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第一話 プロローグ

 目を開けると知らない場所に立っていた。いや、立っているという感覚が怪しい。これは浮いているといったほうがいいかもしれない。

 すべてが真っ白な世界に俺と目の前の美女、二人しかいない空間だ。


「突然だけどあなたは死にました」


 本当に唐突に告げられるその知らせに対し、俺はあまり驚かなかった。なぜなら、自分が死んだことを知っていたからだ。歩道を歩いていたら歩道に突っ込んできたトラックに跳ねられた。それだけだ。別に誰かを庇って逝ったわけではない。ほかに被害者が出なくてよかったというべきか・・・・・・・いや、到底そんな風には思えない。俺という被害者がいるのだ。こっちとしては迷惑である。

 そんなことをいつまで考えていても仕方がない。死んでしまったことに変わりはないのだから。ほら、目の前の美女もそういっていただろう・・・・・・そういえばこの人誰だ?


「私は女神アーガスです」


 まるでこちらの考えを読み取ったかのようだ。そしてこの美女は女神だったのか。ということはここは天国かどこかか。


「ここは天国でも、ましてや地獄でもありません。世界と世界を繋ぐ時空の狭間です」


 いきなりとんでもない場所に来たな。で、俺はこの世界の狭間で何をされる?


「あなたに危害を加えるようなことはしません。ただ、選択肢を与えるだけです」


 ほう、どういう選択肢だ?


「このまま死ぬか異世界に行くかです」


 なんだその二択。そんなの異世界に行くしかないのでは?何か裏があるのか?


「いえ、ありません。ただ、勝手に異世界に送るのもどうかと思ったので一応聞きました」


 そういうことか。ちなみに死んだらどうなる?


「意識が途切れて永遠に消滅します」


 異世界行きます。いや。行かせてください!


「わかりました。それではあなたを異世界に送る前にボーナスポイントの交換をします」


 ボーナスポイントの交換?なんだそれ?


「これまでの人生でたまったポイントを異世界に持ち込める魔法や道具などと交換できます」


 そんなものがあったのか。あー、なんか楽できる感じの便利な魔法とかないかな?


「どうでしょう、それなりに絞ったのもがこちらです」


 いきなり目の前に透明の板のようなものが現れた。その透明な板にはずらりと魔法が乗っている。絞ったと言っていたがこんなにあるのか。板に乗っている魔法名をタッチすると詳細も確認できる。実に近未来的だ。翻訳魔法、これは必須な気がする。ほかにも便利な魔法が色々とあるな。

 そして中でも超便利な魔法を見つけた。その名も『クリエイト』。薬局ではない。


「その魔法を選びますか。それは大変便利な魔法の一つです。私もお勧めします」


 女神さえも勧める程の能力とは、文字通り材料を使ってあらゆるものを作ることができる魔法。便利だ。

 そのほかにも召喚術などの魔法を交換した。


「以上で、よろしいですか?」


ああ、いろいろとありがとう。


「いえいえ、では異世界に送ります」


そこで俺の意識は途切れた。





ーー





 爽やかな風が体を吹き抜ける感覚がする。不思議といい香りも漂ってくる。

 俺はうっすらと目を開けた。


「あ、目覚めました!」


 知らない人の顔が目の前にあったので俺は再び目を閉じた。


「あれ、また寝ちゃいました・・・・・・」


 ・・・・・・誰!?状況を整理しよう。一瞬だが今見たのは美少女だった。オレンジ髪のセミロング。かなり可愛かった。うん、オレンジ髪など俺の知る現実世界にはいない。よってここは異世界だ。瞬きのような一瞬の時間だったがこれほどの情報を引き出すとはさすがとほめてやりたい。

 さて、状況の整理も終わったところでもう一度目を開ける。


「あ、起きました!」


 また閉じる。


「あ、あれ、今起きたのに!?」


 開ける。


「あ、やっぱりおき・・・」


 閉じる。


「も、もしかしてふざけてるんじゃ・・・」


 やっと気づいたか。なんだこの子。


「今日はお昼寝ですか?」


「ま、そんなところだ」


 いい加減起き上がりあたりを見渡す。一面草原で何もない。いいね、こういうの!


「どこから来られたんですか?」


 地球からだけどこの場合は異世界と答えたほうがいいか。


「い、異世界!?通りでこのあたりでは見かけない方だと思いました」


「ここはどこなんだ?」


「ここは、私の国です。名前はまだないんですが・・・」


 く、くに・・・?名前どころか何もないじゃないか。建物も・・・・・・・


「実はこないだ略奪ゲームに負けてしまって・・・いろいろと盗られてしまったんです」


 何、略奪ゲームって。ものすごく物騒なんだけど。え、異世界ってこういうの流行ってるの?怖いんだけど・・・・・・

 

「あの、もしよろしければ私と国を造りませんか?」


 この子初対面の相手にとんでもない提案してくるな!異世界ではこれが常識なの?それともこの子がちょっとアレな子なの?

 ただまぁ、俺も異世界に来たばかりで一人はきついし、何より美少女と一緒に国づくりなんて最高じゃないか。幸い俺の魔法なら簡単だしな。


「わかった、一緒に国づくりしようじゃないか・・・・・・えっと?」


「私はイリア・フォードと申します」


「俺は│林藤浩樹りんどうこうきだ。こうきと呼んでくれ」


「わかりましたよろしくお願いします。コーキ!」


こうして俺の異世界建国物語が幕を開けた。

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