな時間帯で仕事をしていた人間が多数いることになる。ここは前世に僕のいた日本という国に酷似しているが、ビジネスマン達の社畜精神も似通っているのだろうか。


 真っ黒に塗りつぶされた道を僕の光だけに頼って歩いていくこと少し、僕たちと青年は6車線の大通りに出た。青年は周りを僅かに見渡すと、その大通りから見えるオフィスビル群のなかでもひと際大きいビル、異様なほどの存在感を主張するそのビルをチラリと見上げ、そこに向かってその歩を進めだした。


 大通りにまで出れば他の人たちもチラチラとその姿を見かけるようになる。光り輝き複雑な文様が刻んである腕輪をしているパンツスーツ姿の女性、背面に魔法陣と思わしきものが刻んであるスマートフォンのようなものを持っている中年の男性。光で造られていると思える大剣を抱えるガタイのいいスーツのおっさん。

 他にも様々な人がおり、目の前の青年と同じように何か人間とは明らかに違うものを従えている人もいる。


 彼らも一様に青年と同じ場所を目的としているようであり、ここから見える一つの巨大なビルを目指していた。一つ彼らと青年に違うことがあるとすれば、彼ら彼女らは必死にそこに向かって走っており、青年はのんきに歩いていることだろうか。


 さすがにこれほどでは、この青年、肝が太いのではなくて単に鈍いだけなのではないのだろうかと疑ってしまう。


 車の一台も通っていない、自動販売機はおろか街灯すら光っていない不気味なオフィスビル街を進んでいると、時たま先ほどの「赤黒の手」や前の召喚のときに倒した「影の塊」が襲い掛かってくるが、青年に付き従う水の女性とアビリティのレベルが上がってさらに強化された僕の付与魔法の合わせで危機を迎えることもなく処理していく。

 周りの走っている人も襲われていることがあるが、1人、ときには2人や3人で何とか処理できているようだ。


 しかしあまり出番がないのでヒマだ。新しい職業アビリティの選定でもしていようか。


 そのようなことをしながら進みしばらくすると、目の前から喧騒が聞こえてきた。

 どうしたのだと無い目を向けると、前方のに大きな人だかりがあり、そこから大きな爆音が聞こえてきた。

 青年もこれには眉を顰め、そちらの方に速足で向かっていった。すると、そこでは大きな戦闘が起きていた。


 こちらの人間側がおそらく100人強、あちらのモンスター側が50匹弱ほどだろうか。戦況はやや人間側が有利といったところか。モンスター側は消滅している個体が見受けられるが、人間側は怪我をしている者はいるが死んでいるものや致命傷を受けている者はいない。


 モンスターは先ほどからよく見かける「赤黒の手」や「影の塊」などの異形の怪物たちだった。

 すると、ゾッとするような視線をいくつかの怪物から向けられた。背筋に冷や汗が出るのではないかと錯覚するほどの寒気が走る。こちらが観察していたのがばれたのか。しかしそうであるならば、同じく怪物を見ている青年や水の女性、他の人たちには気を向けているようには見えない。


 最初は驚きや恐怖が先行して感じることがなかったが、それらに慣れてしまった今ならわかる。この世界に召喚されてから見る、彼らモンスター達から途轍もなく強い感情のこもった視線を向けられる。

 それは恐ろしいまでの敵意。そして殺意。


 僕には彼らにここまでの感情を向けられる覚えはない。そもそも生まれてから会った人たちの数なんてたかが知れているし、この世界には合計ですら24時間もいない。


 でも心当たりはあった。

 おそらくは悪魔。


 ラッセルさんが言っていた、天使族と種族的に敵対している種族。両者ともに相いれない存在。


 前世でも悪魔という概念はあった。

 残酷にして残虐。人間の怒りや嫉妬、傲り、欲情などをこよなく好み、それらを呼ぶ起こす存在。

 人間を負の道に誘導し陥れ、貪り食らう。


 この世界にいる悪魔族たちがこれらと同じだとは限らないが、今彼らが僕に対して敵意を持っているのは確かだ。

 これは速やかにここから去る必要がある。そうしなければ危うい。


 そう思考していると、青年はチッと舌打ちすると、呟く。


「面倒くさいな、……しょうがない、迂回するか」


 青年は踵を返して、横の細道にそれようと歩き出した。すぐ隣で起こっている怒号や戦闘音は無視である。


 よし! ナイス判断!


 普通なら同じ人間を見捨てていくなど、避難してしかるべきところかもしれないが、生憎と今は天使族の身であるし、それよりも自分の命が惜しい。


 青年もおそらく、死者を出さずに乗り切ることができると判断したからこその行動だろう。おそらく。

 大事なことだから2度言った。


 そうして青年がわき道に入ろうとすると、目の前に蝙蝠のような羽の生えた、黒い肌の小悪魔インプのようなものが空から飛び降り、道を塞いできた。

 青年は眉を顰め、別の道を探すように目を巡らす、そして顰めていた眉をさらに顰めた。


 すべての道に悪魔がおり、道を塞いでいたからだ。それは今来た大通りも例外ではなかった。



 僕ら、そしてここにいる100人余りの人間たちは囲まれてしまった。

 おそらく1000を超える悪魔たちによって。


お読み下さりありがとうございます。

設定の不備、誤字脱字等ありましたらご報告よろしくお願いします。

感想、意見などをもらえたら嬉しいです。


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