34# 梟雄、そして炎上
さあやってきまきた不定期更新!(ドヤ)
思わず噛んでしまうくらい、色々とツッコミ所満載でご迷惑をおかけしております。m(_ _)m平に平に。
いよいよ、物語の本質に入っていくわけですが、はてさて、上手くいくのか……(遠い目)
気を取り直して!行きましょう!(・ω・)ノ
side:ボルトン=クライスラー
パーウッズ湖東沿岸。我ら私兵団とフォンドは船着場にあるコンテナ置き場に到着した。堆く積まれたドラム缶やら寂れたコンテナが目に入る。
「(この時より時代は変わる)」
俺は私兵団にフォンドの乗る黒塗りの高級車目掛けて手を振り下ろす。
激しく炸裂する数多の弾丸。それは爆音と共に数十秒続き、車のボディは原形がわからぬ程にへしゃげ、蜂の巣の様になっていた。ガソリンに引火して燃え上がる。それでも私兵団は銃撃をやめない。
そうか、と俺が停止の合図をすると、漸く銃撃は止まった。車は黒煙を吐き、硝煙と混ざり合い酷い臭いを発していた。
ボンヤリとその燃えカスを眺めていると、側の兵士が近寄ってきた。
「やりましたね。これで、ジュード様もお喜びに」
「……呆気ないものだ」
俺は自分の中に妙な感情が渦巻いているのを感じた。これは高揚感?いや焦燥感に似ている。巨大な権力を持つ五大総長が今、たった今、死んだのだ。それがこれほど簡単で、心躍る事もなくスムーズに死んだ。計画は完璧。しかし何かつまらない(・・・・・)のだ。もう少し楽しいものだと思っていたからかも知れない。
俺は葉巻に火をつけて、深く吸い込んだ。
西側の対岸では恐らく、ライオネルプライズの奴らがフォンドを待っている事だろう。
だがそんな事我らには関係の無い事。
明日の新聞の一面はこうだ『五大総長フォンド=ブラウン、東亜街の襲撃者により死去』それで、ジュード様が五大総長に就任し、おしまいだ。明日にはこれが信実になる。
「……ふう」
俺は吸いかけの葉巻をドス黒い水面へ捨て、私兵団に撤収の命令を出そうと振り向く。
「では……」
その時、俺は強烈な違和感を覚えた。巨大なキャンプファイヤに照らされた、部下達は誰一人として動かずただ立ち尽くしていたからだ。そして、長く感じる一秒の後、全員血を体中から飛び散らしてその場に崩れ落ちた。
あまりの出来事に俺は混乱し、声も出せず、脚も棒切れの様に動く事が出来なかった。そして、その凄惨な原因と思われる何かが目の前に現れた。
「お前は……?」
それは血の様に赤いロングコートをたなびかせた、銀髪の男であった。手には血が滴る曲刀をダラリと構えている。その男はケタケタと笑いながら首を力無く揺さぶる。
「ま、まてお前は見た事あるぞ!……!」
そこまで言った所で、肩から腹部まで激痛が走る。血が、血が噴水の様に噴き出している??馬鹿な!いつ斬られたと言うのだ?目線を戻せば鼻が擦れ合う程の距離にその赤い奴は居た。
「私はカイゾウ、アルティメアの王になる男だ!」
「カイゾウ……」
そこで俺の意識は途切れた---。
side end
side:蟒蛇ガンマク
「……」
フォンドを追ってきて、ありえない事が起きてしまった。五大総長を私兵団が裏切り、暗殺。さらにその私兵団を赤コートの男が皆殺し!拙者、今すぐにでもこの場から逃げたいのではあるが、迂闊に動いてはあのフラフラしている赤コートに見つかる可能性がある。そのために、息を殺し石の様に動かぬ事にした。
コレまで誰かを監視して、自らの死を予感した相手はいただろうか?ただ見ているだけだと言うのに冷や汗は止まらず、握りしめた拳の震えが止まらない。鼓動さえも止めてしまいたい程に気に障る。
確かカイゾウとか言ったな。不思議な事によく響く声だから良く聞こえた。
