表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

りゅうくんシリーズ

りゅうくんとサーカス

作者: 茶屋ノ壽

 この名前なまえはりゅうくん、ちいさな子供こどものドラゴンです。きれいなみどりいろのうろこと、しろちいさなつのが、かっこいいってわれています。


 おかあさんはそらべないドラゴンで、うろこのいろしろいです。いつもおいしいごはんつくってくれます。あさからばんまではたけはたらいている、はたらきものです。


 おとうさんはそらべるドラゴンで、うろこのいろあおいです。いつもりゅうくんとあそんでくれます。いろいろなお仕事しごとをしていて、ひるはおうちにいません。たまにおいしいお土産みやげをもってかえってくれます。


 りゅうくんにはおじいさんがいます。銀色ぎんいろのうろこのいろおおきなドラゴンで、そらぶときは、とてもゆったりとびます。ながくきていますので、色々(いろいろ)おともだちがおおく、そのおともだちと、いろいろお仕事しごとをしています。


 りゅうくんのおじいさんは、おともだちの一人ひとりが、サーカスをするからにおいでとさそわれました。それは面白おもしろそうだと、くことにしました。

 とても面白おもしろかったので、ほか家族かぞくにもてもらいたいとおもいました。だから、ゆうじんにチケットをもらったのです。


 りゅうくんのおとうさんとおかあさんは、おじいさんからチケットをもらって、よろこびました。サーカスはたのしいとっていたからです。


 りゅうくんはサーカスをたことがないので、よくわかりませんでした。しかし、みんなとおかけするのは、たのしみでした。そして病気びょうきやけがでいけなくなってはたいへんだ、とおもったので、おかあさんのうことをよくきいて、いいこにしていました。

 もっとも、りゅうくんは、いつもいいこですよ。


 りゅうくんにはおばあさんがいます。紫色むらさきいろのうろこで、かわいらしいちいさめのドラゴンです。元気げんきいっぱいで、あちらこちらへびまわって、色々(いろいろ)なところへ、たびをしています。こんどのサーカスへ、りゅうくんたちといっしょにきます。


 りゅうくんと、おとうさんと、おかあさんと、おばあさんは、四人よにんそろっておかけをします。大きなあおいドラゴンが、おおきな列車れっしゃをひいてはしる、りゅう列車れっしゃって、サーカスがやっているまちへと、やってきました。


 サーカスのはじまる時間じかんが、おひるの330ふんですので、そのまえにデパートでものをすることにしました。


 りゅうくんは、かっこいいくつと、ぼうしをってもらってうれしかったです。でもおもちゃで、大好だいすきなおもちゃにいっぱいさわれたので、それもとてもたのしかったのです。


 りゅうくんと、おかあさんと、おばあさんが、デパートでものをしているあいだ、おとうさんはひとり、本屋ほんやさんへってほんっていました。

 おとうさんはひとりでいるのも、きだからです。というより、おんなひとたちのおものにつきあうと、ひどくつかれるとっているので、ひとり、すたこらさっさー、と、げたのでした。


 おかあさんは、しかたないひとね、とかたをすくめています。

 おばあさんは、いつものことね、とわらっています。

 りゅうくんは、大好だいすきなおとうさんといっしょでないので、ちょっとさびしかったです。


 四人よにんは、サーカスのはじまる時間じかんちかづいたので、またいっしょになって、サーカスのテントへとあるきはじめました。もういちどりゅう列車れっしゃにのって、サーカスをしているところのえきへといきます。


 えきにおりると、あかおおきなテントがえました。

 りゅうくんは、こんなおおきなテントははじめてみたので、ちょっとびっくりしました。


 サーカスのテントには、もうすでにたくさんのひとはじまりをまって、ならんでいました。りゅうくんたちもならびます。りゅうくんたちは、ここにならまえに、じぶんたちがすわせき予約よやくしていたので、その予約よやくしたひとたちがなられつならんでいきます。


 おとうさんはおもいました。おやすみのだからかな?すごいひとです。テントにはいりきれないひともいるのでは?

 おかあさんはおもいました。あらかじめ予約よやくをしていて正解せいかいでしたね。おじいさんのアドバイスに感謝かんしゃです。


 そうです、おじいさんがサーカスをときに、ひとおおいことがかったので、あらかじめせきをとっていたほうがいよとわれていたのです。


 おとうさんはおもいました。

 余分よぶんにおかねをはらってせきをとっておくのはかったです。そうでなければもっとはやくにまえのほうにならんでいなければなりませんでした。それはとてもつかれるし、時間じかんがもったいないなと。

 かりに1時間いちじかんまえから、ならばないとテントにはいれないとします。1時間いちじかんあればやすくても1000えんはお仕事しごとでもらうことができます。つまり、1時間いちじかんと1000えんは、おなじなので、なが時間じかんならんでつかれることもかんがえると、せき予約よやくしているほうとくだなあとおもいました。


