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ラジカライズアワー  作者: 九郎士郎
激流編
34/39

31# アンタ圧倒的にゲーム違う!

FPSからどんどん離れてる気がしないでもない(汗)


(´д`ノ)ノ=☆

でもやっちゃえーっ!(壊)


感想とか誤字脱字、批評などもお気軽にどうぞ!





 


 深夜、俺はトラックの後部で、悪路に揺られながらボンヤリと天井の幌にぶら下げられたランプを見つめてた。かれこれ三時間は乗ってる。

 なんだかよくわからないが、お偉いさんがお忍びで移動するのでその護衛だそうだ。つっても俺以外にそのお偉いさんは私兵団、さらに俺らみたいな緊急に募集された護衛約五十人、つまり百名超の大護衛隊なわけで俺はその中の一人に過ぎない。約二十人が五台のトラックに分乗し、お偉いさんの車を挟むようにして山道を走ってるわけだ。

 つーか寒。俺はコートのファスナーを目一杯上げ、顔を埋める。ちなみに俺|ら(•)と言うのは隣りで寝イビキをかいているボルの事である。ボルは普段のジャンパーではなく、全身何やら灰色の金属で重ねられた鎧を着ていた。傍らにこれまた、フルフェイスの軍用ヘルメット。大昔のフルプレート重騎士を思わせるいでたちはガタイの良さからなかなかの迫力がある。にしても武器とかないのかね?まあ撲殺しちゃう熱血ナックル様なのかもしれない。俺は布にくるまってるバカでかい資材っぽいものに脚を投げ出し、リラックスモードに入る。

 ちなみにココに来るまでの俺はまず、ドミノに着いて待機。そして昨晩このトラックに押し込められたわけだが。トラックに乗った所でボルに会ったから良いようなもの、一人だと窮屈過ぎてバックレてたかもしれない。

 ボルはセントラル・エッジとか言う中心街からここまで来たらしく、俺は「へー」とか「ふーん」と相槌を打つだけで勝手に喋ってた。話の内容はあんまり覚えていないが、俺のコートの色が派手だとかの世間話から、帝国軍から割れたヴァンガード自衛軍の変遷などの苦労話など多岐にわたり、良い暇つぶしになった。が、そのボルも現在爆睡しているため、非常につまらない。寝ようにもうるさくて寝られない。俺は乗ってるだけとはいえこの仕事も楽じゃないなと小さくため息をはいた―――。



side:ガスト=ブライトリング


「オマエそりゃ乗ってるだけですむ話じゃねぇだろ!」

 マスターがいつになく興奮した面持ちで、カウンターに顔を突き出す。


「まぁ……バレたらすまんだろうけど、向こうさんだってまさか漂流街の王様が自分たちの護衛に付くとは思わんだろーよ?」

 そもそも知名度的に向こうに伝わってるかどうかさえ怪しいしな。


「罠って言う可能性は?」

「それはねーよ、オレがフォンドだったらそんなまどろっこしい事しねー。直接オレに接触してくるか、鎮圧にかかるだろ?なんせ向こうさんとは兵力と経済力のパイが違う」

「相手にされてないってか?」

「その可能性は高い。だが、油断してると一気にやられちまう。こっちは小さいなりに頭も足も使って情報仕入れねーとな」

「それが今回の護衛か?」

「そうだ。大規模な護衛するって事は単純に襲われる可能性があるからだろ?」

「まあそうだわな」

「しかも、それが俺らからの襲撃に備えてるのか、それとも別の誰かなのかで向こうさんの気構えもわかるし、別の誰かでもこっちにゃ有利だ。その別の誰かと共謀する事だって出来るかもしれないからな」

「敵の敵は味方か」

「そーゆーこと。どっちに転んでも得。何も無かったらなかったで護衛の収入が入るしな」

「なるほどなぁ……でもよ。カイゾウが暴れ過ぎるとマズいんじゃねぇか?」

「……」

 考えてなかった、たしかにそれはマズい。生存率を優先したオレがアホだった、アイツならフォンドを殺しかねん。そんな事になれば五大総長に目を付けられるばかりか、漂流街なんて一瞬で塵と化す。

 大義名分を持ったマフィアほど厄介な者はいない。ホントただ乗ってるだけでいいからな!カイゾウ!とオレは強く思った───。


side end



side:フォンド=ブラウン


「今なんと?」

 儂は対面に座る、焦げ茶のロングコートを着た細身の男を睨む。男は東亜街の特使で交渉の度に何度か顔を合わせている。儂の記憶違いでなければ、頼りなさそうな眉尻の下がった優男のはすだったが……。なぜか今日に限って纏う雰囲気が違う。