そのままカイゾウとやらの動向を観察していると、モーターの付いた小舟に乗り、パーウッズ湖西側沿岸に向かって行った。
ここで漸く溜息を付く事が出来た。奴を追うべきか否か、しかし今回の任務はフォンドを追う事。奴が死んだ今、もはや追う必要は無いが……。う、いや正直になろう。拙者は出来れば追いたくない。とりあえずシュウ殿と合流して指示を仰ぐこととしよう。
side end
side:ワンダ=ライオネルプライズ
東沿岸が騒がしい、と思ったら火が上がった。
「フォンド……」
何が起こったのかはわからない。ただ、会談がなくなった事だけはわかる。
忙しなく駆ける黒服達を目に、溜息を付く。
「ワンダ様……残念ですが……」
「わかっている」
その時黒服達がざわめき出した。「何だアレは!オイ!照らせ!」と、複数のサーチライトが湖を照らす。そこには一隻のモーターボート。そして派手な赤色のコートを来た人間がいた。
私の指示を仰ぐ間も無く、黒服達は隊列を組み短機関銃を水面へ向ける。部隊長の号令を元にそのあきらかな不審物に一斉射撃を行う。
私はその光景を目にしながら、黒服に両脇を抑えられて引き摺られるように装甲車へ連れて行かれる。
凄まじい射撃音と、膨大な空薬莢が跳ねる音がこだまし、程なくボートは湖に沈む。
その時、突然黒服が血を噴き出しながら倒れる。他の黒服達は警戒を強め、見えぬ敵に四方八方撃ちまくる。
「これは……いったい」
「オイ!早く!ボスを屋敷へ!」
ボンヤリしていた私を黒服は装甲車へ押し込んで、力一杯ドアを閉めた。
運転手は思いっきりアクセルを踏み込み、装甲車は暴れながら飛び出した。
走り出した装甲車から背後を見ると、先ほどまで居た辺りは火の海になっていた。恐らくは積んであった石油系燃料に引火したのだ。その火は湖面に漏れて、湖自体燃えているようであった。
一体誰が?フォンドではない。フォンドならば対岸の火事の説明がつかない。それ以前に今回の会談をふいにして得する事など一つも無い!ならば?サルバトーレやアナスタシアの陰謀か!?休戦協定を破ってまで攻めて来る理由は?!わからない!一体全体なにが起こったと言うんだ!
その時、額の汗を拭う何か。
それはクローディアの伸ばしたハンカチであった。
「お父様……酷い汗ですわ」
「あ、ああ……すまない」
私は一度、深く息を吸い、ゆっくりと吐いた。そうだ、慌てる事は何もない。一度屋敷に戻って体制を立て直す。それで、事実関係を洗えば私にわからないことは無い。
「心配ない、クローディア。私はコレでも五大総長なのだ。この借りは返させてもらう」
「心配なんてしていませんわ」
「……そうか。しかし、私も平和ボケしておったらしい。お前の言った通りだったな」
私はクローディアの手を握り、漸く落ち着く事ができた。
「おい、構わんから全速力で屋敷の玄関まで行ってくれ」
「……」
そう、私は運転手に言ったが、運転手から返事はない。
「おい、聞こえているのか?」
「もちろんですとも、ですが、行き先は屋敷ではなく、墓場ですが、ね」
運転手は狂った様にケタケタと笑いながらアクセル全開で崖に向かって暴走させる。
「そんな……!!!」
「きゃあああああ!!!」
装甲車は飛んだ。とっさに娘を抱き寄せ、力一杯覆う。
上も下もわからぬまま、妙な浮遊感を感じながら、私はただ娘の命だけを救うことだけを考えていた。この娘だけが私のーーー。
side end
side:クローディア=ライオネルプライズ
ーーー 痛い。私は身体中の痛みで目が覚めた。目もあまり開く事が出来ない。ただ全身が燃える様に熱い。辛うじて見えたのは焼け爛れた両手の平。近くで車が燃えている。卒倒しそうな痛みの中で、お父様を探す、けれど私は立ち上がる事さえ出来ず。ただ仰向けのまま、首だけを動かしている。