 おかあさんもおなかんがえです。それにりゅうくんが、ちゃんとはじめてのサーカスをられるように、ともおもっていたのです。

 れつならんでいるあいだ退屈たいくつ足元あしもと小石こいしあそんだり、おとうさん、おかあさんにまとわりついている、りゅうくんをあやしながら、この状態じょうたいで、ながならぶのは、とてもつかれたでしょうね、と思います。

 予約よやくしておいて正解せいかいでした。


 おばあさんは、そんな息子夫婦むすこふうふと、可愛かわい大好だいすきなまごのりゅうくんをながら、たのしそうに、あらあら、まあまあ、とわらっています。


 りゅうくんは、はやはじまらないかな?とおもっていましたが、おかあさんがあそんでくれるので、たのしく、ならんでいました。


 サーカスの開演かいえん時間じかんになりました。ぞろぞろとみんなが、あかいおおきなテントへはいっていきます。テントのまわりには、いろいろな屋台やたいていました。


 りゅうくんは、綿飴わたあめ屋台やたいがあるのをつけて、べてみたいとおもいました。おかあさんは、いいわよ、かえりにべましょうね、といました。


 りゅうくんと、おとうさんと、おかあさんと、おばあさんは、あかいテントのなかへ、はいってきました。テントのなかすこくらくて、りゅうくんはドキドキしています。ごおごおとおとのする、空調くうちょうをかざしたりしています。


 あお座席ざせきに、りゅうくんたちはならんですわります。テントのなかせき階段かいだんみたいになっていて、せきした空洞くうどうです。りゅうくんは、したがからっぽなのでおどろきました。


 ひとがたくさん、おおきなテントにはいってきます。

「まるで映画館えいがかんみたいだね」とりゅうくんはいました。

くらくて、階段かいだんせきだからね」おとうさんはいました。

 サーカスがはじまるまでのあいだおとこのピエロさんと、おんなのピエロさんがおきゃくさんと、おおきなボールのやりりをしていました。


 しばらくして、大きなこえ開演かいえんのアナウンスがこえます。ミラーボールがキラキラひかって、おきゃくさんが、どよめきます。

 奇麗きれいなおねいさんの、おどりが最初さいしょでした。おとうさんははなしたをのばしています。おかあさんは、それを苦笑にがわらいです。



 テントの天井てんじょうからたらしたロープで、くるくるとまわりながら、おねいさんが上下じょうげ移動いどうしています。

「おかあさんあれできる?」りゅうくんがきます。

「むりむりむり」おかあさんは、くび左右さゆうにふってこたえます。

りゅうくんはそんなおかあさんの反応はんのう面白おもしろいのか、ものたびにおかあさんに、おなじようにたずねます。おかあさんはすこし、こまってしまいました。

 おんなひとひとりの、空中くうちゅうブランコにはらはらしながら、をたたくりゅうくんです。何人なんにんもの奇麗きれい衣装いしょうをつけた男女だんじょのダンス、で、ロープやぬのをつかって、そらおどっている姿すがたに、釘付くぎづけです。


 あいまあいまにてくるおとこのピエロさんと、おんなのピエロさんの、こっけいな、演技えんぎに、りゅうくんも、おとうさんも、おかあさんも、おばあさんも大笑おおわらいです。

 おとうさんはおもいます。ああいうピエロの演技えんぎ一番いちばんむずかしいのですよねと。そして、一番いちばん印象いんしょうのこるんですよねと。


 りゅうくんは、たかだいうえ椅子いすをかさねてそのうえ逆立さかだちするひとをきらきらしたて、いっしょうけんめい拍手はくしゅしています。

 おとうさんも、てにあせにぎっています。おとうさんは、このものがいちばんどきどきすると、いつもおもっているのです。出初でぞしきみたいだなと、ふとおもいました。


 りゅうくんは、おおきな音楽おんがく薄暗うすぐらかりのなか、だんだんとねむたくなってきました。おかあさんは、ねないでーと、ひっしになって、こそうとします。

 しかし、りゅうくんは、天井てんじょうまでななめめにはられたロープのうえあるものあたりで、ねむってしまいました。

 おとうさんはおもいます。あかんぼうって、おおきな音楽おんがくながれていると、自分じぶんまもるのために、ねむってしまうことがあるといたことがあるなあと。

 おばあさんは、

かしておきなさい、そろそろもの途中とちゅうやすみですから」と、冷静れいせいです。


 りゅうくんのおとうさんは、ねむっているあいだに、どんなものがあったのか、りゅうくんに、はなしてあげられるようにと、しっかりるようにしました。そのころのものは、さかさに寝転ねころんだおとこひとが、ふすまをあしでまわすものでした。

