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第八話「魔法少女の運命、救います。〜前編〜」

作中に登場する固有名詞は、実在のものとは、一切関係ありません。

平和な街に忍び寄る、恐るべき影。


人々の笑顔、喜びの気持ちを奪い去る、闇組織、ダークレイン。


人々から笑顔が奪われ、喜びが失われ、街は、暗闇に覆われようとしていた。


が、その時。


一人の天使が降臨した!


人々の笑顔を守るため。


人々の喜びを取り戻すため。


彼女は、ダークレインに戦いを挑む。


その名は、


笑顔の天使、スマイルリップ!




「…というわけで、今回の仕事先は、このベッタベタな設定が蔓延ってる世界なのよね。」

「蔓延ってる、って…。その世界では、それが普通なんですから。」

「でもねぇ〜…あまりにも、あまりにも、じゃない?」

「…なんですか。あまりにも、あまりにも、って。」

「だって〜…。笑顔の天使…要するに、魔法少女系でしょ?あの、女の子達と、一部の大人達を虜にする、っていう…。」

「…まぁ、否定はしませんが…。」

「なぁ〜んか、やる気出ないのよね〜。戦う魔法少女っていうからにはさぁ、変身シーンとかあるわけでしょ?決めゼリフとかもあるわけでしょ?いろんなかわいらしくて強力な技を繰り出すわけでしょ?んで、なんだか、愛と平和と友情の話が展開されていくわけでしょ?んでんで、たいてい主人公は十代前半で、憧れの人は年上なんでしょ?んでんでんで…」

「…フィーア。」

「何?」

「本当は大好きでしょ。」

「!!な、な、なにを言ってるかなぁ、ウィング君は!私は、別に…。」

「………。」

「……はい。ごめんなさい。ずっと見てました。魔法少女大好きです。」

「別に隠すようなことじゃないでしょう?女の子なら、たいていの子は通って来た道だと思いますよ。」

「いや、あの、通って来た道、というか…。」

「…?」

「今も、通ってる道、というか…。」

「……………。」

「……………。」

「………いいんじゃないですか?そういうのも。」

「あーーーーーっ!ちゃんとツッコんでよーーーーーっ!」

「いえ、本当に。いいと思いますよ?なんで嫌いなふりなんてしたんですか?」

「そ、それは…。…やっぱり、私、年が年だし?少女趣味かな?って…。だから、気付かれたくなくて…。」

「あれだけベラベラ喋られたら、嫌でも気がつきますよ。」

「うぅ〜…墓穴掘ったぁ〜…。」

「ご心配なく。私はそういうのも、いいことだと思います。真っ直ぐ明るく悪に立ち向かう主人公っていうのも、素直で素敵ですからね。」

「…冷静な口調で言われても、なんだか嬉しくない〜!」

「それは私の性格ですから仕方ないことです。さ、行きましょう。」

「う〜〜〜〜〜〜…。」



「というわけで、やってきましたね。」

「マリーナのある町かぁ…。海沿いっていうのは定番ね、うん。」

「…フィーア。目が輝いてますね。」

「え!?そ、そんなことないわよ。」

「隠さなくてもいいですよ。喜びが、表情に溢れてます。」

「……だって、ねぇ?いつもは、テレビの中の世界…な、わけだし?」

「わかりますよ。でも、仕事ですからね…。そういえば、一応確認ですけど、仕事内容はわかってますよね?」

「えっ…。…えぇ。」

「…………。」

「……ごめんなさい。浮かれていて、聞いてませんでした。」

「素直でよろしい。じゃあ改めて説明しますから、しっかり聞くように。」

「は〜い。」

「まぁ、仕事内容は簡単です。今回、今のスマイルリップの実力では勝てない敵が現れます。その敵を、謎の助っ人として撃退する…と、いうことです。…今回は立場まで決まってるんですよね。」

「……………。」

「フィーア…?」

「謎の、助っ人…。…くぅぅぅぅぅ〜〜〜っ!なんて素敵な立場っ!」

「…はい?」

「ね、ね、ウィング。ホントに?ホントに?ホントに私達、謎の助っ人キャラとして、魔法少女を助けられるわけ?」

「…はい。」

「くぅぅぅぅぅぅーーーーーーーっ!この仕事やっててよかったーっ!」

「…ホントに好きなんですね。」

「だって、だって、すっごい素敵なポジションじゃない!…強大な敵を相手に、苦戦する主人公。もうダメか、と思ったその瞬間、どこからともなく颯爽と現れ、スマートに主人公を助ける謎の助っ人。そしてその人は、何も言わずに、いずこかへと去っていく…。…これを!素敵なポジションと言わずして、他になんと言うのだっ!!!」

