筋肉大好きですが、問題でも?
100%ノリで書きました。
スミマセン。
草食系? 細マッチョ?
そんなものが流行るなんて、神様……何かの呪いでしょうか?
筋肉! マッスル! 呼び方は何でもいい!
だけどボディービルダーに用はない。
意図的に作られた筋肉ではなく、実用的な肉体が好き。汗とともにうねる筋肉が好き!
――ガテン系大好きですけど、何か?
でも昨今の草食系・細マッチョブームで、むきむきマッチョにはなかなかお目にかかれない。
そんな私の心のオアシス。
――それは工事現場と駐屯地!
工事現場は不定期なため、見つけたときは常時張り付く。
『工事中につき、ご迷惑をお掛け致しております』という可愛らしい二等身の作業員が頭を下げているイラストの立て看板の陰で「はあはあ」言ってますが、何か?
大抵の工事は、予定していた工事期間よりもかなり早くなるので不満だ。もっと堪能したい。
他にも不満はある。
始めは薄着で、タンクとかで動いていたマッチョ達がなぜか長袖を着出す。
これから夏に向かって、気温はどんどん上がっているというのに不思議だ。暑くないのか? 日焼けが嫌なのか?
脱げ、脱げと念を送ってみたが、無駄だった。
そんな私が最近見つけたお気に入りの場所。
それが自衛隊の駐屯地。
自宅から電車で4駅と少し離れているため、今まで気が付かなかった。
家族に「知っているなら教えてくれたら良かったのに」と、この間ごはんを食べながら言ってみた。
だがそちら方面に通勤している母でさえ「そんなところにあったのねー、お母さん、知らなかったわ。全然」と言っていたので仕方ない。
まあ気が付けて良かった。
それから私は毎日駐屯地前に張り付いた。
雨にも負けず、風にも負けず。……でも雷の日は遠慮した。
そんな時間の取れる私は、ちなみに自宅警備員――と名乗りたいところだが家事手伝いと言っておこう。
なにしろ筋肉の「き」の字もない情けない身体である。
人の身体の筋肉を見るうちに、『自分にあの筋肉を、割れた腹をくっつけたい!』そう思ったのだが、いくら腹筋をしてもプニプニのまま。
軽く200は腹筋できるのに、何故だ!! と床を打ち付けること数回。
そのためこんな身体で名乗ることはおこがましい、と敢えて家事手伝いと言っておく。
……とはいえバイトはしている。
プロテインを買ったりと、何かとお金がかかるのだ。
そして空いた時間のほとんどを張り付いて過ごす。
本当は中に侵入してみたいのだが、当然だが警備が厳しい。
そのためフェンスに張り付き覗き見るくらいしかできないのだが、お気に入りの自衛官もいる。
少し渋味の出てきたおじ様自衛官だが、その肉体美が素晴らしい!
はじめて見たときは、見惚れてしまった。
二度目は、舐めるように見た。
三度目は、写真を撮ろうとしたが、逃げられてしまった。
四度目は、手を振ってみたが、やはり逃げられてしまう。
五度目は、……その機会は未だない。おかしい。配属地が変わったのだろうか?
それからは、愛しい『いぶし銀の君』をフェンスに張り付いて探す日々。
とはいえモチロン違う人もチェック済み。
さすが体育会系の最高峰!良い筋肉が一杯で、見飽きない。
――ああー、癒される。
だがそんな私の日常が少し変わった。
フェンスに張り付き、カメラを構えていた私に声を掛けてきた32歳の警察官巡査部長。
彼との出会いは突然だった。
「ちょと、いいですか?」
そう言って私の事を根掘り葉掘り聞いてくる。
――大胆!!
男らしい行動にそう思うも、奥手な私は素直に聞かれたことにだけ答えていく。
黒い手帳に書き留められる私の個人情報!……いやんっ!
警察官らしく厚みのある胸板も、逞しそうな二の腕も、……制服が邪魔だ。制服萌などいらぬ!男なら裸!譲歩してパンイチ!
私はマッチョも好きだけど、オトコらしいこの強引さも好きだ!
……うーむ、捨てがたい。
悩んだ結果、駐屯地のある地域がどこの交番の管轄なのか調べまくって割り出した。
後日、とある地域では不審者の目撃の通報が相次いでいるという。
――『駐屯地前のフェンス、それと○○交番の電柱の影に怪しい女性の姿が』という通報が。
……だが職務質問に向かう警官は誰もいない。
※この物語はフィクションです。