 つぎは、おおきなふたつのリングが、はしについた、器具きぐが、たてにまわって、それぞれのリングのなかおとこひと二人ふたりが、あるいたりはしったりして、ぐるぐるとまわっているというものでした。どちらもすごく、おきゃくさんのおうえんするこえ感心かんしんするこえがひっきりなしにかけられていました。が、りゅうくんはぐっすりねむっていました。寝顔ねがおは、いつもどおりかわいかったです。


 途中とちゅうやすみがわります。りゅうくんはまだねむそうだったので、おとうさんは、りゅうくんをひざのうえいて、耳元みみもとかたりかけます。

「ほら、舞台ぶたいにはあみで、かこわれているよ」

えるかな、まだ薄暗うすぐらいけど、なかにはライオンがいるよ」

「あ、かりがついた。てごらん、いろしろいライオンだ、何匹なんひきいるかな?」

「……4ひき?」ねぼけまなこで、りゅうくんはこたえます。ぐりぐりと、あたまをおとうさんのからだにすりつけながら、ぼんやりといます。かわいいです。あ、いまあくびをしました。どうしましょう、サーカスよりもりゅうくんとたわむれているほうたのしいようながしてきました、おとうさんです。

 りゅうくんはおもしろそうに、しろいライオンのげいています。


 おとうさんはおもいます。いならされたけものというのは、なんだかていて、さびしくて、かなしくなるなと。しかし、げいをしているあいだにちょっとだけえた、調教師ちょうきょうしけもののちょっとした、しんこころみたいなものに、ほっこりとしたものをかんじました。……そこまでがげいなら、なるほど、すごいものだな、とおもいました。

 

 りゅうくんは、つぎからつぎへとてくる動物どうぶつげい夢中むちゅうです。シマウマに、ゾウに、キリンと、っている動物どうぶつが、器用きようにふるまうのに拍手はくしゅ喝采かっさいです。


 りゅうくんは、バトンや、リングをちゅうげてけ止める、ジャグリングも、たのしみました。途中とちゅうなんどか失敗しっぱいすると、みんなが、がんばれがんばれとたたいて応援おうえんするのといっしょに、りゅうくんもをたたいていました。

 おとうさんは、失敗しっぱいしても、もう一度いちど、もう一度いちどと、おきゃくさんの拍手はくしゅで、挑戦ちょうせんつづける芸人げいにんさんをみてて、なにかむかしにたようなモノをみたおぼえがあるな?とかんがえます。

 ああ、むかしテレビでた、いろものバンド出身しゅっしんのコメディアンが、くろいおひげをつけて、ダンスをしながら、いろ々(いろ)なげい挑戦ちょうせんしていたものに、ているのか、とおもいます。

 おとうさんは、あたまなかでそのコーナーの音楽おんがく再生さいせいしながら、ジャグリングのげいたのしみました。


 りゅうくんは、おおきなおとをたてて、あみなかでバイクが回っているのをみて、びっくりしています。

「うるさいー」とって、おおはしゃぎです。

「おとうさんも、こどものころに、みたもののなかで、これを唯一ゆいいつおぼえていますね。うるさかったから」と、おとうさんは、わらっています。

  

 最後さいごものは、二対についある空中くうちゅうブランコでした。ちょっとずつつかれてきて、時間じかんにしていた、りゅうくんでしたが、最後さいごまで、しっかりと、たのしみました。

 空中くうちゅうブランコだけの、ピエロさんが、いろ々(いろ)みせてくれて、おとうさんも大喜おおよろびです……もしかすると、りゅうくんよりたのしんでいたのかもしれません、というか、きっとそうです。


 りゅうくんは、おみやげにピカピカひかる、ロッドをってもらいました。

「かくどによって、さきがひかったり、しなかったりするのはなぜ?」とりゅうくんが不思議ふしぎそうにきます。

光源こうげんからロッドのうえ部分ぶぶん透明度とうめいどのややたか反射はんしゃばんをつかって、周囲しゅういひかりしているのですが、直角ちょっかくちか角度かくどると、反対側はんたいがわ風景ふうけいひかりけてしまうからかな?あと、周囲しゅういがあるていどくらくないと、反射板はんしゃばんとして機能きのうしないから……、こうがくらいとかがみになるガラスまどみたいなものですよ」りゅうくんのおとうさんが説明せつめいします。

「うん、わからん!」」元気げんきいっぱいのりゅうくんでした。かわいいです。


 おかあさんは、サーカスのパンフレットをいました。おとうさんもあとせてもらおうとおもいます。とてもたのしそうでした。


 りゅうくんも、おかあさんも、おばあさんも、とてもサーカスをたのしめたようです。よかったです。



 そうそう、りゅうくんは、綿飴わたあめうのをわすれてしまいました。

 いまおもしていないようですよ?



 このおはなしはフィクションですよ


 おしまいです


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