「あなた方の提案は我が(あるじ)の方針で同調しかねる。と申したのです」

 男は張り付いた様な笑顔のまま頭を下げた。


「理由を聞いても?」

「主の話しでは技術云々は非常に興味深いが、”占いで凶相が出た“と申しておりました」

「占いだと?」

 儂もさすがに頭に来た。占いのような得体の知れないモノで交渉の判断材料にしようとは、遇々こちらが譲歩案を出しているのに馬鹿にしている。つけあがりおって!


「貴様!儂を誰だと思っている!」

 大人気なく声を荒げた。同時に男の両側にいる黒服が懐に手をやる。

 だがそれよりも早く、男は交差した手首から、短剣の様なモノを両側の黒服の喉元に突き付けていた。黒服達は動くのをピタリと止め、震えながら短剣の切っ先を見つめている。


「ど、どこにそんな……」

「チェックしたのに……」

 黒服達が弱気な言葉を喉奥から絞り出した。

 ようやく先程の違和感が何かわかった、この男最初から"殺気"を放っていたのだ。男の目は見開かれ、鋭い鷹目で儂を睨んでいる。コイツ……鋭い爪を隠していたのか。


「儂を殺すのか?」

 男は首を横に振り、短剣を手首にしまう。


「私はその様な事は主から仰せつかっておりません」

「では、どうすれば自由貿易協定をむすんでもらえるのだろうか?」

 男は再び笑顔に戻ると頭を下げた。


「残念ながら今の私には返答しかねます。今回は通告者としてここに来ておりますので、後日改めて要請願います」

「わかった」

 車を止め、男が降りる。男は口元を覆う様に白のストールを首に巻きつけると、ハットを目深に被った。


「そうそう、コレは通告者としてでは無く。私的な忠告ですが」

「なにかな?」

 男は首だけを振り向かせ、革手袋の人差し指を上に突き上げた。


「フォンドさん、アナタ今日死ぬかもしれませんよ?」

 男の発した言葉に儂は酷く動揺した。窓際で握り拳を作る。


「ほう……根拠は?」

「アナタの嫌いな占いですよ、ではお気をつけて」

 男は真っ黒に茂る森の闇に消えて行った。


「ふう」

 儂は溜め息を付き、窓を閉め座席で軽く伸びた。

 その直後。

 激烈な振動と共に轟音が響き。車列の前方で真っ赤な火柱が上がった。


「くそ!東亞の猿共め!儂をコケにしおって!皆殺しにしろ!───」



side end




 爆音を聴いて、俺は直ぐに左手にお馴染み蛮族ブレード、右手にはベオウルフを握り、外へ飛び出した。

 辺りを見回すと、車列の先頭の方が赤々と燃えていた。先程まで真っ暗だった空が真昼の様に輝き、それにより木々の陰影がクッキリと映し出された。両脇の林が乾いた風でざわざわと唸る。

 先頭の方からパパパと単機関銃の音が聞こえる。どうする?行くか?しかし私兵団の連中に指示があるまで動くなと言われている。

 一瞬悩んだ末にやっぱ行くだろ!と足を踏み出した直後、誰かに肩を掴まれ引き戻された。


「なんだよ?」

「まぁまぁそうあせんなよ。依頼料ふいにしてぇなら止めねぇけど?」

 掴んだデカい手はボルだった。寝起きで首の調子が悪いのか、ゴキゴキと首を鳴らす。


「きっとまだ本番じゃないからな」

「……」

「竜騎士級のカンさ」

 とボルは背を向けてトラックへ向かう。

 俺は驚いていた。ボルの話しなんか聞いちゃいなかった。なぜならボルの反対の手に握られていたのが、二メートル弱の無骨な大剣だったのだから。アンタ、リアルモ○スターハンターか!多分アレは俺が足下にしていた資材っぼいものの中身だ!すげーよどこの無双だよ。俺はボルがアレを振り回す想像をして少しワクワクしていた。だって大きいものは男のロマンだろ?しかし銃社会のこのゲームでどうやって戦うのだろう?

 俺は顎に指を引っ掛けながら、軽く唸った───。



 大きい兵器や武器は男のロマンさ!


次回へのヒント:前門の王、後門の竜

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