「熱いですね〜…。まぁ、それだけやる気があれば、仕事は問題ないかな…」

「よーーーっし!やるわよーーーーーっ!」

「…空回り、しなきゃよいのですが…。」



一方、その頃…



「う〜ん♪今日もいい天気ね〜♪」

笑顔の天使、スマイルリップこと、朝陽ゆりん(あさひゆりん)は、休日の朝を満喫していた。

朝陽ゆりん。十四才。明るく前向き。いつも笑顔を絶やさない、街の人気者。どこにでもいそうな、私立中学の二年生。

だがその正体は、ダークレインを追ってこの街に降り立った笑顔の天使、スマイルリップ。現在、一緒に暮らしている人間以外には、その正体を隠しながら生活中。

「さってと。今日は天気もいいし、海まで散歩してこよっかな♪」

るる〜ん、と、鼻歌なんか歌いながら、ゆりんは部屋を出ていった。



さらに、その頃…



「えぇーいっ!ふがいないっ!ふがいないっ!ふがいないぃぃっっ!!!」

真っ黒なローブに身を包んだ男が大声で叫んでいた。同色の黒のフードの中から、真っ赤にギラギラ輝く瞳が覗いている。

薄暗い部屋だった。洞穴のような空間の中央に、石材で作られた円卓が一つ。その上に六本の蝋燭が点り、それが、六つの黒フードをぼんやりと照らし出していた。黒フードには、人型の者もいれば、人型から外れた形をした者もいる。彼らこそが、スマイルリップの敵。ダークレインの六幹部であった。

「たかが小娘一人に、どれだけ敗北すれば気が済むのだっ!恥を知れっ!」

男の怒りは、かなり激しいものらしい。怒声が蝋燭の明かりを揺るがし、空間の中に響き渡っている。が、それに対して、他の黒ローブも言い返す。

「そういう貴様も負けておろうが…偉そうな口を利くでない。」

「うふふ…、六幹部筆頭に任命されてるからって、いい気にならない方がいいよ…くく。」

「………フッ。」

「き、貴様らぁ!!」

一触即発の雰囲気。そこへ、

「まぁまぁ、落ち着きたまえよ筆頭殿。」

さらに別の黒ローブの一人が割って入ってきた。

「仲間内で揉め事など、愚の骨頂…。違うかね?」

「………フン!」

一先ず静まる空間。静かになったのを確認すると、止めに入った黒ローブは言葉を続けた。

「揉め事の元凶は、全て、彼女にある。彼女さえいなければ、全ては順調に進んでいく。違うかね?」

「そんなこと、言われるまでもない!」

「うふふ…何を今更なこと言ってるわけ?殺すよ?…くく。」

「おおっと、これは失礼を。では、簡単に説明しよう。私はついに、邪魔な彼女を抹殺するためのダークモンスターを生み出すことに成功したのだよ!」

「…なんじゃと?」

「うふ…、ずいぶんと自信満々な感じだねぇ。」

「………自信の根拠は。」

「根拠は簡単だよ。今回のダークモンスターは、巨大な体を持ち、単純にパワーのみに特化させている。あとは、私の命令に忠実に従う頭脳のみだ。今までのように、中途半端に様々な能力を持っていたりはしていない。」

「フン…それが根拠だと?随分と浅はかだな。」

「ふむ。単に巨体で力があるだけのモンスターの攻撃が、あの小娘に当たるとは思えんがのぉ。」

「はははは、本当、君達は表面的にしか物事を見ることが出来ないんだねぇ。まぁいい、説明しよう。私だって、あの素早く動き回る小娘に、力だけのモンスターの攻撃が当たるだなんて思ってはいない。要は、あの小娘の動きを封じればよいのだよ。」

「それが簡単に出来るなら苦労はせん!」

「ははは、出来るのだよ。超巨体と超パワーを併せ持つ、このモンスターと、この私の天才的頭脳が組み合わされば。まぁ、今回は私に任せてくれたまえ。」

「その自信が、赤っ恥にならねばよいがのう…。」

「うふふ…、せいぜい期待してるよ…くくく。」

「せいぜい期待してくれたまえ。ははははは…。」

笑い声を残し、黒ローブは空間から消滅した。



こうして、それぞれに動き出した三組。果たして、黒ローブが生み出した、新たなるダークモンスターとは?本当に、スマイルリップでは勝つことは出来ないのか?そして…


「よしっ!じゃあ、決めゼリフの練習しよっか!」

「やるなら、お一人でどうぞ。」

「何言ってるのよ!二人でしっかりキメなきゃ、謎の助っ人がかっこよくならないじゃない!」

「私は、そんなに気合い入りまくってませんから…。」


フィーアは、空回りせずに仕事をすることが出来るのか?



後編に、続く。

今回はあっさり書くことが出来ました。主人公がノリノリだと、会話もぽんぽん進んでいきますo(^-^)o。まぁ、なにやらベタな設定の話ではありますが(^.^;)。イメージは90年代後半のアニメの世界、って感じです。また次回も読んでいただけると嬉しいです♪

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