「お目覚めですね?すばらしい!なんて素敵なのでしょう!」
朧気に視界に入り込む、赤いコートの男。燃えた車の隣り、岩に腰掛けてオーバーに手を広げて笑う。
「……誰?」
「いい質問です!私は"カイゾウ"!アルティメアの王!そして貴方の父は死にました!おめでとうございます!」
ただ気持ち悪かった。とても気持ち悪かった。その男が何を考えて笑っているのか、何が面白いのか理解できなかった。吐き気がする。それは狂っているとしか言い表せない。
「……殺して」
絶望の淵で全身が焼け爛れ、せめて苦痛から逃れる事を選んだ私は声にならぬ声で懇願した。
「死にたい?それはお断りする。面白くないし、私の仕事じゃない。第一そうしてしまうと見せ場がなくなる。そのために私を恨め。よく見るがいい。この顔が貴女の父を奪い、貴女の美貌を奪った"カイゾウ"だ!」
消え入りそうな意識の中、カイゾウと名乗った男は、顔面を近付けた。白髪の髪に赤い目、そして赤いロングコート。
そのまま意識は途絶えたーーー。
side end
side:榊 町蔵
「先生!コレは……!!マズイです!!」
「……コレはイカンな」
今俺は榊家の地下にある研究室で元助手の社 司君とモニターを覗き込んで、とある事実に驚愕していた。
「もしかして、この爆発的な記憶容量の増加は『電脳』による再現性によるものなのですか?」
「間違いない『電脳』による学習。つまりありとあらゆるデータを食って成長しているんだ。それはゲーム故の特性、何万通りのシミュレーションを繰り返し。現実性とゲーム本来のエンターテイメント性を併せ持つ結果を弾き出せないでいるために起こる現象。電脳は今世界を創造している。そのために一切合切のデータを食って蓄積しているんだ」
「このままの速度で増え続ければ、いくら先生のスパコン群でも処理しきれませんよ!」
「わかっとるわい!」
このままではすまない。コイツは、電脳は言うなれば細菌の様なモノ、いずれと言わずその学習スピードば倍々で増える。かと言ってそのスピードを抑える為に、強制的にデータを消せば改蔵の脳に少なからずダメージがあるだろう。しかし、放っておいても電脳は事己崩壊してしまう……。
「司ぁ……。大学から……って来い」
「は?」
「大学からスパコン盗ってこいっつってんだよぉ!!てめえ教授になったんだろぉおーがぁあ!!大学中のありとあらゆるコンピュータ類全部持ってこい!」
「むむムチャな!!苦しいです!首掴まないで!」
「うるせぇ!こっちは人一人の命かかってんだぞ!!頼む!頼むよ!司ぁ!!」
「ぐあえ……わ゛がり゛まじだ…」
「そうか!わかってくれたか!」
「ゴホッゴホッガハッ……でも、仮に持ってきたとしても、とてもじゃないですが足りませんよ!」
「わかっている!それまでに何か考える!スパコンの件!頼んだぞ!」
「……っ!くっそぉ!やってやる!やってやりますよ!私だって男です!ええ!首になるかもしれないけど!知りませんよもう!行くぜオイ!!」
司君はネクタイを勢い良く外して、後ろ手に放り投げてよくわからない事を叫びながら!走って行った。すまんな司。俺じゃあ大学に入れないんだ。
俺は悩んだ末に、一塁の望みを賭けてこのゲーム『ラジカライズ』を作った作者を探す事にしたーーー。
side end
ラジカライズの作者?ああ、ヤツはダメです。ほぼ廃人です。むしろ出そうかどうするか検討中です。ちなみにラジカライズアワーの作者は変態紳士です。\(^o^)/オワタ
次回へのヒント:賞金首
そうそう、コナンズヒント的なね。意味?あんまりないよ!www